いつまでも現実を知りたくない君。自分の妄想空間に囚われてばかり。そして囚われていることすらも自覚は不可能である。はたから見れば愚かで不気味な幼稚な人間。
………続く
青春を謳歌するか否かはここ、放課後で決まる。1つ目の部活は活動がほぼ無くて辞めた。2つ目は入る時期が遅かったことから来る疎外感で辞めてしまった。
そして中学生2年目。友人に誘われ3つ目の部活へと挑戦しようとしている。しかし又もやここで襲いかかる疎外感。分かっていた。勿論分かっていたさ。自分が口下手な人間だってね。知ってる。
カーテン1枚。異界と正常の隔て。たった、数ミリなのに。
一歩外に踏み出せば普通の家庭。各々が自由に自己を主張し、表現している。
何故そんな光が放てるの。何でそんな風に笑えるの。家に帰りたいの?休憩?落ち着く?何処で?家?
怖くないの?恐くないの?そんなことも言うの、伝えるの?
アイツさえいなければ。存在しなければ。その薄汚れた血筋諸共滅んでしまえ。不必要なモノですよ。ただの穀潰し。浪費者。この世では少なからず用途は無い。お前か存在するせいで、そして憎たらしい音を喉から出すせいで、どれほど苦しんだと思っている?滅びろ自らの手で。その人生に休止符を打ちなさい。最も後処理が楽な方法で。方法を探す為に苦心しなさい。苦労を知りなさい。自死が為に何故このような労力を費やさねばならぬのかと悩みなさい。
そして精神、諸共オカシクなって理由のわからないままに泡沫となり消えなさい。それが世の為、人の為というもの。
只、普通になりたかった。普通に囲まれて健やかに育ちたかった。お前が居ることが早14年の人生においての汚点。普通を知りたかった。見るだけじゃ駄目。身近に感じたかった。それだけ。ソレだけなのに。神なんて居ない。居るのなら相当の馬鹿野郎なんだろう。きっと私の方が上手くできる。そもそもニンゲンなどという愚かな有機物などは作らない。これだけのニンゲンが居れば欠陥品の産出は防げないから。
只、普通を望んだ。普通に焦がれた。羨ましかった。妬ましかった。これ以上、白く照らさないで。黒が、異端が、異世界が、その存在を直視したくない。お願い。お願い。
恋人が浮気してた。僕の「親友」と。浮気なんかしてないよね?とカマをかけた所、まんまとかかったらしい。馬鹿め。…でもそういうところもアイツらしい。
…世の中だと僕らは少数派なんだろうけど、こんなに気が会うこともあるんだな。皮肉にも流石、僕の親友だ。
僕の親友は泣いた。浮気が涙の根源。
でも、その相手を親友は知らされていない。言おうかとも思った。でも言葉足らずで誤解を生みたくなかった。親友だから。
親友は僕がその浮気相手だとも知らずに僕に泣いてすがった。嫌、僕からしたら向こうが浮気相手なんだけども。
彼と僕と親友で遊びに行ったこともあった。あいつはどんな顔してたんだろう。はたまた僕はどんな目で彼らを見ていたのだろう。過去の言動を振り返れば振り返るほど馬鹿らしい。
涙を止められない僕の親友。大粒の真珠の涙をぽろぽろと落とし、机に雫の跡をつくる。とても純粋な子だった。きっと初めての恋人だったのだろう。スマホを見て、微笑む相手はきっとアイツだったのだろう。アイツは僕の知らないあいつの顔を幾つ知っているのだろう。…考えたくもない。
僕は君の恋人と付き合っていたんだよ。涙を流し、憎んでいる相手は男の僕なんだよ。でも、誤解しないで寂しさを埋めるためだったから。僕の本当の好きな人はとても近くて、だからこそ手が届かなかったんだ。本当だよ。アイツのために涙なんか流さないで。そんなもの僕に見せないで。
…なんて言葉は勿論出て来ない。そんな勇気は持ち合わせてないからさ。
僕も泣く。親友は涙の理由を知っているのだろうか。
「愛してる。」
「あは、私もぉ」
そう言う彼の手にぐっと力が込められる。
「ぐうぅ」
酸素の供給が彼の大きな手によって遮断される。嫌じゃない。
「苦しい?顔、充血してて可愛いよ。」
「はっはっ、かっ」
「喋れない?まだだよ。」
言葉もままならない。視界がチカチカして、頭がふわふわかしてくる。もう、何にも考えたくないや。この快楽に身を委ねてしまいたい。
そろそろ意識、失うかも。暴れる力も無くなってきた。目から涙がぼたぼた落ちる。そんな私を愛おしそうに見つめる彼の瞳。
「よく耐えました〜。ふふ、偉いね。」
「はっはっ、」
手が私の首から離れる。顔に、頭に血が帰ってくる。酸素の供給が急に始まり、私の体は必死にそれを吸い込む。
「あは、そんなに苦しかったの?必死に口パクパクしちゃってね。」
「はは、えへへ…」
彼は私の全てを分かってくれている。死の淵まで追いやってくれる。それを嬉々としてやってくれる。
「……まだ終わってないからね。」
手を首に添え、密着させる。また、酸素の供給が止まる。
また始まったこの時間。束の間の休息は過ぎ去った。
いつからコレが好きになってしまったんだろう。もう随分前な気も、つい昨日の気もしてくる。今は何時?そういえばここは誰の家?私?
コンナことしたのはこれが初めて?何回目?記憶が何にもなくて、何にも考えられなくて、この衝撃しか感じ取れない。ここにどうやって来たの?前は何をしていたの?
「う、がっ」
「まだだよ。今度は気絶しても良いんだよ。」
「う、ぁ」
くらりと世界が動転する。視界もどろりと暗転する。
もう、いいや。
「おやすみ。」
朝日が身を刺す。寝ぼけた脳に記憶がどろりと流れ込む。処理できない。只々気持ちが悪い。
トイレに駆け込み、口に手を突っ込み全てを吐き切る。
「汚らしい。…汚らしい。」
虫唾がだらりと垂れたまま、次は洗面所。首をゴシゴシ擦る。
「何もなかった…何も…うん…そうだよ。」
「そう……そうだから…あの人はもう…あの人とはもう…切ったから。縁…縁…家族、違う。から…から。」
血と胃酸の香りが充満する、私の朝。