しじま

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2/19/2024, 6:03:01 AM

 深夜、家族が寝静まってから私は動いた。

自室のドアを音が出ないようにゆっくりと半分だけ開けて、スルリと抜け出す。

真っ暗な廊下を抜き足差し足、何処からともなくトテトテと近寄ってきた飼い猫に「しー」と人差し指を立てながらキッチンへ。

途中、トイレに起きてきた父親を壁に貼りつき気配を消してやり過ごして、父親が用を足しているスキに両親の寝室を横切った。

キッチンに到着、しかし、まだ電気はつけない。

父親が寝室に戻るまでは暗闇の中、息を殺して待機する。

成長期だからしょうがないのだ、どうしても小腹が空いてしまうのだ。

○清のカップヌードルを貪りたいお年頃、それと時間帯なのだ。

さあ、さっさと寝に行ってくれ父よ。

はやく食べ「うわぁっ、ビックリしたな、もう、電気くらいつけなよ?」

 くそっ、今夜は失敗だ!

テーマ「今日にさよなら」

2/17/2024, 4:44:25 PM

 ウォーキングの道すがら、公園の噴水広場とグラウンドの一角でボロ市――いい感じの言葉で言えばフリーマーケット――が開催されていた。

駅から少しだけ遠い立地にも拘らず大盛況、臨時で置かれたベンチには一足先に戦利品をゲットした人達が休憩している。

 潔癖の気がある君は素通りすると思ったのだが、意外にも興味が惹かれたようで「見ていこう」と手を牽かれて。

色とりどりのタープやパラソルの下、所狭しと置かれたガラクタの山にキラキラと目を輝かせている君を見て悟った。

 どうやら、物欲が無い訳ではないようだ。

生活必需品意外ほぼ買ってこないのは、君のストライクゾーンが針穴のような狭さだからか。

 今も、何に使うのかサッパリ分からない、鉄製のハサミのような物を握ったり、ひっくり返して見たりしている。

 ……買うの?ソレ。

そう君に問えば、そのハサミのような物体をカチカチいわせながら、コクリと君は頷いた。

テーマ「お気に入り」

2/15/2024, 1:41:10 PM

白紙。



そうか、私は――。




テーマ「十年後の私から届いた手紙」

2/15/2024, 8:49:13 AM

いつもお世話になっている上役のあの人へ。

チョコレートのかかったマドレーヌを。

普段は受け取ってくれないけれど、今日はタイミング良くティーブレークしていて。

「紅茶のお供に」とバッと差し出したら、受け取ってくれた。

嬉しい。今なら、目の前の窓から飛び降りて、シュパッと華麗なトーマスを披露出来そう。

そのくらい、嬉しい。

テーマ「バレンタイン」

2/13/2024, 4:13:24 PM

高い高い壁を作って囲って。

ゴミ投げ入れて押し込んで。

焼却、滅却、消毒、滅菌。

キレイキレイしましょう。

地球は一つ、世界は一つ。

ガラクタ、産廃、生ゴミ、汚物。

ぜんぶ、全部。

高い高い壁の中から、溢れ出てくる前に。

燃やせ、燃やせ、焼き尽くせ。

汚れた世界が少しでもキレイになるように。

テーマ「待ってて」

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