近くの用水路沿いに植えられた寒緋桜が満開らしく、休みの日に二人で散歩。
ポカポカとした春の陽気、だが、吹く風は未だ凍えるような冷たさで、時折吹く強風に二人してワアワア言いながら目的地まで歩いていく。
すっきり爽やかな空の青と、艶やかな赤色の寒緋桜と桜らしい桜色の彼岸桜、まだまだ裸のソメイヨシノとヤマザクラ。
知る人ぞ知る、といった穴場のようで近所の年寄りだろうか、車通りの皆無な道端に家から運んできたであろう籐椅子に座って数人、のんびりとお茶会を開いていた。
風が吹く度、はらはらと舞う赤と桜色の花びらが用水路へと落ちていき、水路の水と一緒に流れていく。
きれいだね。
うっとりと桜を見上げている君が呟いた。
うん、そうだな。
同じように桜を見上げるフリをして、君の横顔を眺めていた。
テーマ「ずっと隣で」
3/13/2024, 5:26:43 PM