「冷たっ!?」
思わず声が出るほどの衝撃だった。
足に氷が貼り付いたのかと思った。
突如覚醒させられた頭でぼんやりと意識を足にやってみれば、なんてことはない、彼女の足だった。
「なんだ……」
氷ではなかったことに安堵の呟きが漏れる。
ちらりと枕元にあるデジタル時計を見れば、なるほど、外気温はかなり冷え込んでいた。
(道理で……)
彼女は、冬が近づくとこうして自分の冷えた体を人の体温を使って温めに来るのだ。
(もうこんな時期なのだな)
そしてその度に、幾度目かの季節を数えられることを、幸せに思うのだ。
/11/1『凍える朝』
光と影。
太陽と月。
はたまた僕と君を表すもの。
君が輝けば、僕は君の影となって君を支えてあげられる。
影が濃ければ濃いほど、君は強さを発揮できる。
だからどんどん輝いてほしい。
僕は君の影に隠れれば隠れるほど、真価を発揮するのだから。
/10/31『光と影』
そして、死ねなかった僕たちは
残念ながらまだ生きることになった。
希望は見いだせないけれど、
人生を諦めることを諦めた。
/10/31『そして、』
おはようと言うこと。
名前を呼ぶこと。
ごはんを一緒に食べること。
小さな愛はそこかしこに。
/10/30『tiny love』
『おもてなし』
裏があるからおもてなしなんだよと誰かが言った。
それでいうと、私は裏なしかもしれない。
うらもおもてもない。正面から見たままだ。
心からの真心を、裏なしのおもてなしをいたします。
/10/29『おもてなし』
心に燻った焔が消えない
「どうしてそんなところにいるの」
「誰といるの」
「どうして私には言えないの」
「どうして私も連れて行ってくれないの」
一度点ってしまった焔は息を吹きかけるくらいでは消えてくれない。
ぼうぼうと細いろうそくの上で怒り狂ったように暴れながら、灯火が揺れている。
私の心の焔。
恋している彼に嫉妬して、勝手に点いて燃えている。
彼を好きになればなるほど伸びるろうそくは、恋と嫉妬の焔が絶えず灯っている。
/10/27『消えない焔』
なぜ「生きて」いるのか
「自分」とはなんなのか
手のひらを見つめているこの「意識」はなんなのか
考え始めると
ボーっとして「自意識」がどこか別のところにあるように思える
もしかしたらここにはないのかもしれない
「生きている」とはなんなのか。
ふとした時に終わらない問いが始まる
/10/26『終わらない問い』