今年も1年 大変お世話になりました。
お休みの人はゆっくり休んで
明日仕事の人はがんばって
私も仕事です。
来年もよい書いてライフを。
12/31『良いお年を』
星に包まれたらどんなにロマンティックか。
僕が常々思っていたこと。
いつか彼女と星空を見に行くんだ、なんて思っていたのに――。
「うるせぇ、オラァ!!」
ガツンと殴られて、それが運悪く急所に当たったらしく、僕の目の前に星が散った。
喧嘩がさほど強くない僕はそれだけでノックダウンしてしまい、ピヨピヨと星とひよこが僕の周囲を回っていた。
(星に包まれてって、こういうことじゃないのに……!)
12/30『星に包まれて』
『この世界の終わりは美しい』
いつか誰かが呟くのを聞いた。
世界の終焉は誰もが悲しむものだが、その終わり方は賛否両論だった。
『世界が終わるとき、雪がすべてを覆いつくす』
それは静かな静かな終わり。
雪が音もなく降り積もり青い影を作る。
誰かが役目を果たさなければやってくる、白銀の終焉。
その誰か、は僕だ。
剣を携えて、降り積もり始めた雪の道を行く、
(やりたくない、な。終わるなら終わればいい、こんな世界)
寒さと音のなくなっていく世界を終わらせるために、僕は君のいる家に向かっていく。
窓から漏れる灯火を頼りに、断られると分かっている最後の旅路の誘いを君にしに。
「行こう。僕と一緒に」
まさかその後、君が記憶喪失になるなんて思わなかったけれど。
12/29『静かな終わり』
オマージュしてないでそろそろオリジナルをとは思っている。
迷子になってしまった。
帰る道がわからなくなってしまった。
変える道がわからなくなってしまった。
暗雲たれこめる迷路は行く先を暗く閉ざしてしまう。
それでも、勇気さえ忘れなければ。
消えていても、また火を灯すことさえ出来れば。
黒雲は消え去り、いつしか道が示されることだろう。
行く先はわからず、目の前の道しか見えなくても、灯火さえ消えきってしまわなければ。
いつかかえる道が、おのずとわかる日がくるのだろう。
12/28『心の旅路』
雪の女王が問いかけた。
「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰?」
これはとある女王から譲り受けた鏡だった。
鏡に問いかければ、なんでも答えてくれるという。
「はい、それは雪の女王様。あなたです」
鏡がぼんやりと黒く靄がかったかと思うと、顔の形をした影が表れてそう答えた。
雪の女王はそれを聞くと溜め息を吐き、腕をかざして影に下がるように命じた。
いつからか、答えの変わらなくなった問い。
「世界中」とは、この雪の渓谷だけでなく様々な人がいるはずだ。その中で一番とは。
女王は優越感もあったが、反面鏡の答えを疑ってもいた。
何しろこの城には女王一人しかおらず、比較する対象がいなかったからだ。鏡に騙されているのかもしれないとも思ったのだ。
ある時、女王は再び鏡に問いかけた。
「鏡よ、鏡。この世で一番美しいのは誰?」
「はい、女王様。それは雪のように白く美しい、あなた様でございます」
女王はその答えを聞いた瞬間、ふうと氷の息をかけ、鏡を凍らせてしまった。そしてかけていた壁から外すと、地面に叩きつけて割ってしまった。
それは答えが変わらないことによる怒りだったのか面白半分だったのかはわからない。
いずれにしろ女王は退屈だったのだ。
女王は退屈しのぎにそりを出し、数十年ぶりの散歩へと出かけようとしていた。
割れた鏡の破片は空から雪のように街へ降り注ぎ、とある少年の目に刺さった。
12/27『凍てつく鏡』
目が覚めると、世界がほんのり明るく見えた。
カーテンの色合いがいつもと違う。
そして、
「んー」
体を起こした隙間から入った風に体を震わせる恋人に、いつもより空気が冷たいことを感じた。
恋人に布団をかけてやり、カーテンの隙間からそっと外を覗いてみる。
(やっぱり)
昨夜までなかった白い世界が窓の外に広がっていた。
窓も少し結露している。
(これは今日の散歩はお休みかな?)
