しじま

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7/6/2023, 1:57:37 PM

 誰もいなくて寂しい夕方、あの子は来てくれた。

黒く塗り潰された顔、ノイズが混じったような声、陽炎のように揺らめく輪郭。

何をして遊んだのかは忘れてしまったが、とても楽しかったのを今でも覚えている。

夕焼けと共に訪れて、黄昏時に静かに去っていくあの子。

名前も知らない、私の最初の友達。

誰も知らない、私だけの不思議な友達。

いつの間にか私の前に現れなくなった、会いたくても、もう会えない。

私の大切な友達。

テーマ「友達の思い出」

7/5/2023, 4:39:36 PM

 田植え後の薄く水の張られた田んぼに映る満天の星を眺めながら、街灯一つない真っ暗闇の畦道を歩く。

月明かりに黒黒と浮かぶ山脈と、ポツリぽつりと疎らに瞬く人家の灯りを目印にして。

足を踏み外さないように気をつけながら、サクサクと畦に茂る雑草を踏みしめる。

 家の近くまで来ると、隣の家の塀の上から「ニャン」と猫の鳴き声。うちの猫だ。

帰りが遅くなると何時もここで帰ってくるのを待っていてくれる、賢くて可愛い三毛。

 「ただいま」と抱き上げ、顎の下や背中を搔いてやりながら、また歩きだす。

三毛の丸くて大きな黄色い目が、瞬く星のようにキラキラと輝いていた。

テーマ「星空」

7/4/2023, 11:13:51 AM

世界の始まりと終わり。
宇宙の中心と最果て。
生命の起源も終極も、なにもかも全て。

私という存在の意味も。
私意外の存在の意義も。
すべて、すべて。

テーマ「神様だけが知っている」

7/4/2023, 6:48:32 AM

 教育費無償、医療費無償、無償無償なんでも無償。

そのうち、衣料品も文房具も何もかも無償、現物支給になるんだろうか。

何でもかんでも、タダにすりゃ良いってもんじゃないでしょ。

今に人件費もタダになっちゃうんじゃない?

テーマ「この道の先に」

7/3/2023, 5:15:14 AM

 青々と葉を茂らせた梅の枝が天へと伸びていく。

夏の強い陽を浴びて、もっともっとと貪欲に。

気がつけば2メートル以上、枝が伸びているものもあった。

 熱い風と日差しに、ヒイヒイ言いながら高枝切りを振り回す。

長く伸びた枝をパツパツと元から切っていく。

毛虫に気をつけながら、頭からダラダラと滴り落ちる汗を首元のタオルで拭いながら。

 ビール、アイス、スイカ、と頭の中で唱えつつ、あと何本かの徒長枝に高枝切りを這わせた。

テーマ「日差し」

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