きっとあなたは知らないのでしょう。
本当は私がとても小心者だということを。
人の目に映ることが怖くて、
真っ直ぐに誰かを見据えることが苦手だった。
私の言葉が誰かを傷つけないか、
言葉を選び過ぎてやがては声を失ってしまった。
些細な人の声に恐怖を覚えて、
いつしか無意識に両の耳を塞いでしまった。
私の存在は必要ですか…?
疑り深く疑って、疑心暗鬼に包まれる。
本当はあなたに伝えたい。
どんなに明るく振る舞ってはいても、
心の中では怖いくらいにあなたに怯えていると。
あなたから貰う愛さえも疑って、
いつかは路傍に捨てられるのではないかと。
あなたはきっとその話を笑って聞くのでしょうけど、
その笑顔ですら、私にはただ恐れの対象でしかない。
だけど、そんな私に触れてくれるあなただからこそ、
私はあなたのこの腕を離すことができないのです。
【伝えたい】
いつか君と出会ったこの場所で、
再び君と出会えることがあったなら、
きっとどんな夢よりも幸せでしょう。
私はただその時を待ち続けている。
幾百星霜、君の姿を探し続けている。
約束を交わした君の言葉だけを信じて、
( その時が永劫叶わないと知りつつも )
君を疑わないそれだけが私の真実だから。
やがてこの地もかつての面影をなくし、
私の知らない人波で埋め尽されるでしょう。
それでも私の想いはここへ留まり続け、
いつか人の口の端から伝え聞く物語に、
私の知らない君が気づいてくれるのなら、
―――…私は、ここから君を見守るよ。
【この場所で】
きりきりきり…
神は何がお気に召さないのか、
気まぐれに時計の針を巻き戻す。
そして再び巡る世界。
人々は同じ時間を繰り返し、
たまに軌道を変えながら、
それでも同じ結末にたどり着く。
きりきりきり…
そして神はまた時計を戻す。
最初は10年、気づけば1000年。
繰り返す出会いと別れ、生と死と。
あなたとわたし、きみとぼく。
神さま、そろそろ許してください。
人はあなたの玩具ではありません。
きりきりきり…
【時計の針】
それは水のように湧き出すと思っていたの?
愚かにも無限の資源だとでも思っていたの?
風がいつしか止むように、
大地がいつしか荒むように、
水もいつしか涸れ果てるのだと、
少し考えればわかることだったでしょうに。
与えるばかりで返されないのならば、
この溢れる気持ちもいつしか消えていく。
長い長い一方通行に、私はもう疲れてしまった。
………あなたへの想いはもう失せてしまったの。
もう少し私を見ていてくれたのならば、
まだ頑張れたのかもしれない。
けれど、
あんなにもあなたが好きだと言う感情が、
どこから出ていたのかすら…私にはもうわからない。
【溢れる気持ち】
1000年先も僕は君の名を呼ぶよ。
声が枯れ果て、喉が潰れてしまっても。
君の名を忘れ、言葉の意味を失っても。
君の名が僕に永世の楔を打つ。
その名を呼べば君はいつでも僕のもとに。
たとえ世界を違えても想いだけが寄り添うだろう。
【1000年先も】