知ってるよ。気まぐれな君が、こんな時間に連絡を寄越してくるなんて、人恋しかったんだろう?
「──?眠れるまで、一緒にお喋りしようか」
『遠い誰かと』
お題
「寂しさ」
朦朧とする意識の中、俺は無意識に彼女を呼んでいた。
「……」
握られていた手はまだ温かい。
お題
「風邪」
雪は雨より生まれ、積り溶けてゆく。
「雪と桜はよく似ていると思わないか」
もう一人の「自分」がこちらに語りかける。
雪は溶ける、桜は散る。短く儚い命の代償にした美しさには古より語り継がれてきた。
「確かに」
私のところはめったに雪が降らない。
雪が一面に広がったときは、勝手に飼い犬と出かけて怒られたんだっけ。
雪は綺麗だけれども、その重み故に我々の命を脅かすこともある。
「ねぇ、お願いがあるんだけど」
「何?」
「春が来たら、そっちの桜を集めてほしいんだ」
何をするのか、少し考えてみる。
「こっちの桜は遅いし、色が濃いんだ。薄いのも欲しくて」
「そっか……わかった、何を作るの?」
「雪を使うとだけ言っておこうか。楽しみにしてて」
心の底から楽しいのだろう。内緒だと言って笑う姿が無邪気で、愛おしく思えてくる。
鏡の向こうに映るノートには、何かがびっしりと書き込まれていた。
「考えるのもまた一興。春になったら答え合わせしようか」
『冬春の美巧』
お題
「雪を待つ」
七色に彩られる街は、訪れる夜を受けて更にその輝きを増していく
「イリュージョン」
お題
『イルミネーション』
※未完成
厚い雲が星を隠し、雨が降ってきた。
何処かで雨宿りしたいところだが……いくつか理由があって、それも叶わない。
気圧が下がって頭が痛む。フードを被ったとはいえ、この雨を一晩も凌ぐのは不可能に等しい。
「こんばんは、お嬢さん」
どうしようか考えていたところ、突然声をかけられた。声を掛けられた。
その体躯と刀を携えた姿に圧倒され、私は後退りした。
「……えっと、こんばんは」
「驚かせてしまったなら申し訳ない……しかし、この雨の中で傘も差さずに、どうしたのかと気になってな」
『』
お題
「心と心」