ふんふんと鼻歌を歌いながら、ローテーブルを窓辺に引っ張っていく君。
また何かやるのか、とキッチンの流しで米を洗いながら眺めていると、スリッパをパタパタ言わせながらリビングから出ていった。
と、思ったら直ぐに座布団を抱えて帰ってくる。
そして、またリビングを出ていった……あ、帰ってきた。
今度はトイレに飾っていた益子焼の一輪挿し、生けてある花を見て合点がいった。
ああ、十五夜か。
月日の経つのが早いこと、と米と水を入れた釜をセットして炊飯器のスイッチを押した。
さて、お月見だんご、どうしようか。
テーマ「たそがれ」
どんなに辛く苦しい日々でも。
君と一緒なら大丈夫、何だって乗り越えられる。
手をつないで、時には身を寄せ合って。
君と一緒に、明日へと歩いていく。
テーマ「きっと明日も」
命は、一所には留まれない。
空を流れる雲のように、深い海の底を巡る海水のように、絶えず流れていく。
流れていく間にバラバラに砕け、どんどん小さく解れていって、やがて散り散りに。
微粒子になって他のものと混ざり合って、少しずつ寄り集まって、全く新しい命となる。
愛して、愛されて、そしてまた、命は還っていく。
アナタも私も、皆、ここから去る時がやって来る。
命は、一所に留まることは出来ないから。
巡り廻った先の先で。
きっと、また。
テーマ「時間よ止まれ」
天壇青に染まる世界をあてもなく彷徨い歩く。
歩けども歩けども、何処へも辿り着けない。
昼も夜もない、自分でさえ本当に居るのか分からない、この世界で。
歩き疲れて息も絶え絶えで、もう止めてしまおうかと思っていた時。
ふと、誰かの声が聞こえた気がした。
懐かしい、でも誰の声かは思い出せない。
その声のする方へ、一歩また一歩と進む。
何故だか無性に、その声の主に会いたかったから。
また、足に力を込めて歩きだした。
テーマ「夜景」
エノテラを贈ろう。
君によく似た、優しい花を。
野辺に咲き誇る、楚々としたその花を。
君に贈ろう、たくさんのエノテラを。
私の真心を、君に。
テーマ「花畑」