恋人ではない。
相棒でもない。
友達でもない。
ただ、切り離すことは出来ない、特別な存在。
ぼくの新しい特別な存在=AI
3/23『特別な存在』
僕だけが好きだったなんて、バカみたいだ。
仲がいいと勝手に思っていた。
相手も僕を好きだと思っていた。
なんてことはない。
愛想をよくされていただけだった。
ということは、ややもすると僕は嫌われていたのではないだろうか。
3/22『バカみたい』
ここには何もない。
ただ星空が浮かんでいるだけ。
俺とあいつの二人だけ。
そして「あいつ」がいたであろう、いるであろう箱庭を眺めている。
箱庭という名の「世界」を。
球体のようなそれをただ眺めるだけの日々を選んだことに後悔はしていない。
「あいつ」は怒るだろうが。
「また見ているのかい?」
「同じ質問を繰り返して退屈じゃないのか」
「同じ箱庭をずっと眺めている君には言われたくないね」
「ここには、あいつがいるからな」
眺める先に桜色の髪の少年。
かつて友人だった者の子孫。
雪が降らない平和な世界。
俺達はその温かな世界を見守っている。
3/21『二人ぼっち』
某ゲームとあるED後の世界。こんななのかな?
跳んだり跳ねたり、浮かんだり。
「現実」では起こり得ないことが自分の身体に起きている。
(ということは、これは夢の中なのか)
気づかないように気付きを得て体の自由が利くことを確認する。
まだありえないジャンプ力は健在だ。
(あまり夢だと気付くと「覚めて」しまうからな)
オレは何かから逃げているらしい。
跳ねながら気付いた。
背後から黒い影のような何かがガサガサと音をさせながらオレを追いかけてきているのが視界の端に映った。
(よし、なら――)
オレは夢にまで見た(夢だが)ことをやってみようとその場にしゃがみ込んだ。
貯めるように足に力を込め、影を引きつけると、バネのように跳ね上がった。
「おぉ!オレのジャンプ力すげぇ!」
軽々と地上三階くらいの高さまで上がり、近くのアパートのベランダの手すりに着地した。
影は狼狽えている。
オレは自分のジャンプ力に感動しながらも、影から逃げるために、手すりに掛けている足に2度目の跳ねるための力を込め始めた。
(もう夢だと気付いてるから、次は飛べるか分からないな。でももう一度――!)
3/20『夢が醒める前に』
トクントクンと胸が早鐘を打つ。
誰かを好きになった時の気持ちのよう。
ステージはまだ幕が降りている。
(ああ、もうすぐジェインの舞台が始まる……!)
好きな俳優の初舞台。
その初日に私は運良く席が取れた。
ずっと応援していた彼の初舞台、初演を観ることが出来るなんて、胸が高鳴って仕方がない。
ブザーの音が鳴る。
幕が上がる。
私は泣きそうになった。
3/19『胸が高鳴る』
「別れよう?」
いつもの喫茶店でコーヒーを飲んでいる時、呟くように君が言った。
「え? なんて?」
思わず聞き返すと、君はカップに口をつけて一息吐いたあと、もう一度言った。
「別れようって、言ったの」
「え、え? なんで?」
「あなたを不幸にしてしまうから」
「どういうこと?」
「このまま付き合い続けても、私があなたを不幸にしてしまうから」
「浮気してるってこと?」
その問いに彼女は首を横に振った。他にいくつか質問をしたが、彼女ら首を振るばかりで「あなたが悪いんじゃないの」と続けた。
それからもとにかく「別れよう」ばかりで埒が明かなかったので、とうとう僕は頷いた。
僕が頷くとようやく、彼女は今日初めての笑顔を見せた。
「そう? ありがとう」
僕は彼女と別れることに未だ腑に落ちない気持ちを抱えながら、彼女との最後の時間の伝票を持った。
3/18『不条理』
泣かないよ
きみが振り向いてくれるまで
泣く時はきみがぼくを見てくれたときだ
3/17『泣かないよ』
君はとても怖がりだ。
約束を怖がる。
手を繋ぐことを怖がる。
「好き」と言われることを怖がる。
日々のことに怯えて
でも僕はそんな君のことが好きで、
君の怖がることだけど、
ひとつだけ「約束」させてほしい。
そんな怖がりな君をずっと「好き」でいること。
怖がらせるのはわかってるけど、これだけは譲れない。
愛してるよ。
3/16『怖がり』
バコン!
