青い青い
あ 青い実がついている
お 大人になれない実
い いつまでも青いままで
あ 甘くなるのを待っていたのに
お 落ちてしまった
い いつかの青い実
sweet memories
す 少しうまくいかないことがあって
い いつもはメッセージが来たところで
ろくに返事もしてない女に
い 『いつ会える?』
とメッセージを送る。
と 友達以上の断続的関係。
め 「迷惑だった?」「ううん」
も もたれかかっている。
り 理解してくれている。
――そう、思い込ませてはくれる。
い 「今でも好き?」と聞く女に
「(今だけ)好きだよ」と
ささやいている。甘く。
ず ……ずるいよな。
風と
「ねえ、どう思う?」
私が作った、風(ふう)たんと、小雪ちゃんのぬいぐるみ。風たんはミーアキャットで、小雪ちゃんはマングースなんだ。タケル、かわいいって言ってくれるかな?
「うん。かわいいと思う人はいると思うよ」
え?なに?ひとごと?
「ちょっとここ、ゆがんでるなあ。綿が均等に入ってない。こういうのは、はじめに裁断する段階で……」
アドバイス始めた!
タケルは服飾デザインの学校出てるんだよね。
うー。かわいいねって言ってくれるだけでいいのになあ。
「ねえ、私ね、風たんと小雪ちゃんのグッズを作って、ハンドメイドマーケットで売るのが夢なんだよねー」
この前テレビで見たんだ。ハンドメイド作家を特集した番組。憧れるなあ。
「いや……」
え?なに?
「まだまだ難しいと思うな。雑なつくりだし、そもそも関係値が」
は?関係値ってなに?ビジネス用語?わけわかんない。単に夢の話しただけなのに。
ここは、そうなんだー、いつか叶うといいよねー、だよね?風たん、小雪ちゃん。
あまりの話の噛み合わなさに、私は2体のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめたのだった。
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(頭の中を整理してたらできました。決して当てこすりではありません<(_ _)>)
軌跡
き 奇跡的に同じ時期、同じ場所に
私たちは生息していたのだ、
きっと。
せ 背中を吹雪の中で見たような
気もするし、雪解けの山中には
抜け殻や羽が落ちていたり、
足跡や野営の痕跡もあった。
だから、その
き 軌跡をたどっていったなら
この未確認生物であるXを
見つけることができるだろう。
私と同じ種であるUMAを。
好きになれない、嫌いになれない
今日こそ返事を聞かせてほしい。
颯太(そうた)は先日、リュイに付き合ってほしいと告白したが、返事をもらえていないのだった。
リュイは長い金髪をかきあげて、物憂げな眼差しを颯太に向けた。
「好きにはなれない」
「え……」
一瞬で心が凍りつく。リュイの視線を受けて、こんなときでも、きれいだなーと見とれてしまうのは、ショックを軽減するための、一種の現実逃避なのか。瞳が明るい茶色で、ふちは青みがかっていて。肌は白を通りこして青いほどだ。……じゃなくて。
「……そうか、わかったよ」
一応は持ち合わせているプライドで、何で?どうして?ダメなところがあれば全力で直すから!と、なりふりかまわずすがりつくこともできず、ふらふらと、その場を離れようとする颯太に、
「嫌いにもなれない」
と、澄んだ声でリュイが放った。
「え……?」なんだよ、それ。
「それって、つまり友だちってこと?」
今までと変わらないのか?告白したことで、気まずくなって、友人関係も失うくらいなら、変わらないと言ってもらえることは、ありがたいことだったけれど。
「そんなこと言ってない。ハナシまとめるなよ」
「は?」まぬけな声がでた。
「好きにはなれない。嫌いにもなれない」
「その心は?」大喜利か?
「下僕としてなら認める」
「はあああ――――!?」
思いがけないリュイの言葉に颯太はのけぞった。
「嫌なのか?」
そう言ったリュイの瞳が、冗談ではなく真剣なことに気付いてしまう。そして、全く嫌だと自分が感じていないことにも。
「嫌じゃない、です」
何故か口調まで改まり、二人きりの放課後の屋上は、夕暮れの空が薔薇色に染まり、その選択が天国なのか地獄なのかどうでもいいように、太陽の金と青とが混ざってきれいだ。