箱庭メリィ

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8/28/2025, 9:41:10 AM

大事なものは
いつだって胸の中に
見ないふりをしたってしょうがない

どうしたって存在している気持ちに
嘘はつけない


/8/28『ここにある』

8/26/2025, 2:52:57 PM

サンダルを指に引っ掛けて
冷たい水の中を裸足で歩く

砂の感触がシャリシャリと気持ちいい

潮が満ち引きして
足首を濡らし
乾かしたそばから濡らしていく

海辺を歩く私は
どこまで行こうか


/8/27『素足のままで』




『それを選ばなかったのは強さだよ』
なんて、何の慰めにもならない。

あと一歩。
もう一歩だけ踏み出す勇気を持てたなら。

この儚さとさよならできたのに。

あぁ はかない。


/8/26『もう一歩だけ、』

8/25/2025, 7:57:53 AM


「ここはどこだ?」
 そこは旅立ってから5番目に着いた街。
 おおらかで、街全体がまるで祭りのようににぎわっているところだった。
 端から端まで、小さな町三つ分はあろうかというこの街は、しかし地図に載っていなかった。ここまで大きな街であれば、地図にくらい載っていてもいいだろうに。
「勇者よ! おれカジノってとこに行きたいな!」
「わたしはあそこのブティックというのを見てみたいわ」
 パーティーの面々が街のにぎやかさに誘われるように浮足立っているのが分かる。
 それは勇者も同じだった。
「そうだな。街の散策もしないといけないし……よし、三時間後にここに集合しよう! それまでは各々好きなところを見て回るといい!」
 パン、と勇者が解散の合図を出す。
 めいめいに散っていくのを見た魔導士は溜息をついた。
 パーティーの中でただ一人、浮かれていないメンバーだった。
「こんなに禍々しい気配に満ちているのに、どうして誰も不審に思わないのでしょうね……」


/8/25『見知らぬ街』




遠くで雷が鳴っている。
まるで俺らの旅立ちを祝福しているようだ。

空は黒い暗幕が垂れている。
雷鳴が村の向こうで聞こえる。
「幸先が悪いな」
村の誰かが言った。

暗雲が立ち込めているだけで幸先が悪い?
何を言っているんだ。
俺らは今から何をしにいくと思っているんだ。
立ち向かっていくようでちょうどいいじゃないか。

魔王討伐に向かう勇者パーティーの俺らは荷物を携え、遠雷響く暗雲の方向へ向かっていった。


/8/24『遠雷』

8/22/2025, 2:41:13 PM


深い深い闇の中
深い深い青の中

僕は沈んでいく

こぽこぽと空気の泡が僕から抜けて
地上の明るさへと逃げていく

この闇は僕を冷たくあたたかく包んでくれる
沈んで沈んで 静かに眠るように


/8/23『Midnight Blue』




世界に二人だけの幸せを見つけに
ぼくは身体をここに置いていくよ

きみと手をつないで
飛び立てば一瞬


/8/22『君と飛び立つ』

ほのめかしが重なったのはたまたまです。
暗くて失礼。

8/21/2025, 9:09:08 AM

君が僕を見つけてくれたから、僕は君のことを忘れることはないだろう。

幽霊だった僕を彼が見つけてくれたのは、きっと偶然なんかじゃない。
あれは探しに来てくれたのだ。わざわざ、市のはずれにある公園まで。
その証拠に彼は汗だくだった。たぶん僕を探して走り回ったのだろう。
いくら見えるからって、幽霊だから、いるかいないかなんて分からないのに。
でも、だからこそ。生前の思い出よりも思い出深い再会となった。
君は相変わらず素直で直球で、遠慮を知らないのかと思えば変なところで気を遣う。優しい人なのだ。

さいご。僕を見送ってくれた時。
君は我慢していたようだけど、耐えきれずに溢れてだばだばとこぼれる涙顔を、僕はきっと忘れない。

さようなら、僕の大切な友人。
今まで楽しい時間をありがとう。


/8/21『きっと忘れない』

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