ころあね.

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#友だちの思い出

私はある雑誌の取材で、
不思議な体験をしたと言うAさん(仮)を尋ねた。

彼には、4歳の頃からの幼馴染がいる。
幼稚園・小学校・中学校・高校、
青春を共にしてきた。
ずっと友達だと思っていた、と彼は語る。

思っていた?喧嘩でもしたのですか?
私が尋ねると、"消えた"と言う。
お亡くなりになられたのですか?
「いや、消えた。ある日突然、存在自体が消えた」

私が混乱していると、Aさんは
「成人式の日に消えた。前日まで、明日楽しみだなと話していたのに…。
式が始まるのに来なくて、そいつに電話してみようと思った。でも携帯にはそいつの番号がない。それどころか、名前が分からない。思い出せないんだよ。
他の友達に聞いてみたけど、そんな奴いたか?と誰も知らない。
そいつの存在がなくなったんだよ」

世の中には不思議な話はたくさんあるが、
いざ体験者を目の前にすると、
これが現実におこっていることなのか?と怖くなる。
結局、その友達が何者だったのかわからずにその日は別れた。

この話には後日談がある。

3日後、Bさん(仮)の不思議体験を取材した。
この話がAさんの話と全く同じなのだ。

4歳の頃からの幼馴染がいる。
幼稚園・小学校・中学校・高校、
青春を共にしてきた。
ずっと友達だと思っていた、と。
成人式の日に消えた、と。

私はネットか何かで見た作り話だと思った。
ああ、この人達は自分の体験談として作り話をしたのだと。

話を最後まで聞かずに
「はい、分かりました。実は3日前に同じ話を聞きました。Aさんという方なんですけどね、、」

Bさんの顔色が変わった。

私もハッとした。

「Aさんに連絡してみます!」

その場でAさんに連絡をすると
ちょうど近くにいるから用事が済んだらすぐに行くと返事が。
待っている間、
もしかしたら消えた友達かもしれない、
15年越しに会えるのかもしれない、
期待がふくらむ。

Aさんが現れると、それは確信に変わった。
お互いに探していた友達に間違いない、と。

なんとも不思議な話があるものだ。


私は雑誌に載せるにあたり、
掲載許可をもらおうと連絡を取ろうとした。

しかし、できなかった。
連絡先が消えている。
名前も思い出せない。
2人の存在自体が消えたのだ。



はたして、2人は幽霊だったのだろうか。
それとも私のいる世界とは、別次元の世界の人達だったのか。
いや、人ではないナニカか。

今もどこかで存在しているのか、


あの出来事はなんだったのだろう。

いままで生きてきた世界線が壊れる。

私は生きているのか、死んでいるのか、

存在しているのか、幻か、
         
それさえも不安になる。

そもそも私は誰なんだ。


すみません、この世界は現実ですか?

                 ころあね.


                 








7/7/2024, 9:44:11 AM