13歳!

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11/16/2023, 2:18:24 AM

私も余りに幼く、綴りつづりしか覚えて居ないのですが
夜空に浮かぶ星の中で月が一際目立っていた夜の事でした。
私はまだ子猫だった頃だったものでしたから、
母猫が来なくなってしまってから、非常にひもじ
く、
ひょっとしたら餓死するのでは無いかと、
不安に駆られ、無闇矢鱈に声を出して居たのを覚えております。
暫くそうして居ると、遠くから足音が聞こえて来まして、
段々此方に近付いてきているようなのでした。
私は、自分の居場所をその者に知らせて良い物なの
かと本能的に、幼稚な心でその疑問の答を探していました。
その内に、此方に気付かれてしまったようで、
その者は、2本の足で器用に此方へ駆けて来ました。
その時幼いながら死を覚悟したのを印象深く感じています。
しかし、その者は当然の如く私を優しく抱き上げ、
懐から小さなパンを取り出し、地面に置かれました。
行動と見た目の違いに戸惑いつつも、飢えて死ぬ事の方がなんせ怖く、私は警戒などせず、遠慮なく齧りつきました。
直ぐに食べ終わってしまった私は、
(その頃はこの食べ物が何かも知りませんでしたが、)パンがもう一度欲しく、
その者に縋り付き少し前より大きな声を出してお願
いしました。
ところが、その者がもう一度地面にパンを置くことはなく、私をまた抱き上げ、歩き始めました。
その者の腕の中では、
視界が高く無理矢理飛び下りて逃げる事は
考えませんでした。
暫し経って、腕の中から外を覗いてみると
夜なのに何故か明るい、大きな大きな小屋のような場所に入るところでした。

お題/子猫

ーーーーーーーーーキリトリ線ーーーーーーーーー

夏目漱石の[吾輩は猫である]
を思い浮かべながら書きました
自分勝手で済みません!



11/13/2023, 11:56:30 AM

『先輩!』

ベンチに座っている先輩は黒色の綺麗な髪を靡かせながら
私の方に振り返り返った。

春風先輩には本当にお世話になった。
春風先輩は、本当に優しく、頼れる存在で、安心感があって、どこか掴み所がない。
春風先輩と出会ったのは今と同じ、桜が舞う中庭だった。あの時の目は死んだ魚よりも死んでたと思う。
シングルマザーなのに、良い高校にいれて貰って、
お母さんには、本当に感謝してる。
だから将来的には楽をされてあげたい。
だけど、その時高校入りたての私は馴染めずにいた。中学生の頃からこうだ。私は不登校だった。特に理由も無いのに学校に行けず、それが故に自分を責め、命を絶とうとした。
だが、通行人が命を懸けて助けてくれた。
どうやら病弱だったらしい。
悲しみよりも、罪悪感よりも、ショックが大きかった。礼儀として参加させられた、その人の葬儀では、ゴミを投げられ、胸ぐら掴まれ。
でも当たり前だと思った。私が殺したも同然だし、
それに、その時にはもう私は何も感じ無くなってたから。
私はこの時、選択せねばならなかった。
この人を殺した罪の償いとして、もう一度彼処に絶とうか。それとも、この人が死んで守った命を守り抜こうか。
……前者だな。
そう思っていた。罪を償いたかった。いや実際はもう生きたくなかった。
だが、それすら否定する物も出てきて。
死にたい。苦しい。嫌だ。忌まわしい。変えたい。悔しい。何で?
そんな思いを覆される事無く、生きさせられて、
正に生き地獄だった。縁のあった通行人もシングルマザーのお母さんも、私には一生鍛錬しても解けない魔法を気軽に掛けたのだ。
高校に行っても、私から話し掛ける事が出来なくて、話し掛けてくれた子とも上手く会話できなかった。
まだ桜がギリギリ散りきってなく、桜の花弁がお母さんの作った弁当に入ってきていた。
ベンチに一人で座って
これからのことを考えて居ると涙が溜まってきて、抑えようとしても抑えられない。
ここで泣いたら更に浮いてしまう。
そう思ってそれを避けるべく、立ち上がると
すぐ前に、優しく微笑む春風先輩が立っていた。
綺麗な黒色の髪を靡かせて、その風にのった花弁が春風先輩を女神のように仕立てたたていた。

こうやって春風先輩との出会いを事細かく思い出していると
わんわんと泣きたくなってきた。
だけど、涙は堪え、流さない。
そう昨日に決めた。
だから笑顔で、
『春風先輩、ご卒業おめでとう御座います。』
そう、言った。
これでもう、春風先輩とは会えない。
そんなこと考えると涙が出てしまうから、考えないようにした。
すると、春風先輩は
『泣いて良いんだよ』
と優しく目を細め、安心する笑み、あの時と同じ笑顔で、あの時と同じ言葉を言った。
私は、大粒の涙を流しながら、
『先輩も、泣いて良いんですよ』
と言った。
先輩は目を一瞬見開いて、すぐに私を抱きしめて静かに涙を流した。
『ありがとう』
違う。それは私が一番言いたいこと。


