#突然の君の訪問
「…い、、お〜い、お〜〜い!」
少し遅い朝飯のあと、
腹がいっぱいになって横になっていたら、
そのまま寝てしまったようだ。
もう随分と会っていない息子の声を聞いた気がした。
ぼーっとしたまま体を起こす。
"ああ?今のは夢か?あいつがいるはずないもんなぁ"
またパタリと横になる。
「お〜い、父さん!お〜いお〜い!」
………
………………
"間違いない!あの声は息子だ!"
今度は確信して飛び起きる。
「お〜!俺はここだぁ!!」
ピンポーン。
「はい、、あら!まぁ、随分久しぶりだこと!元気にしてた?」
「急にごめんねぇ。近くまできたもんだから、寄ってみたの。この辺すっかり変わっちゃってさぁ!
道に迷っちゃって(笑)
も〜電話すれば良かったんだけど、チョコがいきなりワンワン吠えてぐいぐい引っ張るもんだから〜」
「あら、そうだったの!最近は滅多に吠えなくなったクロが急に遠吠え始めたから、なんだろうねって話してたところだったのよ〜。案内してたのかしら。さ、上がって」
「わ〜、クロちゃん久しぶりね!白っぽくなったねぇ。ね、チョコ、お父さんだよ、分かる?」
「おぉチョコ、よく来たな、元気だったか?」
「父さん久しぶり!僕はね、元気だよ!父さん、クロじゃなくてシロになってるじゃん!」
「はは、昔は真っ黒だったのになぁ。」
「こんなに楽しそうなクロ久しぶりに見たわ。最近は歳のせいか…寝てばかりだったんだけど、なんだか元気でたみたい。チョコありがとね、また来てね」
「じゃあな、チョコ、またな!」
「父さん、またね!次は、昔一緒に遊んだ公園行きたいなぁ!」
"ふあ〜〜!子供だったチョコがあんなにデカくなってなぁ。。。公園かぁ、……よっしゃ"
「お〜い、飼い主ぃ、久しぶりに散歩でも行こうぜぇ!」
ころあね.
#友だちの思い出
私はある雑誌の取材で、
不思議な体験をしたと言うAさん(仮)を尋ねた。
彼には、4歳の頃からの幼馴染がいる。
幼稚園・小学校・中学校・高校、
青春を共にしてきた。
ずっと友達だと思っていた、と彼は語る。
思っていた?喧嘩でもしたのですか?
私が尋ねると、"消えた"と言う。
お亡くなりになられたのですか?
「いや、消えた。ある日突然、存在自体が消えた」
私が混乱していると、Aさんは
「成人式の日に消えた。前日まで、明日楽しみだなと話していたのに…。
式が始まるのに来なくて、そいつに電話してみようと思った。でも携帯にはそいつの番号がない。それどころか、名前が分からない。思い出せないんだよ。
他の友達に聞いてみたけど、そんな奴いたか?と誰も知らない。
そいつの存在がなくなったんだよ」
世の中には不思議な話はたくさんあるが、
いざ体験者を目の前にすると、
これが現実におこっていることなのか?と怖くなる。
結局、その友達が何者だったのかわからずにその日は別れた。
この話には後日談がある。
3日後、Bさん(仮)の不思議体験を取材した。
この話がAさんの話と全く同じなのだ。
4歳の頃からの幼馴染がいる。
幼稚園・小学校・中学校・高校、
青春を共にしてきた。
ずっと友達だと思っていた、と。
成人式の日に消えた、と。
私はネットか何かで見た作り話だと思った。
ああ、この人達は自分の体験談として作り話をしたのだと。
話を最後まで聞かずに
「はい、分かりました。実は3日前に同じ話を聞きました。Aさんという方なんですけどね、、」
Bさんの顔色が変わった。
私もハッとした。
「Aさんに連絡してみます!」
その場でAさんに連絡をすると
ちょうど近くにいるから用事が済んだらすぐに行くと返事が。
待っている間、
もしかしたら消えた友達かもしれない、
15年越しに会えるのかもしれない、
期待がふくらむ。
Aさんが現れると、それは確信に変わった。
お互いに探していた友達に間違いない、と。
なんとも不思議な話があるものだ。
私は雑誌に載せるにあたり、
掲載許可をもらおうと連絡を取ろうとした。
しかし、できなかった。
連絡先が消えている。
名前も思い出せない。
2人の存在自体が消えたのだ。
はたして、2人は幽霊だったのだろうか。
それとも私のいる世界とは、別次元の世界の人達だったのか。
いや、人ではないナニカか。
今もどこかで存在しているのか、
あの出来事はなんだったのだろう。
いままで生きてきた世界線が壊れる。
私は生きているのか、死んでいるのか、
存在しているのか、幻か、
それさえも不安になる。
そもそも私は誰なんだ。
すみません、この世界は現実ですか?
