田植え後の薄く水の張られた田んぼに映る満天の星を眺めながら、街灯一つない真っ暗闇の畦道を歩く。
月明かりに黒黒と浮かぶ山脈と、ポツリぽつりと疎らに瞬く人家の灯りを目印にして。
足を踏み外さないように気をつけながら、サクサクと畦に茂る雑草を踏みしめる。
家の近くまで来ると、隣の家の塀の上から「ニャン」と猫の鳴き声。うちの猫だ。
帰りが遅くなると何時もここで帰ってくるのを待っていてくれる、賢くて可愛い三毛。
「ただいま」と抱き上げ、顎の下や背中を搔いてやりながら、また歩きだす。
三毛の丸くて大きな黄色い目が、瞬く星のようにキラキラと輝いていた。
テーマ「星空」
7/5/2023, 4:39:36 PM