泣かないで。
あなたが泣いたら、私も悲しくなってしまうよ。
あなたの笑顔が見たいな、これで最後だから。
私はもうすぐ消えちゃうけど、ココに、ちゃんと居たよ。
あなたの側に。
あなたと同じ場所には逝けないけれど。
あなたの最期に寄り添うことは出来ないけれど。
あなたが居てくれたから、私は幸せだったよ。
ありがとう、さようなら。
私の、大好きな――――。
テーマ「伝えたい」
いつから走っていただろうか。
何度も走り続けて、見知った仲間が少しずつ居なくなっていって。
それでも走り続けて。
いつの間にか、私ひとり。
真っ白な霧の中を駆けていた。
背に乗る相棒も居らず、少々の心細さを感じつつも、ひたすら走る。
それが私達だからだ。
皆生きる為に生まれてくる、私達もそのように生まれてきた。
晴れることのない霧の中、蹄音を響かせひた走る。
テーマ「この場所で」
ドラマチックな人生なんて望んでいない。
愛したくない、愛されたくない。
関わりたくない、絡まれたくない。
平時、平静、平穏に。
好きなことをして生きていたい。
その細やかな願いを脅かす存在は。
須く根絶やしに。
テーマ「誰もがみんな」
TGIF!!
ルンルンご機嫌な足取りで仕事終わりに商店街を闊歩。
明日から三連休なので今夜は二人で映画鑑賞会、そのオトモに何か美味しそうな物はないかとキョロキョロ物色。
ケバブ、唐揚げ、おでん、どの店も「違うなあ」と通り過ぎて商店街を折り返す。
おでん、焼き鳥、唐揚げ、寿司、ケバブ、スーパー……。
最近またブヨブヨしてきた腹の肉をポケットに突っ込んだままの手で抓んで。
うんうん唸りながら、また折り返していたら買い物帰りの君に捕まった。
テーマ「花束」
起きている時は仏頂面なのに。
寝ている時は、なんだか笑っているみたい。
君のかわいい口元。
今日もお仕事お疲れさま。
ぐっすり眠っている君を起こさないように、優しく労るように、頭を撫でる。
おやすみなさい、良い夢を。
眉間に刻まれたシワを軽く伸ばしてから、そっとキスをして隣に潜り込んだ。
テーマ「スマイル」