好きなの。
好きで好きでたまらないの。
あなたのクールなところが好き。
あなたのおちゃめなところが好き。
オシャレに手を抜かないところが好き。
あなたがどんなことをしたって受け入れるわ。
実ることはないと思っていたこの想いは
ひょんなことからかなってしまって――。
あなたがわたしのことを好きと言ってくれる日が来るなんて思いもしなかった。
大好きなの。
大好きなの。
狂おしいほど愛してるの。
でもこれは、恋? 愛? それとも――?
殺したくなるくらい好きなのは、なに?
/6/4『恋か、愛か、それとも』
繋いだ小指が覚えている。
『約束だよ』
私と、あの人との約束。
「約束、したじゃない……っ」
嗚咽に混じった悲鳴は、相手には届かない。
「ずっと一緒だって! 言ったのにっ……!」
棺桶の向こうにはただ安らかに眠る彼女の姿のみ。
だが、相手は約束を違えたわけではなかった。
(約束、守ってるよ。ずっとあなたのそばにいる――)
彼女は生前の姿のまま、彼女の横にぴったりと寄り添い、約束を守っている。
/6/3『約束だよ』
「お兄さん、傘忘れちゃったの? 入れてあげる」
10年以上前に潰れたタバコ屋の軒下で雨宿りをしていると、少女に声をかけられた。
180センチ超えの男が子ども用の傘に入れてもらうのは忍びないと思い断るも、少女は強情だった。
「お兄さんのおうちあそこでしょ? すぐだもん。そんなに濡れないよ」
「じゃあ、えと、お邪魔します」
登下校中に姿を見ていたのはお互い様らしく、家の場所を指され観念した。
さすがに傘を持つのは譲ってもらい、少女が濡れないように傾けようとして、傘の内側が目に入った。
「えへへ、すごいでしょー。アカリのお気に入りなの!」
女の子にしては珍しく真っ黒な傘を持っているなと思ったが、その内側は外面に対して明るかった。
ぽつぽつと黄色い点がそこかしこに飛散しており、それはまるで――
「プラネタリウムみたいでしょ!」
家の前まで送ってもらったあと、シャレたお菓子なんて用意してなかった俺は、その足でコンビニに行き後日アカリちゃんにお礼をした。
/6/2『傘の中の秘密』
広告視聴完了前にアプリ落としたので
前の内容消えてしまいました……。
ひざの上にのせた愛犬のポロを撫でながら恭子は窓の外を見た。
「あ、よかった。見てごらん、晴れたよ」
愛おしそうに背を撫でる手は慈しみに溢れている。
「よかったねぇ。雨上がったよ。雨の中いくのは嫌だろうしねぇ」
撫でられているポロは目をつむって気持ちよさそうにしている。薄茶色のくるんと丸まった毛はふわふわとしていて、まるでぬいぐるみのようだと恭子はいつも思う。
「ほらほら、虹も出てきたよ。これで渡れるね」
恭子は手を止めず、撫で続ける。
窓の外は雲の隙間から晴れ間が見えており、その向こう側にはうっすらと七色の橋が見えた。
「ポロちゃん、今までありがとうねぇ」
恭子の声が震える。ぽたりと撫でる手に雫が落ちた。
恭子の悲しみを表すように降っていた雨は、虹の橋を渡らせたい彼女の願いが届いたのか、通り雨で済んだ。
「ポロちゃん、天国(あっち)に着いたら、空から私達を見守っててね」
恭子はようやく、撫でる手を止められた。
/6/1『雨上がり』
「惚れたほうが負け」なんて言うけれど
両想いになった時点でドローでしょ
/5/31『勝ち負けなんて』