夜空を越えて
雲の切れ間から、ひときわ明るい星が瞬いた。
星を追いかけるように、海岸をゆっくりと歩く。
暗い海に月の光がゆらりと揺れて、道のように伸びていく。
その細い光の道をたどれば、
まだ誰も知らない場所へ辿り着ける気がした。
波は静かに寄せては返し、
まるで「進んでいいよ」と背中を押す。
足もとに冷たい潮が触れた瞬間、
胸の奥で眠っていた勇気がそっと目を覚ます。
遠くで小さな白波が跳ね、
月明かりに照らされて、まるで笑っているようだった。
凍える指先
今日でバイト先に行くのは最後
私はあえて先輩がシフトの日に制服を届けに行った
先輩はいつものように作業で忙しそうだ
「先輩、お世話になりました。」勇気を出して先輩の背中に声をかけた
「お疲れ様。」その一言だけ
これでもう会うことはないもう会えない
お辞儀をして歩き出す
もっと話したかったこれから会えないなんて連絡先も知らないのに
涙が溢れてきて自分が奥手すぎて後悔でいっぱいだ
1人で歩く道は寂しくて夜風が体に突き刺さる
「寒い」指先が冷たくなり涙すら冷たく虚しい気持ちになる
雪原の先へ
あと何回冬を過ごせるだろうか
余命5年。そう言われてから5年経つ。
体が痩せ細り1人で立ち上がることも出来なくなった
今年も大好きな冬がやってきた
冬はクリスマスもあって病院の庭には小さなイルミネーションが飾られるし
お正月は家に帰れて家族みんなで過ごせる。
冬は幸せだ
お願い神様もう少しだけ雪を降らせてください
きっとこの雪が降り終わる頃にはもういないから
「白い吐息」
最近大きな課題のせいで、落ち着かない日々が続いている
それは「彼氏に別れを告げる」こと、一年半付き合い家族みたいな存在の彼を男として見るのが難しくなり別れを告げることにした。
彼は私に依存してる、いつも「振らないでね」、「結婚しようね」そう言われるたびに振ろうと思っても言い出せない
最近はタバコを1日に吸う量が12本から20本に増えてしまった
夜に吸うと白い息がくっきり見える
白い息がほどけて夜の空に溶けていく。
その一瞬だけ胸のつかえが軽くなる気がして、私はフィルターを見つめたまま立ち止まった。
スマホが震えた。
画面には、彼からのメッセージが並んでいる。
「今日、声聞きたいな」
「忙しいの?」
「無理しないでね」
優しさとも依存ともつかない言葉が、胸に重く積もる。
返信しなきゃ、と思うのに、指が動かない。
返せば、また同じ毎日が続く。
返さなければ、彼を傷つける。
そのどちらも怖かった。
深呼吸をした。夜気が冷たくて、肺の奥に少し痛い。
白い息がまたゆらめく。
――どこかで決着をつけないと、ずっと立ち止まったままだ。
私はタバコの火を靴底で消し、夜空を見上げた。
明日こそ言おう。
逃げずに、ちゃんと自分の言葉で。
白い吐息が、決意を確かめるようにふわりと揺れた。
「消えない灯り」
会えない?
僕は家を飛び出し、アスファルトを踏み締めて走る
夜なのに世界は不思議と明るく、月の光が夜道を照らす
「遅いよ、ばか」
息が切れ整えようとしても、心臓の鼓動がやけにうるさい。
彼女はお風呂上がりか金木犀のいい香りがする
夜2時、明るい夜が俺たちを照らしてくれた。