最初から決まっていた。
生まれた時に、初めて目にしたのはなんだろう?
ただわかるのは、悲しくて、苦しくて泣いたことだ。
自分が生まれたということ、
この世界の一部になったこと、
そして最初から決まっていたかのように、
死へ向かって歩いていくことに。
今は悲しくも、辛くもない。
ただその瞬間に、
「そうか、ようやく自分の番が来たのか」
と思えるようにしたい。
ただ、願いが叶うとしたら。
私は、大切な人たちより前にこの世をさりたい。
彼らを見送るのは、きっと自分が死ぬより辛いだろう。
きっと彼らが先にさってしまうなら、
私は、自分からこの命を絶つだろう。
きっと最初から決まっていた。
この世からいなくなりたいと思うことを、
この世の酷さに耐えかねることを、
このままここで生きていくこと自体を嬉しいと思えないことを、
「ごめん」そう思える。
私を産んで、育んできた家族に…
この世で、皆んながいなくなった後、
私は私ではいられない。行きたいと思えない。
今でさえ先が見えず、描けず、立ち止まっているのに。
時間はただ過ぎ去るばかりで答えをくれない。
いっそのこと、このまま自分の時だけが止まって仕舞えばいいと、
年が明けるごと、誕生日を迎えるごとに思っている。
きっと、最初から決まっていたことなのに。
太陽
太陽と聞くと私が一番に思い出すのは、
太陽に焦がれる余り、
翼を焼かれてしまったイカロス。
それを今の人が聞くと
「当たり前だ」「アホなのか?」
というでしょう。
けれど、私にはわかってしまう。
どんなに遠くとも、手を伸ばしても届かないと
わかっていても。
諦められない。何度でも、
たとえイカロスのように空から真っ逆さまに落ちようとも…
焦がれてやまない感情があるのだと知っているから。
諦めようとしても、胸を焦がす、
激しい感情があるのだと知っているから。
何度でも手を伸ばしては、届かない距離にあるのがもどかしいと感じてしまうから。
鐘の音が鳴る。
その下には、新しい誕生を喜ぶかのように。
人組の夫婦が、まだ生まれて間もない赤子を抱いている。
我が子に明るい未来を望む為ここにいる。
優しい顔で寄り添い合い、赤子はすやすやと寝息を立てている。
鐘の音がなる。
祝福するように。
その下には、愛を誓った二人の人がいる。
一生を添い遂げるためにここにいる。
笑顔が溢れ、これ以上の幸せはないのだと告げているようだ。
鐘の音が鳴る。
涙を流すかのように。
その下には涙くれ、明日の希望を無くした人がいる。
亡くなった人を偲ぶためここにいる。
いつ頃からいるのか。瞼を腫らしながらも、それでも溢れる涙は枯れない。
鐘の音がなる。
まるで、別れを惜しむかのように。
その下は、黒で染まっている。
多くの人が集まり、去っていった一人にお別れを告げる為ここにいる。
涙を流すもの、お別れを惜しむもの。また涙の流し方さえ忘れてしまったものまでいる。
鐘の音は、私たちを見守っている。私たちが生まれてからこれまで。そして、いつかくるお別れの時までを。
優しく、まるで子を思う母のように、見守ってくれている。
つまらないことでも。
一度始めてしまえな、楽しくなる。
子供の頃、大嫌いだった読書も、
今では、大好きになった。
大好きなものが、いつのまにか空虚に感じるのと一緒で
昔も、今もつまらないと思いうものや、嫌いなものが
いずれ好きになる。
そういうことってよくあることだよね。
つまらないものも突き詰めていけば好きになる。
そう思えば、
つまらないと思えたものが途端に楽しいものに変わる
目が覚めるまでに、
この夢を脳裏に焼き付けよう。
貴方の笑顔を、
交わした言葉を、
この儚い時を、
たとえ、目が覚め、
胸の痛みが増そうとも、
涙がこぼれ落ちようとも。
貴方とのこのひと時を忘れてしまわないように。
「さようなら」がこんなにも、
胸を締め付ける。
2度と会えなくなるとわかっていたら、
私はどうしていただろう。
そんな後悔が、とめどなく溢れてくる。
目を開けるといつも、視界がぼやけている。
あの日に、戻りたいのかはわからないけど。
言えなかった言葉は確かにあるのだと
いつも目が覚める時、思い出す。