恋人が浮気してた。僕の「親友」と。浮気なんかしてないよね?とカマをかけた所、まんまとかかったらしい。馬鹿め。…でもそういうところもアイツらしい。
…世の中だと僕らは少数派なんだろうけど、こんなに気が会うこともあるんだな。皮肉にも流石、僕の親友だ。
僕の親友は泣いた。浮気が涙の根源。
でも、その相手を親友は知らされていない。言おうかとも思った。でも言葉足らずで誤解を生みたくなかった。親友だから。
親友は僕がその浮気相手だとも知らずに僕に泣いてすがった。嫌、僕からしたら向こうが浮気相手なんだけども。
彼と僕と親友で遊びに行ったこともあった。あいつはどんな顔してたんだろう。はたまた僕はどんな目で彼らを見ていたのだろう。過去の言動を振り返れば振り返るほど馬鹿らしい。
涙を止められない僕の親友。大粒の真珠の涙をぽろぽろと落とし、机に雫の跡をつくる。とても純粋な子だった。きっと初めての恋人だったのだろう。スマホを見て、微笑む相手はきっとアイツだったのだろう。アイツは僕の知らないあいつの顔を幾つ知っているのだろう。…考えたくもない。
僕は君の恋人と付き合っていたんだよ。涙を流し、憎んでいる相手は男の僕なんだよ。でも、誤解しないで寂しさを埋めるためだったから。僕の本当の好きな人はとても近くて、だからこそ手が届かなかったんだ。本当だよ。アイツのために涙なんか流さないで。そんなもの僕に見せないで。
…なんて言葉は勿論出て来ない。そんな勇気は持ち合わせてないからさ。
僕も泣く。親友は涙の理由を知っているのだろうか。
10/10/2024, 12:19:28 PM