田植え後の薄く水の張られた田んぼに映る満天の星を眺めながら、街灯一つない真っ暗闇の畦道を歩く。
月明かりに黒黒と浮かぶ山脈と、ポツリぽつりと疎らに瞬く人家の灯りを目印にして。
足を踏み外さないように気をつけながら、サクサクと畦に茂る雑草を踏みしめる。
家の近くまで来ると、隣の家の塀の上から「ニャン」と猫の鳴き声。うちの猫だ。
帰りが遅くなると何時もここで帰ってくるのを待っていてくれる、賢くて可愛い三毛。
「ただいま」と抱き上げ、顎の下や背中を搔いてやりながら、また歩きだす。
三毛の丸くて大きな黄色い目が、瞬く星のようにキラキラと輝いていた。
テーマ「星空」
世界の始まりと終わり。
宇宙の中心と最果て。
生命の起源も終極も、なにもかも全て。
私という存在の意味も。
私意外の存在の意義も。
すべて、すべて。
テーマ「神様だけが知っている」
教育費無償、医療費無償、無償無償なんでも無償。
そのうち、衣料品も文房具も何もかも無償、現物支給になるんだろうか。
何でもかんでも、タダにすりゃ良いってもんじゃないでしょ。
今に人件費もタダになっちゃうんじゃない?
テーマ「この道の先に」
青々と葉を茂らせた梅の枝が天へと伸びていく。
夏の強い陽を浴びて、もっともっとと貪欲に。
気がつけば2メートル以上、枝が伸びているものもあった。
熱い風と日差しに、ヒイヒイ言いながら高枝切りを振り回す。
長く伸びた枝をパツパツと元から切っていく。
毛虫に気をつけながら、頭からダラダラと滴り落ちる汗を首元のタオルで拭いながら。
ビール、アイス、スイカ、と頭の中で唱えつつ、あと何本かの徒長枝に高枝切りを這わせた。
テーマ「日差し」
窓の外、片腕を上げた君がピョンピョンと飛び跳ねていた。
どこからか仕入れた情報を元に、毎度、奇行とも言えるようなことをする君。
今回は比較的マトモなことをしている。
梅雨時の窓拭き。
程よい湿気と暑さがガラスの表面に付着した汚れを落としやすくする。
冬場のように急速に乾燥しないから、しっかりと乾拭きが出来る。
鳥が激突してしまうくらい、ツルツルピカピカになる筈だ。
その前に君が力尽きなければ。
窓の外、汗だくになりながら窓拭きをする君の為。
グラスに注いだキンキンのレモネードとゴマ煎餅を手に、窓辺へ寄る。
テーマ「窓越しに見えるのは」