繋いだ小指が覚えている。『約束だよ』 私と、あの人との約束。「約束、したじゃない……っ」 嗚咽に混じった悲鳴は、相手には届かない。「ずっと一緒だって! 言ったのにっ……!」 棺桶の向こうにはただ安らかに眠る彼女の姿のみ。 だが、相手は約束を違えたわけではなかった。(約束、守ってるよ。ずっとあなたのそばにいる――) 彼女は生前の姿のまま、彼女の横にぴったりと寄り添い、約束を守っている。/6/3『約束だよ』
6/3/2025, 5:39:37 PM