ころあね.
#突然の君の訪問
コンコン…コン…コン
それは春先の暖かく気持ちのいい日だった。
お昼寝でもしようか
そう思ってソファに横になり、ウトウトしだした時、
窓に何かが当たってるような音が聞こえた。
カーテン越しに薄っすらと見えるシルエットを見て私は驚いた。
「鳥だ…!!!」
慌ててメガネをかけてベランダに走る。
「きっと迷子になった飼い鳥に違いない!ええ!どうしよう!」
鳥さんがびっくりしないようにそっと窓を開ける。
そこで私は驚いた。
なんとそこにいたのは、パンツ。
正確に言うと、干し場所がなくなり、
ハンガーにかけられた旦那のパンツと洗濯バサミ。
落ちないように洗濯バサミで留めたのだった。
それがどういうわけだか視力の悪い私には、
鳥のクチバシに見えたらしい。
「うそやん……」
関西人でもなんでもない。
私は東北出身だ。
「そんなことあるぅ〜?」
誰に言うわけでもなく、ただ呆然と立ち尽くす。
コンコン…コンコン
そしてまたあの窓を叩くような音が聞こえた。
どこから聞こえる?
音のする方向を探る。
こっちか…?
私は驚いた。本日三回目。
はい、うさぎです。
ペットのうさぎ。
空っぽになったご飯入れを歯でコンコンして遊んでいる。
「君はキツツキなのかい?」
今日のお題は、"突然の君の訪問"
こんな体験を思い出した夏の暑い日。
ころあね.
#言葉にできない
うちにはかわいい生き物がいる。
キンクマハムスターとうさぎだ。
うさぎはとにかく可愛い。
何をしていても可愛い。
ニオイつけの為にアゴをスリスリしてくる。
まるで、「僕のモノ〜♪」と言っているようだ。
先日、義父と義母が来たときの話。
うさぎの生態が分かっていない義父は、
義母のバッグにアゴをスリスリしている様子を見て
「アゴが痒くて掻いてらぁ。」
そう言った。
その時は
[なるほど。知らない人からしたらそう見えるのか]
と思ったのだが、時間が経つにつれて
ジワジワと笑いがきた。
アゴが痒かったら自分の足で掻くんじゃ…?
キンクマハムスターは天使。
寝顔を見ては、
「てんち、てんち(天使)」
と騒ぐ。もちろん名前がてんちな訳ではない。
いや、もしかしたら本ハムは
てんちが名前だと思ってるかもしれない。
とにかく何が言いたいかと言うと
うちの子達は
"言葉にできない"
くらい可愛いのだ。
ころあね.
チッ、チッ、チッ、、
今日も時計は現在(いま)を刻む。
過去には戻らない。戻れない。
人生もまた同じ。
あの時ああすれば…あの時こうしてたら、、
現在何を思っても、それはすべてたられば。
だったら、後悔しないように現在を一所懸命生きようか。
だって過去には戻れない。
そう、時計の針のようにね。