二人ぼっちの砂の上、
足跡二つ。
歩む速度も行く先も同じなのに、
それでも二人は一人だった。
二人ぼっちの砂の上、
声二つ。
幾らかの問答の末、
いつしか声は一つになっていた。
一人ぼっちは砂の上、
これで本当に一人になって。
それがどうにも寂しくて、
一人静かに泣いたのだった。
テーマ『二人ぼっち』
天の川を渡る舟に少年は乗っていた。
船底を擦る星屑のサァという音が舟の進みに合わせて聴こえる以外は、何とも静かな夜だった。
少年は船から少し顔を出し、星屑をその小さな両手で掬い上げるとフゥと息を吹きかけた。
サラサラと掌から溢れ出した星屑はたちまち、夜空に輝く星々に混ざって見えなくなった。
きっと何億年後かにあのどれか1つになるのだろう。
テーマ『星が溢れる』
今更振り返ったってもう遅いね。
戻らない時計の針。
想いを馳せる自由と対照的な心の不自由。
息を吐くと同時に流れる涙は誰の為?
後悔だらけの人生だ。
それでも続いていくのだね。
テーマ『過ぎ去った日々』
伸ばした手は虚しく宙を掻いた。
もがいても脳を侵食する悪夢と痛みから逃れる事は叶わず、
生理的に流れた涙は白磁の床に吸い込まれ染みをつくる。
視界が徐々にボヤけていく。
自身と世界の境があやふやになっていく。
朦朧とした意識の中で思い出すのは、
あの日の何気ない約束。
「結局、アイツだけが、お、れの……………」
テーマ『たった1つの希望』
え〜本日は当列車“綺羅星特急"にご乗車頂き、
誠に有難う御座います。
当列車は安全に気をつけながら、
流星の如き速さでお客様を目的地まで確実に送り届けます。
?
どうなさいましたか。
え?切符にも車内のどこにも目的地が書いてないって?
……それは当たり前ですよ、お客様。
何たってこの列車はそこが目的地である限り、
何処にだって行くのですから。
例えば、
あの日別れたきりのあの子のところ。
無くしてしまった宝物のところ。
もう居ないあの人のところ……なんてのも。
──さぁお客様、アナタはこの列車に乗ってどちらまで?
テーマ『列車に乗って』