桜井呪理

Open App

憂鬱な梅雨には、紫陽花が咲く。

鮮やかな青色をした紫陽花に、私は今日も話しかける。

大好き大好き大好き。

この花を愛するのには、私には愛する人がいたからだ。

今日みたいな梅雨の日、大好きだった彼に、別れを告げられた。

正直もう君に縛られるのは限界だと、もう愛せないと、そう言われた。

悲しくて悲しくて、憎らしくて憎らしくて、許せなくて、気がついたら、小さなナイフを握った手が、カレの体に触れていた。

今日も私は紫陽花に話しかける。

この紫陽花が生きている限り、私は彼と生きられるのだ。

だーいすきだよ、カレ❤️

甘ったるいその声で、私はつぶやいた。




6/13/2024, 1:28:33 PM