「大好き」
「僕も」
これで結ばれるのがハッピーエンド
なら、秘めた好きを気付かれないまま結ばれた場合は
ハッピーエンド?
きみは僕のことが好きだけど
僕がきみのことを好きなことは
バレてはいけない
3/29『ハッピーエンド』
その赤い瞳で見つめられると、私は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまう。
あなたはただじっと見つめているだけかもしれない。
でも私はその目に射止められて、その場から微動だに出来なくなる。
ルビーのような瞳。
少しツリ目の中にある紅玉。
あなたは私がそうして顔を赤くしているのを見て、ニヤリと笑うのだ。
釣り糸で意のままに操る人形師のように。
もちろん人形は私。
いつか。
いつか動けるようになったら言いたい。
「あなたのことが好きです」と。
今のままじゃ、言葉も紡げずに見つめあうだけで終わってしまうから。
3/28『見つめられると』
とくんとくんと鼓動を打つ心臓
胸に手を当てるとたえず動いている
人は一生分の心拍数が決まっているという
自分のものだというのに
制御の効かないこの心臓は
一生分の鼓動の数が決まっているというのに
彼を見た瞬間に
ドキドキと勝手に鼓動を速めるのだ
死に急ぎたくなんてないのに
彼を見る度に私は鼓動を速めてしまう
ああ この調子だと
私は60歳まで生きられるのだろうか
3/27『My Heart』
隣の芝生は青いというけれど
青いものは青い
ないものねだりだとわかっているけれど
願わずにはいられない
自分の足で野を駆け回る
先天性で元から足がない僕には
一生分からない自由だ
3/26『ないものねだり』
ドキドキと心拍数が上がっていく。
彼を見ただけでするこの動機は、きっと怒りによるものだ。
何かとあれば声をかけてきて、特に用事もないのに構ってくる。
構ってちゃんばりに私にちょっかいをかけてくるのだ。
教室の中で、廊下を歩いている時、登下校ですれ違った時、エトセトラ。
いつからか、あまりのちょっかいぶりに声を荒らげたことがある。
彼はビックリして、その日一日ちょっかいをかけられることはなかった。
だが、収まったのはその一日だけで、次の日からまたちょっかいをかけられる日々が始まった。
だんだんとむかっ腹が立ってきた。どうして私がこんなに彼に構われ続けなければいけないのだろう。
イラついて無視をしたこともあったが、そういう時は応えるまで話しかけられ続けたので、今は何かしら相手にするようにしている。
私は休憩時間は読書をしたいのに、最近ではずっと邪魔され続けているから、それをする間もない。
相手にする度にイラついていたが、ある日。
親戚が亡くなったとかで、彼が忌引きで3日ほど学校を休んだ。
その3日間は驚くほど静かで、久し振りの静寂だった。
私は数ヶ月ぶりに休憩時間に本を開いた。
だが、内容が入ってこない。文字が滑るだけで、頭に中身が入っていかないのだ。
静かだった3日間、それは私を悩ませた。ずっと欲しかった時間がこんなに苦痛になることなんてあるのだろうか。
忌引きが明け、彼が復帰してきた。
またやかましい日々が再開した。
彼は少し沈んだ顔をして、また私にちょっかいをかけ続けた。
彼が普段の様子ではないことに私は訝しんだが、1週間もすると、彼はいつものハイテンションに戻っていた。
私はそんな彼の様子に少しホッとした。
またうるさい日々が続いている。
私はまたイライラしている。
心拍数が上がる。動機がしている。
これはイラついているせいだ。きっとそうに違いない。
彼が肩を叩く度、私の心臓はドクンと跳ねる。
3/26『好きじゃないのに』
「本日は全国的に晴れ、快晴となるでしょう」
気象予報士が高らかに言った。
スタジオの外でボードを指した先はすべて太陽のマークが付いていた。
本日は晴れ。しかも快晴。だというのに。
「ぐすっ……。どうしてそんなこと言うの……」
この部屋の天気は「雨」だ。
彼女が手のひらの底で涙を拭いながら、僕に色々訴えかける。
どうして別れるの。ほかに好きな人ができたの。私何かした。
その全てに首を振りながら僕は彼女の様子を見ていた。
話し合うために淹れたコーヒーとココアはとっくに冷めている。
「君を嫌いになったわけでも、他に好きな人が出来たわけでもないんだよ。ただ――」
やりたいことが出来たんだ。誰にも邪魔されずにしたいことが。
そう伝えると彼女は更に涙を流した。嗚咽まで始まった。
ティッシュの塊が1個、また1個と出来ていき、雪合戦が出来そうだ。
(あぁ、外はこんなに晴れているのに)
今日の天気は全国的に晴れ。ところにより雨でしょう。
3/25『ところにより雨』