しじま

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7/1/2024, 6:05:20 PM

横殴りの雨ってホントに真横から降ってんだなぁ。

なんて、馬鹿みたいなことを考えながら、リビングの窓ガラスを大量の雨水が流れ落ちていく様を見た。

テーブルに置いたスマホからは、警報の通知がひっきりなしに鳴って、さっきから全然仕事が捗らない。

くあっ、と大きく欠伸をしてパソコンを閉じた。

もう明日やればいいや、と椅子の背もたれにデロ〜ンと身を預けて脇腹を掻く。

脱げかけたスリッパをパタパタと揺らして、心做しかさっきよりも勢いが増した気がする風雨に耳を傾けた。

テーマ「窓越しに見えるのは」

7/1/2024, 5:38:52 AM

素麺の中の色付き一本。

掬って食べるのは、いつも君。

味なんて、白いのと変わらないのに。

君が美味しそうに食べるから。

わざと避けて白を掬う。

麺つゆに浸したら味なんてみんな同じだもの。

ふふふ、と笑って。

真赤なサクランボを捕まえようと必死な君を見入った。

テーマ「赤い糸」

6/30/2024, 3:46:11 AM

 空にプカプカと浮かぶ大きな積乱雲を見て「ラ○ュタだ!」と友達と巫山戯合ったのは、もう何十年も前のこと。

永遠とも思えるような子供の日々は過ぎ去り。

 あっという間に私は大きくなって、今や日々、その他大勢の大人と同様に仕事に追われている身。

今年も既に半分が終わって、あともう少し経てば学校は夏休みに入るだろう。

 少しだけ、あの夏の日に浸りたくなって、小さな四角い窓の外、雲一つない青空を見つめた。

テーマ「入道雲」

6/28/2024, 6:46:33 AM

 ぱんっぱかぱぁ〜ん、というアホ丸出しのSEが突然自室に鳴り響いたと思った瞬間、見覚えのある光輪が宙に出現した。

「おめでとーございますー、アナタはうん百人目のベリーハッピー?ラッキー?な御方で御座います!!」

 クルクル回る光輪の中央から、ヌルっと現れたのは自称神様、の補佐をしている天使さん。

白い長髪をウネウネと―なんかそういう力でやってるらしい―させながら、年寄り臭い掛け声一つ、ズルリっと光輪から引っ掛かっていたらしい下半身を抜いた。

「ややっ?!いやぁ、アナタでしたかー!先日は主が大変お世話になりましてー、どうもですー!」

 中性的で美しい姿形が台無しの、キンキン甲高い声にゆるーい口調。

「本日は幸運なアナタの願いを一つだけ叶えましょうー、というキャンペーンでやってまいりましたんですー!」

 名前は、……何だったかな? まあ、いいか天使で。

「早速なんですがー、何でもいいんで何か願い事を言ってくれますー?ホントー何でもいいですよー?あっ、異世界転生いっときます?外界で凄く流行ってるって聞きましたよー!」

「今すぐ帰ってくれ!ハウス!!」

 そんなあ〜、とションボリ顔をしながら天使はフワッと消えていった。

テーマ「ここではないどこか」

6/26/2024, 4:01:54 PM

君の居ない家。

君の居ない街。

君の居ない毎日。

君が隣に居ない、空虚な現在。

仕事も手につかない、机の上やらパソコンの中に溜まる一方だ。

最近は気付けば溜息ばかり吐いて、何だか一気に老け込んでしまったようで、更に気が滅入ってしまう。

窓の外の殺風景なビル群をぼんやりと見下ろして、本日何度目かの溜息を腹の底から出した。

君と最後に触れ合ったのは一週間前。

一週間。

たった一週間、君に会えないだけで、私は無能へと成り果てる。

テーマ「君と最後に会った日」

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