卵を割らなければ

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5/10/2025, 1:46:48 AM

夢を描け

夢の絵が飾られている食卓の
切らしたバター古い缶詰

5/9/2025, 6:32:02 AM

届かない......

と とりあえず
ど どうにかなるのかも
か 書き続けていれば
な 何かしら書けるのだし
い いいものが出来たと
  思えたりとか......

5/7/2025, 10:51:31 AM

【ゴールデンユニーク】

 私はショートショート作家だ。
 さて、ショートショートを書くにあたり最も大事なことは何かわかるかね?
 何?アイデアだって?
 ふむ。わかったようなことを言う。まあ、アイデアではあるさ。だが並のアイデアというのはな、平凡なものだよ。書いていて面白くない。テンションがた落ちだよ。

 そこで、ゴールデンユニークだ。黄金の価値ある独創的な発想。私の造語だよ。
 まあ私くらいになるとアイデアは泉のように湧き出て尽きないものだがね。玉石混交のアイデアを余さず手帳に記しておくのさ。すると化学反応が起きて、クソだと思われたアイデアも黄金の価値を帯びるようになる。一種の錬金術だな。
 何?見たい?馬鹿者。企業秘密だ。

「センセー、またなんか若い人たち集めて吹いてましたね。ゴールデンユニークとか言って。手帳の中身、真っ白なんすから。そういう大物感出すのやめてもらえます?」
 すっかり内情を知っている後輩が容赦なく言った。
(411文字)


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(他意はないです。やってみたかっただけです<(_ _)>)
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木漏れ日

風を受けそよぐ柳を見上げてる
木漏れ日浴びて光るたんぽぽ

5/6/2025, 4:27:03 PM

ラブソング

愛の歌自己愛の歌愛してる
愛したいだけ愛はいらない



手紙を開くと
【閉じられた手紙】

て 手紙は閉じられていた。

が 外部からのアクセスは
  シャットアウトしているようで
  エラーばかりが返ってくる。

み 見つけるべきは手紙の差出人
  のほうなのだ。しかし

を 表にはまず現れない。

ひ ひどく慎重で暗がりに
  身を潜めている。

ら ライセンスやら暗号キーやら
  認証コードやらを

く 駆使して、
  ようやく手紙の開封条件を
  満たしたのだが

と 当の差出人によって、手紙は既に
  灰にされ開くことが叶わなかった。
  ――unknown。
  差出人の行方は知れない。



手紙を開くと
【それぞれの生活】

て 丁寧な暮らしをしているのが
  伝わってくる。

が 学生の頃から手紙のやりとりを
  している友人がいる。その友人
  から届いた手紙を読んでいる。

み 味噌を手作りしたとか、
  草木染めを始めたとか。

を 大分に移住してからの暮らしは

ひ 鄙びた田舎なのよ、などと
  書かれているけれど、都会暮らし
  の長い私としては、流れる時間の
  緩やかさをうらやましいと
  思ってしまう。

ら 楽をすることや時短に価値をおく
  生活は、やはり違うのだろうと
  思う。

く 空調のととのった空間にいて、
  息苦しさを覚えたりする。

と 遠くへ行きたくなる。

5/4/2025, 12:25:40 PM

すれ違う瞳

 海の底。
 右目と左目が転がっていた。
 それだけがあった。
 もとは人間の瞳であったものだ。
 人間の一部分であったとき、二つはいつも同じものを見ていた。
 景色を、ものを、人を、映してきた。

 しかし。
 お前とは合わない。
 それは人間の一部だったときからなんとなく、くすぶっていた感情だった。
 左目が右目に対し、そう思っていたのだ。
 右目の視力は低かった。
 だから左目がその部分を補ってやった。

 いや違うだろ。右目が言った。
 コンタクトレンズをはめて矯正してただろ?
 それに右目だけが矯正されていたわけではないのだ。
 左目だって裸眼でいられるほどの視力はないのだから。
 どんぐりの背比べなのである。

 もうお前とは別れる。
 左目が言った。
 ああけっこう。
 右目が言った。

 二つは別々の方向に転がっていった。
 生まれたときから共にいて、初めて行動を別々にしたのだった。


 海の中は美しかった。
 興味の趣くままに、左目は転がっていく。
 しかしすぐに違和感に気がついた。
 視界が半分しかないのだ。
 ――これは。

 今まで全く気にしてこなかったが、右目が映すものを左目も共有していたのだった。
 これは不快だった。
 よく見えないので岩にぶつかったり、海藻に刺さったりと、あちこちが傷だらけになってしまった。
 主のいない貝殻を見つけて、なかに隠れて休んだ。右目のことを考える。

 あいつはどうしているのだろう。
 おれがいなくなって、やはりおれのように視界がきかず難儀してるんじゃないだろうか。

 左目は右目を探すことにした。
 広い海のなか、欠けた視界で小さな眼球を探すのは、とても難しいことのように思えた。けれど左目は、あの日右目と別れた場所まで戻ってくると、右目が進んでいったと思われる方向に転がっていった。


 そして、右目を見つけた。
 あっ!
 右目は恐怖にすくんでいた。
 右目はそのとき確かに左目を見たのだった。そして左目には、右目の映しているものが、欠けた視界に映り込んできたのだった。それは大きな闇だった。
 助けに入る間もなかった。

 大きな魚が口を開けて、右目を飲み込んだ。
 左目は目の前を横切っていく魚の目を見た。悠々と泳いでいく魚の目からは何の感情も読み取れなかった。


 右目の消滅とともに、左目もまたただの物体と化した。
 もうすでに、人間の一部でなくなったときから、二つは単なる物体でしかなかったのだ。全ては海が見せた幻に過ぎない。

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