鳥のように
翼を広げて空を飛べたら
どれだけいいだろう
病院のベッドから窓の外を見て考える
あの電柱から電柱まで飛べたなら
どれだけの風を感じられるだろう
外にも出られない僕は
それだけで幸せに思うだろう
窓を開けて入ってくる
ささやかな風だけでは
僕はもう満足できない
/8/10『風を感じて』
※暗い話
がくん、と足元がなくなった気がした。
気がしただけで、それは夢だったけれど。
はっと目を覚ました時には、地に足が着いているどころか、布団に体が横たわっていた。
(なんだ、夢か)
唐突に空を踏むあの感覚は、階段を踏みそこねたのを強くしたものに似ている。
(失敗した、失敗した。ひと休みのつもりが寝てしまうなんて)
起き上がって準備をして、階段を登っていく。
屋上の扉を開けると、ビル風が襲ってきた。
「さ、本番だ。」
失敗は許されない。
胸いっぱいに空気を吸い込んで、空を踏み抜いた。
/8/9『夢じゃない』
8/10/2025, 8:40:35 AM