誰にも汚されていない白銀の地面を見て、日課の散歩を嫌がる恋人の姿がありありと想像できた。もしくは、嬉々として外に出るかもしれないが。
(まずは、布団から起こすところからかな)
しかし散歩に行く行かない、どちらにしろ、布団から出ないことには話にならない。
一時間後、素直に起きてくれるかは、僕の起こし方にかかってくるだろう。
12/26『雪明かりの夜』
今日は世界中のこどもが幸せになる日らしい。
昔誰かがクリスマスのことをそう言っていた。
幸せになれなかった自分は、そういうのを信じはしない。
もう幸せになれる年でも環境でもないけれど、今年も一人でも私みたいなこどもがいなければいいと願う。
12/25『祈りを捧げて』
あの人は、厳しい人だった。
手はあげないけれど、しつけというしつけはされたと思う。
そんな中でひとつだけ。忘れられない優しい思い出がある。
城の廊下を通っている時だった。
桜の花びらがひらひら舞っているのを「雪みたい」「きれいだ」と僕が言うと、「そうですね」って珍しくあなたが笑ってくれたんだ。
風が吹いて花びらがさらに散った中で微笑むあなたの姿がとても綺麗だったのを覚えている。
それ以降、優しい記憶なんてないけれど、あれが暖かい記憶だということは本当だ。
「あなたのやるべきこと、わかっていますね」
僕はどうしたいんだろう。
役目を遂げて褒められたいのか、役目を放棄したいのか。まだ迷っている。
(もしかしたら、あの笑顔がまた見られるのだろうか――?)
あなたの命令に頷きながら、僕は今日も役目を果たそうと城を出る。
12/24『遠い日のぬくもり』
冬なのでやりたくなるゲーム。
春の光がさす回廊で、僕はあなたとすれちがった。
あなたは何も言わず、いつものようにベールをまとわせた手を口元にやり伏し目がちに歩いていた。
保護者代わりというのに、3ヶ月ぶりに会ったというのに、あなたは僕に何も言わない。
まるで言うことがわかっているから伝えなくてもいいと言わんばかりだ。
(あぁ、そうさ。言われなくたって、あなたの言いたいことはわかっている)
『この終焉を止めること。それがあなたの役割です。わかっていますね?』
それがあなたの口癖だった。
何度も言われすぎて、僕はあなたが口を開くと同時にそれを言えるようになってしまった。
だから僕らはもう、何も言わない。
お互いに役目を果たし終えるまで。何か言葉を交わすとすれば、それは何かあった時だろう。
僕はあなたに、いつかしていた親にするような希望は持たず、今日もあなたの駒として戦場に向かう。
12/22『光の回廊』
ひらひらと雪が積もっていくように、ひとひらひとひら思い出が積もっていく。
君と言葉を交わす度に。
君がまばたきをする度に。
君が僕を呼ぶ度に。
ひとつひとつが重なって、好きのミルクレープが出来そうだ。
そんな事言うと君は、
「詩人気取り?気持ち悪い」
なんて言うんだろうな。
12/21『降り積もる思い』
「はい、これでオーケー」
紙の束を水色のリボンで結んで、ダンボールのなかに入れた。
これは私の思い出の束。
そこにあるのは、手紙や写真など手に収まるくらいの紙の束。
こうしてリボンをかけて思い出をお菓子の缶に閉じ込めておくのだ。
そうして次に開いた時には、タイムカプセルのようにこのリボンをほどくとその時の記憶が蘇るという寸法だ。
(寸法だって偉そうに言うけど、ただ可愛く残したいだけなのよね)
12/20『時を結ぶリボン』
ひらひらと落ちてくる花が手のひらに着地した。
白い花。
花のように見える、雪。
着地した雪は数秒後には溶けて消えてしまう。
「何してるの?」
聞こえてきた声に振り向けば、雪が連れてきてくれた彼。
あなたを待っていたのと答えると、彼は「だと思った」と笑って私の手の上に雪うさぎを乗せた。
「待たせたお詫び」
にっこりと微笑む彼に心を撃ち抜かれた私は、手の中の雪うさぎが溶けてしまわないか心配になった。
冬の間しか会えない彼に、私は飽きもせず今年も会いに来た。
12/19『手のひらの贈り物』
いつまでも苦々しい思いが消えない
もう思い出したくもないのに
その温もりや優しかった声が消えない
あなたが消えてくれない
12/18『心の片隅で』