私は知っていた。
春風先輩は、この先短いこと。
だけど、今回は選択肢は1つしかない。
それはとても辛い事だけど。
春風先輩に死んで欲しくないけど、言いたいこと、いっぱいあるけど、直ぐにでも入院して長く生きて欲しいけど、いろんな事がごちゃ混ぜになって涙がとまらないけど、決心して進まないと行けないんだ。私は涙をぐっと堪えて、一定テンポ遅れて返事をした。
『私の、台詞です。』
来世でもまた、いつか会いましょうね



『お題/また会いましょう』



11/6/2023, 11:23:20 AM

11月下旬、窓からみえる空は曇り。
独りの少女が激しく揺れる電車で眠っていた。
少女はフードを深く被り、マスクをしてサングラスも付けている。それでも分かるほど、顔を歪め、マスクの隙間は汗で光っている。
私はその姿に違和感を覚えた。

そして、暫くすると少女が急に目を覚ます。
ゆっくり目を開けると言うよりは、何分も水の中で悶え、やっと解放されたかのような様子で、勢い良く目覚め、荒々しい呼吸を繰り返している。

そして息を完全に整える終わるよりも先に、立ち上がり、電車内を走り始めた。

10/15/2023, 10:10:21 AM

私は中橋隆治、探偵だ。
世間でもそこそこ名の知れている、
abc探偵事務所に属している。
今日は特に依頼もなかった故、珈琲を飲み、事務作業に勤めていた。
周りからは常に平和な会話が聞こえてくる。
こういう日は正義感のある私にとって好きだ。
だが、こういう日に限り、私の後ろで私を見てはそらしを繰り返している後輩の鈴木君がいる。非常に目障りだ。
私は彼に声を掛けることにした。
「如何したんだい?鈴木君」
鈴木は戯けたような小さい声で、
「あ、えっと、中橋さんに警察から依頼です……昨晩、殺人事件があったようで…、警察も手に負えないようなんです。……詳しいことは、ここから2駅の現場で実際に聞けるようです……私も助手を務めますので……ご一緒に、」
成る程。この言い方、恐らく鈴木君は市警にすぐ行くと言ってるのだな。だから集中してる私にこんなこと言ったら怒ると思って気が小さいのか。
一度本気で鈴木君に怒ってから随分怖がられた物だ
私は鈴木君に優しく
「すぐ行こうか。事務仕事ももうすぐ終わるし」
と声を掛けて、珈琲を飲み干し、外套を着た。
鈴木君はもう行く準備が出来てるようで、返事をして、私を待つ。

其れから出発して、二駅揺れ、十分程歩くと現場に着いた。
現場は、二階建ての被害者の自宅。
現場の付近には、軍警三人に目撃者、第二発見者がいる。軍警の一人に、
「abc探偵事務所の中橋です。早速、現場に通して貰いたいのですが。」
と訪ねた。
その軍警は
「はっ!お待ちしておりました!中橋さん、どうぞ此方です。」
と言い、遺体の所まで案内してくれた。

現場は二階の三つある部屋の被害者自身の部屋。
死因は刺殺。部屋の窓は閉まっていて、部屋に鍵は無く、すぐ開けられる。部屋は散らかっていて、そこら辺のゴミに血が滲んでいる。
刺された場所は左足、腹部、胸部。
特に腹部が酷く、思いっきり切り開かれたようになっていた。切り方からして、犯人は左利きだろうか
怖がっている内に足を刺され、腹を切り裂かれ、痛かっただろう。
私は帽子を一度脱ぎ、胸に当て、目を閉じ、黙想した。鈴木君も同じようにして手を合わせた。
すぐ其処にいた、ここまで案内して貰った市警に
被害者について聞いた。
被害者は20代女性、三浦知子さん。
職場はここからすぐのde会社。
結構恨みを売るタイプの仕事だ。
其奴が殺した可能性が高いだろう。
出身校はすぐ其処のhis学校。
死亡推定時刻は3:00~6:00とされている。
被害者の妹、三浦陽子さんと二人暮らしで、両親は既に他界されているようだ。
私は一度現場からは離れて目撃者の話を聞くことにした。
第一発見者はさっき聞いた、被害者の妹の三浦陽子さんだ。
陽子さんの言うことが正しければ、
知子さんを発見したのは、卒業旅行から帰ってきた13:00時頃だったらしい。帰ってきた報告と、土産を渡そうと部屋を訪ねたが、返事が無かったので、部屋を開けたら既にこの状態だったという。
陽子さんは直ぐに警察に電話し、息絶えていると分かっていても、救急隊員も呼んだようだ。
後、知子さんは目が悪かったようだ。
眼鏡を付けなければ何も見えない。
でも、その代わり耳は人一倍良かったようだ。

