薄暗い廃屋をペンライトの弱弱しい灯りを頼りに、二人互いにしがみつきながらコソコソと進んでいく。
ビビリのくせにホラーが大好きな君にせがまれて、職場の近くで開催されていた体験型ホラーアトラクションに現在、共に参加中だ。
遊園地のお化け屋敷とは違って、制限時間内に謎を解かないとゲームオーバーとなってしまうらしい。
廃屋内を徘徊する幽霊役に見つかってもゲームオーバーになってしまうので、警告音が鳴る度に幽霊役に見つからないように息を潜めて隠れなければならない。
幽霊から隠れつつ謎を解いていく、全く新しいアトラクションらしいのだが。
やっていく内に、そこはかとない懐かしさが込み上げてくる。
何だろうな、と扉の裏に隠れてやり過ごし、去っていく幽霊役の背を見てハッと頭に浮かんだ。
これほぼ缶蹴りだ。
テーマ「怖がり」
使い道のない雄のヒヨコみたいに罪人は皆ミキサーにかけちゃえば良い。
ドロドロになったのを型に流し込んでミートローフにして、刑を待つ罪人共に食わせれば、とってもエコだろう。SDGs。
罪に重いも軽いも無い、犯したのなら皆死刑にすべきだ。
罪人のくせに雨風しのげて三食昼寝付き、おまけに医療も受けられる。
究極の税の無駄遣い。
罪人に甘い世界に未来はない。
テーマ「星が溢れる」
近くの用水路沿いに植えられた寒緋桜が満開らしく、休みの日に二人で散歩。
ポカポカとした春の陽気、だが、吹く風は未だ凍えるような冷たさで、時折吹く強風に二人してワアワア言いながら目的地まで歩いていく。
すっきり爽やかな空の青と、艶やかな赤色の寒緋桜と桜らしい桜色の彼岸桜、まだまだ裸のソメイヨシノとヤマザクラ。
知る人ぞ知る、といった穴場のようで近所の年寄りだろうか、車通りの皆無な道端に家から運んできたであろう籐椅子に座って数人、のんびりとお茶会を開いていた。
風が吹く度、はらはらと舞う赤と桜色の花びらが用水路へと落ちていき、水路の水と一緒に流れていく。
きれいだね。
うっとりと桜を見上げている君が呟いた。
うん、そうだな。
同じように桜を見上げるフリをして、君の横顔を眺めていた。
テーマ「ずっと隣で」
貴方の好きなもの。
貴方の嫌いなもの。
貴方の好きなこと。
貴方の嫌いなこと。
貴方の好きな人。
貴方の日常。
貴方のこと、一目見た時から好きになってしまったので。
貴方のことなら、どんな些細なことでもいい。
知りたい。
テーマ「もっと知りたい」
神は可能性だけを与える。
自らの力を振るうようなことはしない。
助けることも、裁きを下すこともしない。
ただ、静観するのみ。
奇跡も悲劇も喜劇も惨劇も、全て。
どう転んだところで、神にとっては愉快な余興の一つでしかないのだから。
今もきっと、ケラケラと大笑いしながら、世界を眺めているんだろう。
テーマ「愛と平和」