君が息を引き取る一瞬。
長く歳を共に重ねてきた。
「貴方が先に行かれるのですね。」
私の口から出た唯一の言葉。
貴方はいつもの様に同じ言葉を言って目を閉じた。
その安らかな表情に私を置いていくことの不安も恐怖も感じなかった。
いつものように明日が来ることを知っているかのように。
「また、明日」
《また明日》
私には君が見えなかった。
それは変わらず今も。
私の視界は真っ暗で声だけが頭を流れる。
私といても君は何にも染まったように感じなかった。
悪にも善にも。
そんな私が想像出来る君は透明だった。
まだ何色でもない、何にでもなれる透明な君。
《透明》
私が思うタイプは「優しくて真面目で身長が高くて努力家な人」
私は彼に無理強いをしていたのかもしれない。
私の理想の人になろうと。
でも、間違いだったかもね。
そんな理由で貴方が壊れていいはずないんだよ。
《理想のあなた》
「君以外なんて居ないよ」
そういった彼はその日から私の前に現れなくなった。
「ねえ、夏佳(なつか)元気だしなよ。彼氏くんが居なくなったのもう2年も前だよ?」
そう言われた言葉が頭の中を回りながら家路につく。
彼が居なくなってもう2年が経った。
いつもは長いと感じるはずの2年が今は早く感じた。
なぜ彼は居なくなったのだろう。
不意に頭の中を彼の両親が過ぎった。
彼が居なくなって私は彼の両親を2度か3度尋ねたが、そのどれもが彼の居場所と両親の知っていることを聞いただけだった。
私は家が見えてきた所で引き返し、彼の実家へと向かう。
彼の家はさほど遠くない。
彼の両親は悟ったかのように椅子に腰掛けるなり言った。
「あの子の居場所を知りたい?」
そう言われて案内されたのは私の家の近くの墓地だった。
そこのひとつに彼の名前が刻まれていた。
「うそ……どうして……」
「あの子はね、心臓が弱くてね。頑張ってたんだよ。夏佳ちゃんの為に。でも……ドナーが見つからなくて……」
どうして彼は言ってくれなかったんだろうか。
そう思うよりも先に溢れる涙が止まらなくなり、立っていられなくなった。
そんな時後ろから彼の声が聞こえたようだった。
「君を悲しませくはなかったんだけどな」
君はずるい人だ。
《突然の別れ》
初恋は小学2年生の頃。
泣いてる女の子を励ましたり女子の味方したり男子とふざけたり自分の意見を持っていたり。
そんな男の子に恋をした。
どうすることもなく片思いを抱えたまま小学校を卒業し、中学に入った。3年間同じクラス。
私には彼氏ができた。
月日が経つと彼の性格が垣間見えた。
6ヶ月もしないうちに別れを切り出した。
少ししてまた初恋の相手を好きになった。
中学3年の9月初恋の相手に彼女が出来た。
諦めよう。諦めたい。
けれど、それから卒業式まで彼は私の前の席だった。
3回も席替えがあったのに。
私はどうすることも出来なかった。
そんな初恋と数年もの片思い。
そして、失恋。
《恋物語》