箱庭メリィ

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9/23/2025, 11:23:51 AM

「手を出して」

言われるがまま手を伸ばした。
差し出した手は勢いよく引かれて、ふわりと窓の外へ体ごと飛び出した。
落ちる、と思った体は、しかし重力に負けることなく空中へ浮かんだ。

「妖精を信じたからさ。妖精の粉で空が飛べるんだ」

彼はそう言った。

「さぁ、ネバーランドへ行こう」

彼は手を繋いだまま空の果てを指差した。


9/24『僕と一緒に』



曇ったグラスと同じように
僕の心には靄がかかっている

磨いても取れることのない曇り
太陽が降り注ぐ日は来るのだろうか


9/23『cloudy』

9/21/2025, 2:10:01 PM

虹の端っこはどこにあるのかな?
探しに行ってみよう

虹の端っこを見つけたら、向こう側に声をかけるんだ
「今からそちらに渡りますよ」って

そしたらきっと会えるよね
橋の向こうで君が待っているはずだ

もしも虹の橋を見つけたら
先に虹の橋を渡ってしまった君に会いに行くよ

/9/22『虹の架け橋🌈』



ブブブッ
ブーブブッ

スマートフォンがバイブレーションを鳴らす

ブーブブッ
ブーブブッ

私の座った正面の席にあるスマートフォンが体を震わせる。

『大好き』
『愛してる』
『会いたい』

私のメッセージアプリ欄に並ぶ言葉たち。
そのメッセージたちは、ずっと既読が付かない。
目の前にあるスマートフォンが送信先で、誰も見ていないのだから当然だ。

ブーブブッ
ブーブブッ

『ねぇ、会いたい』
『いまどこにいるの?』

誰も見ることのないスマートフォン。
主を亡くしたスマートフォン。
大事な大事な彼は、先日事故に遭ってもう帰ってこない。
答えの返ってこないスマートフォンに、私はメッセージを送り続ける。


/9/21『既読がつかないメッセージ』



朝が涼しくなってきた
夕方が終わるのが早くなってきた
夜に虫が鳴き出した

セミの騒がしさが静かになった途端
世界は秋の色に染まりだした

/9/20『秋色』

9/19/2025, 8:58:32 AM

すべてを失っても
君の左隣にいたい

もしも世界が終わるなら
僕が君を隠してしまおう


/9/19『もしも世界が終わるなら』



ほどけた靴紐を結び直すように
あなたとの縁も結び直せたらいいのに


/9/18『靴紐』

9/16/2025, 12:33:05 PM


「行く、行かない、行く、行かない……」

花占いの花の代わりに足元の草を抜きながら、太一はぶつぶつ唱えていた。
今は体育の時間。膝を抱えたいわゆる体育座りでクラスごとに裏庭に整列している。
今から校内の草むしりをしようというところだが、太一の行動はいち早く草を取ってやろうという殊勝な心掛けからではもちろんない。

「おい、何やってんだよ」

太一の後ろから良平が声をかけてきた。先生の説明も聞かず、何かを呟きながらぼんやりと草をむしっているのだから当然だ。

「え?なに?」
「なにはこっちのセリフだよ。まだ始まってないぞ」
「あー、うん」

ぼんやりとした太一の返事に心配になった良平は、各自各場所に解散となった後、改めて声をかけた。

「なあ、どうしたんだよ」
「どうもしないよ?」
「どうもしないわけあるか。なんか呟いてただろ」
「あー、聞かれちゃったか」

気まずそうに、照れくさそうに後ろ頭をかく太一に、良平は頭上に疑問符を浮かべた。

「おれさ、佐野さんに告白しようか迷ってんだよね」
「はあ」
「で、勇気が出ないから、花占いならぬ草占いしてたわけ」
「そんで?」
「まだ告るか答え出てない……」
「なんだよそれ!」

足元の草を抜きながら白状した太一の、しかし釈然としない答えに良平はツッコんだ。

「あんだけブツブツ言いながら答え出てねーの?早く告っちまえよ!」

そして、もじもじもぞもぞ草を抜くでもなくいじっている太一の背中を励ますように叩いた。


/9/17『答えは、まだ』



きみと旅をした。
きみの心と旅をした。
すでに遠くなってしまった、もう戻れない距離。
手繰り寄せたくても、きみの心ははるか彼方、海の向こう。

僕の心は波にさらわれて、どんどんきみから引き離されて。
気が付けば僕は対岸にいた。
遠い遠い対岸。
一度岸についてしまえば、あとはそこから手を振るだけ。
波にたゆたうことも出来ず、きみに少しも近づけない。

粉々になってしまった僕の心は、まだ怪我をしてしまいそうなシーグラスとなって砂浜に落ちている。


/9/16『センチメンタル・ジャーニー』

9/15/2025, 9:31:51 AM

「ねぇ、月がキレイだよ。見える?」

会話が途切れたと思った恋人から、ぽつりとそんな言葉が聞こえた。
スマホ越しに聞こえる声は、どこかうっとりとしている。

恋人の言葉に空を見上げると、確かに感嘆が漏れそうな綺麗な満月が浮かんでいた。

「ほんとだ。綺麗だね」
「見えた?凄いよね。まんまる」

たった2週間の出張。だけど恋人の声にもうホームシックになってしまった。
遠距離でも、こうして近くに存在を感じさせることが余計にそうさせるのか、ぽつりと言葉が漏れてしまった。

「寂しいな」

言ってしまってから、しまったと思ったがもう遅い。

「何言ってるの。たった2週間でしょ。帰る日会えるじゃん」

恋人が笑うように叱咤する。
仕事をしていたら2週間などすぐに経ってしまい、1ヶ月会えないこともざらにあるのに、どうしてかこの2週間がとても多く感じてしまった。

「そうだけど……」
「遠い遠いって言ってるけど、県1個またいだだけでしょ。同じお月様だって見えてる。近いよ」

恋人は慰めるように言ってくれた。
そうだ。同じ月を見られている間は、そう遠くない距離にいるのだった。かぐや姫のように月と地球くらい離れているわけではない。

「うん、ありがとうね」
「会えるの楽しみにしてる。お仕事頑張って」

慰められて少し元気が回復したのを悟られたのか、電話口でふふと笑われた。


/9/15『君と見上げる月…🌙』

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