しじま

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8/11/2023, 4:34:45 AM

 ハッピーエンドなんて要らない。

世界が平和になんてならなくていい。

富も名声も権力も、ほしくない。

ただ、隣で君が笑って居てくれれば、それだけで良かった、幸せだった。

だから。

 君を殺した世界なんて。

いらない。

テーマ「終点」

8/10/2023, 5:31:23 AM

 トライアンドエラー。

失敗しても、何度でもやり直せる。

結果ではなく、挑戦すること、諦めないことが何よりも大事。

そう、人間ならね。

 ぬるま湯に浸かりきった、愚鈍な人間の戯言。

現実は、一度でも失敗すれば“詰み”だ。

軌道修正は、出来ても緩やかな弧を描くような下降線。

でなければ、一気に急降下していき、地に叩きつけられるだけだ。

テーマ「上手くいかなくたっていい」

8/9/2023, 5:43:25 AM

家の掃除をしていたら、ガレージの奥にボロボロの菓子箱を見つけた。

なんだこれは、と厚く被った埃を払い、黄ばんだセロテープをピリピリと剥がしていく。

手触りの悪くなった紙製の蓋を取ると、箱一杯に大小様々なサイズの写真が入っていた。

一番上は何処かの飼い犬を写したものだった、手にとって暫く眺めていると、ああ、と思い出す。

昔、両親とよく遊びに行った公園の隣にあったカフェの看板犬。

艷やかな純白の毛色の、ほっそりとした大型犬で、生まれて初めて美しいと思った、……気がする。流石にそこまでは思い出せない。

一枚一枚捲っていって、ボロボロの写真に手が止まった。

ハサミで切られた端が折れ曲がり毛羽立ち、所々表面が剥げた、薄いセピア色の写真。

家族写真だった。

父と母の間に、まだほんの子供の私が座っている。

父も母も、私も、幸せそうな笑みを浮かべて。

ああ、あの頃は確かに幸せな時間が流れていた。

何時までも続くと信じて疑わなかった幸せな時間は、しかし、呆気なく終わってしまった。

――ねえ、パパ。

もしも、あのとき、何かしてあげられてたら、この結末は変わっていたのかな。

テーマ「蝶よ花よ」

8/7/2023, 5:06:21 PM

君の手で終わることを幸せに思う。

首にかかる君の手を、払うことなく受け入れた。

君の琥珀色の瞳から雫が零れ落ちて、私の頬を濡らしていく。

ああ、私のワガママは何時も君を苦しめてしまう。

優しい君の手を感じて、そして口角が上がった。

終わらせてくれ、他でもない君のその手で。

この狂おしい程の怒りを永遠に鎮めて欲しい。

そして、私の居ないハッピーエンドの世界で。

私の事など忘れた君が笑っていてくれればいい。

それだけでいいんだ。

それだけで、私は幸せだから。

テーマ「最初から決まっていた」

8/7/2023, 6:23:49 AM

 眩しい蒸し風呂のような住宅街を通り、噴き出す汗を拭いながら足早に帰宅した。

災害級の暑さも今日で十日目となり、嫌なことだがこの状況にも慣れてしまった。

 冷蔵庫にレジ袋をそのまま入れて、代わりにポ◎リを取り出してグビグビ

最近はポ◎リの減りが早いので、ペットボトルだけでなく粉の方もストックしている。

 ついでに水も飲んで、軽くシャワーを浴びてからキンキンに冷えたリビングの椅子に腰掛けた。

 少し前から居候している神様は、奥の畳の部屋でオンラインゲームでエキサイトしつつも器用に仕事をしていた。

濡れた髪をタオルで拭きながら、窓辺でキラキラと輝きながら低速で回る光輪を眺める。

 陽を受けると謎のエネルギーが発生するらしく、それを電気に変えてエアコンとゲーム機を動かしているそうだ。

 着脱可能だったのかソレ、と驚いた拍子に昼飯の冷やし中華をテーブルにぶちまけてしまったのが既に半月前のこと。

なんか最近、一日があっという間に終わっていくな……。

少しだけ違和感を覚えつつも、まあ気のせいだろうと思考を放棄し、今日もキッチンで神様の為にキュウリを刻む。

たまには冷やし中華以外の昼飯を食べたい。

テーマ「太陽」

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