10/31/2024, 12:28:48 AM
前へと進むほど、何かが遠のいていく。
人は、これを意外と忘れがちになる。
目先に囚われ追いかけて、気づいた頃には田園のど真ん中。
それは成長という山々を、その険しい道のりを歩んだ先。
いつの間にか一人ぼっちになったのに、不思議と残念には思わない。
得るものを得ては何かを捨てて、知らぬ間に自分の足で辿り着いたゆえか。
鬱蒼とも、豊かとも思える背高い茂みに囲まれた生活。
時として潤いに満ちた空間に踏み入れ、萎れた心を存分に濡らした。
これもまた不思議なものだ。
嫌と感じていた世界に、ほんの少しだけでも戻ってみたい自分がいることを。
陰りに差した淡い木漏れ日と、澄んだ水音に惹かれたあの瞬間を。
置いてけぼりにされた癒しのひとときを思いに募る。
自分以外では敵わない、広がる白い山嶺に眼差しを向けて。
【懐かしく思うこと】
10/6/2024, 2:18:46 PM
思い出をフィルムに焼きつけても、
味わった頃には戻れない。
あの感覚も、あの瞬間も、
あの日だけ。あの時だけ。
【過ぎた日は想う】
10/2/2024, 10:44:05 PM
刹那に焼きついた出来事を、
微睡のような時のなかで募る私。
【奇跡をもう一度】
10/1/2024, 10:20:28 PM
朱混じりの黄金色に心を灼かれ、
眠るときまでその眼も奪われたまま。
夜の帳が下りる、そのときまで。
【たそがれ】
9/28/2024, 4:53:14 AM
君は素知らぬ顔をして過ぎていく。
大地を濡らしながら、空の散歩を続ける。
誰かにとっては面倒な気持ちになるだろう。
しかし、この雫で僕の心は静々と洗われていく。
空が灰色がかって陽が少し陰ろうとも、
淡い安堵感が、僕の身体を包み込む。
荒んだ毎日を、前触れもなく潤す君は、
道ゆくがままに堂々と彼方へ去っていく。
【通り雨】