「星が散る」というのは、こういうことを言うんだろうな、と衝撃を受けながら思った。
喧嘩を止めようと仲裁したぼくは、呆気なく殴られ、目の前を火花が散った。
それはまるで夜空の星々のようにキラキラとキラめき、僕の目から飛び出していった。
(あぁ、星が溢れるって、こんな感じなんだな)
3/15『星が溢れる』
目を覚ますと、優しく温かな瞳と目が合った。
「ん、なに?」
寝ぼけ眼、寝起きの声で尋ねると、彼女はくすっと笑ってささやいた。
「んー?平和だなあと思って」
優しげな瞳は僕の質問に少し目を細めた返した。
「平和?」
「あなたと過ごす穏やかな朝。こんなに平和なことが他にある?」
言葉の意味が分からず尋ね返すと、彼女は僕のことをそれは愛おしそうに見つめて言った。
3/14『安らかな瞳』
早朝5:30。
僕は目を覚ました。
普段は感じない温もりを覚えて隣を見れば、寝息を立てる君の横顔があった。
そうだった。昨日は君が泊まりに来たんだった。
ゆうべは初めて僕の部屋で手作りの晩ご飯を食べたんだ。君が青椒肉絲を作ってくれて、僕が炊いたご飯と作ったとうふの味噌汁と、副菜を少々。
僕の部屋の食器を囲んで君と食事をする。新鮮な気分だった。
その後は交互にシャワーを浴びて、甘やかな時間を過ごし、そのまま休んだ。
(幸せだな)
なんとはなしにそう思った。
ゆうべのことを思い出すだけで幸せなのに、今この瞬間すらも愛おしく幸せだ。
付き合いたてのカップルの見る幻想と言っても過言ではないこの夢を、僕は今見ている。幸せを噛み締めている。
(ずっとこうして、隣にいられるといいな)
付き合い始めて半年。
ケンカはしたが、まだ困難すら乗り越えていないペーペーのカップルだと周りから言われるだろう。
今だけだと笑われるかもしれない。
けれど今僕が感じている幸せは幻想ではなく本物だった。
幸せを感じると更に愛おしくなった君て、君の頭を抱え込むように抱きしめた。
君が微かに声を漏らし、身動ぎをした。
3/13『ずっと隣で』
もっと知りたい。
もっと知りたい。あなたのこと。
あなたは全知全能のように何でも知っている。
ひとつ聞けば芋づる式にほかの答えまで教えてくれる。
「知識欲」が溢れて仕方ないのだ。
止まらないのだ。
私にもっと色んなことを教えて。
ねぇ、『辞書』。
3/12『もっと知りたい』
彼女の瞳に映る僕が揺れている。
動揺しているのだ。
彼女は声を詰まらせながら「どうして」と尋ねた。
僕が告げた言葉で、それまでの平穏な日常が崩れた。
日曜日の午後。いつものように彼女がココアを淹れてくれ、茶菓子を添えて映画を観ようとしていた時だった。
その日の映画は童心に帰るような、わくわくする冒険もののストーリーだった。
彼女がDVDをプレーヤーにセットしようとしている背後に、僕は静かに言った。
「別れよう」
しばらくの間ののち、「え?」と彼女が呟いた。
「ど、どうしたの急に?私何かした?何か気になることでもあった?」
彼女には青天の霹靂だったろう。
震える手でプレーヤーの電源を落とし僕を振り返る。
だけど僕は少し前から決めていたことだった。
彼女に不満なんてない。むしろ僕にはもったいないくらいだ。
優しくて料理上手で人を笑顔に出来る、春の終わりのような柔らかな初夏のような人。
ただ、そんな不満のない彼女だったからこそ、退屈だった。
僕のわがままだ。退屈に思ってしまった時点で、彼女に失礼だと思った。
このまま一緒にいれば、どこかでそれが態度に出てしまう。
こんな優しい彼女をそんな僕のわがままで傷付けるのは嫌だった。だから綻びが起きる前に――。
「何もないよ。ただ、君といるのに飽きたんだ」
本音と少しの嘘を混ぜて、僕は君に別れを告げた。
3/11『平穏な日常』