花鳥風月病

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8/28/2023, 11:26:25 AM

【突然の君の訪問】
現在夜、11時23分、外は雨
そんな真夜中のわたしの部屋に
無機質なチャイムが鳴り響く
見る見るドアを開けてみると、いたのは
"君"だった

「ああ、起きてたのね!お茶でも飲みましょうよ」

『来てそうそうなんだよ…まあ用意するけど』

水滴と土に塗れた雨合羽に、スコップ
君の格好には違和感しかなかった

「じゃあ、お邪魔するね」

すれ違うと異常なほどの鉄の匂いがした
もしかして、と思い、その事を口に出そうとすると


その時首にひんやりとした感触がした

見ると、君は僕の首に刃物をあてていた


「そうだ、警察に言うこと考えといてね」

わたしを襲ったのは遅すぎる胸騒ぎだった

8/27/2023, 10:45:01 AM

【雨に佇む】
君の吸う煙草の匂いに飽きたから、
アパートの部屋とも言えない小さな部屋から
抜け出したんだ、傘もいらないくらい
雨が浴びたくなって

コンクリートに染みた雨が私のサンダルを
ぐしゃぐしゃに汚れてゆく
上を見上げても下を見上げても灰色
綺麗事を垂れ流したTVショーもラジオにも
付き合いきれなくて、歪んだこの目に
雫はずっと流れ落ちていく
服と肌が、ひっつきそうなぐらい濡れても、
帰る気にはなれなかった

膝を抱えたまま、ずっとそこに私はいた

私だけが不幸だってやめられなくて
ずっとずっと奥の方に汚れが溜まったままで

雨なら綺麗にしてくれるなんて、ガキみたいな
ことは思いやしないけどさ

8/26/2023, 10:41:29 AM

【私の日記帳】
実家に久しぶりに帰って、
自分の部屋に行くとまるで他人の部屋に
何かを盗み入ったかのような感覚に襲われた
小さく感じる勉強机に、ホコリの被った
本棚にかけてあるもう着れないコートなど
全てが自分を懐かしさに溺れさせた

勉強机の引き出しをなんとなくがさごそ
漁っていると、なんと日記帳がでてきた
自分でも飽きっぽいのが分かっているので
書いていたのがとても嘘のように思える

日記帳のページをめくると
なんと全てのページが真っ白で何も
書いてなかった
思わず笑ってしまった
ああ、子供の自分と今の自分は変わらないなと
変わらない自分もいるが、変わってしまった
全てを思うと、少しの寂しさを散らかす

「そっかあ、もうあれから何年か…」
誇りを被ったベットに寝っ転がり
見た目は大人の少年は、眠りに落ちたのだった

8/26/2023, 4:15:57 AM

【向かい合わせ】
夕焼けで思わず視界が歪みそうなあの日
白く柔いカーテンが生きて揺れている静かな教室
廊下ですれ違えば、少し話すだけの仲の君と
はじめてちゃんと話した日だった

同じ歌手が好きだということが分かり
その日の放課後、心は何かで満たされたいと
はじけていて、とてもわくわく焦っていた

机と椅子を引きずり、君と僕は
自分の話したいことを精一杯話し、また
相手の話したことを優しく受け止める
そんなあっという間な時間だった

君の黒髪に優しくオレンジの日が当たれば
僕を虜にするように、上目遣いで僕を見つめた
言葉にはできなかったけどとても、
好きというものに近い感情だったのかもしれない


しかし、それはろうそくの煙のように
ゆらゆらと消えてしまう夢であった
素晴らしいあの頃の夢、でしかない

スマホのタイマーの無機質な音に苛つく朝がきた
心までは温もりは届かないのに毛布を被る
楽しくもない毎日が今日も始まる

曇ったガラス窓に夕焼けなど差してはくれない
失った時間も、人も、なにもかも
僕には大きすぎたのかもしれない

ため息は僕を落ち着かせ、現実に引き戻す
目から流れる涙の意味は、まだ知らない