第二発見者は佐野晴紀さん。
知子さんとは恋人同士だったようだ。
家族以外で唯一、この家の合鍵を持っているようだが、丁度昨日、この家には来ておらず、
今日朝6時頃にこの家に来たようだ。
晴紀さんの行動を絞ってみると嘘をついているとは思えない購入履歴が出てきた。それに、玄関にある、防犯カメラにも映っていた。
其処からずっと佐野さんは知子さんが家に居ないと思って居たようなので、1階で過ごしていたようだ。
リビングにペット用カメラも有ったが、しっかり陽子さんが帰ってくるまで1階に晴紀さんが居るのも映っていた。
死亡推定時刻は早朝の3:00~6:00。
合鍵は陽子さんと晴紀さんが持っていた。
こじ開けられた形跡もない。
1階には晴紀さんがいる。
知子さん家の間取りはL字型でL型の白の所には間を埋めるように正方形のガレージがある。
あと、知子さんの部屋は突き当たりだった。
そして、ベランダも無く、ガレージのない方向の小さな窓があったが、
もし、コンクリートの滑る壁を登れたとして、こんな小さな窓から出入りなど出来る筈がない。それに鍵だって掛かってる。
第一、窓からの犯行だとしてもおかしいのだ。
知子さんはドアを正面に後ろに倒れ、
血の位置的にドアから刺されたとしか云えない。
私が来るまでに押し入れから屋根裏部屋まで、
隅々まで家を見たらしいが、なにも出てこなかったようだ。
犯人は何処から何処やって入り、知子さんを殺して、何処に消えたのか。
面白くなってきたね。
其れから私と鈴木君は部屋の構造を見て回ることにしたのだ。
二階の知子さんの隣の部屋は陽子さんの部屋だという。随分華奢な部屋で、特に何も無さそうだし、逆に私達が犯罪者になりそうなので、直ぐ立ち去った

その隣は、たまに泊まる晴紀さんの部屋だった。
よく煙草を吸うのか、煙草の灰皿の中に吸い殻が捨ててあった。
丁度窓を開けるとガレージの屋根が見える位置だ。

1階は、全体的に広いイメージだ。
柱が少ない分、壁が厚い。
リビングの大きい窓から直ぐ横にガレージがあり、上を見ると晴紀さんの部屋が見える。

目撃者二人には証拠のある、アリバイがあるので
一番、知子さんに恨みを持っていそうな人の依頼も情報がある、de会社に足を運んだ。
探偵事務所の免許証を見せ、
提供された資料を鈴木君と一緒に、絞っていく。
そして、ある男が鈴木君の目に止まった。
被害者の事を必死に書き留めていたメモを読んで、もう一度資料を見る。
そして、私に渡して
「中橋さん、この人、被害者と出身校が一緒です。若しかしたら、犯人かも。」
そう言って渡してきた資料を見ると、
高橋高志さん
背の高い、気の弱そうな男性。
そして、知子さんと同い年だ。
私はこの男性に心辺りがある。
知子さん亡き今、この男性とどう言う関係なのかも分からない。
だが其れは、この資料に載っている電話番号に電話しなかった場合だ。
私は迷わず、この男性に電話した。
プルルルルルル…プルルルルルル…カチャ
出た。
「abc探偵社の中橋です。高橋高志さんでお間違えないでしょうか?」

「…はい、そうです。どうかなさいましたか?」

「貴方の同級生の三浦知子さんが事件でお亡くなりになられたのですが、何かご存知ですか?」

「本当ですか?……私は何も知りません。」

「そうですか。昨日の夜から朝6時まで何していましたか?」

「…その時間は家で寝て居ましたよ」

「いいえ、貴方は知子さんの防犯カメラに2:00頃映っていましたよ。何故今嘘を付いたのです?」

「怪しまれるのが嫌で…嘘を付いた」

「貴方が犯人ではない証拠は?」

「俺がどうやって入ったか、どうやって出たか分からないだろう!証拠が無いとお前は俺を逮捕出来ない!」

「有りますよ。如何やって入り、如何やって出たのか。実に簡単だ。その持ち前の身長と、長い手足で知子さんの家のガレージに2:30頃、よじ登った。そして、よく煙草を吸う、晴紀さんの窓は鍵が掛かって居なかった。だから其処から入り、知子さんを殺したのだ。
耳の良い、知子さんが殺された時、ベッドに居なかったのも頷ける。」

「…俺が其奴を殺す意味があるのかよ!それに身長の高い奴なんて他にも大量にいる!」

「…ここからは私の推測ですが、貴方は知子さんの元恋人だったのではないですか?
でも知子さんに振られ、そのまま復縁出来ず卒業してしまった。だが貴方は知子さんを諦めきれずにいた。
そんな中、知子さんがde会社に勤めている噂を聞き、de会社に客として訪れ、知子さんの家も特定した。そして知子さんの家を良く眺めた。
だからか、知子さんと晴紀さんが恋人同士だと分かった。貴方は酷く苛立ち、晴紀さんではなく知子さんにも恨みを晴らし、晴紀さんも悲しむよう、妹と晴紀さんが居ない間に忍び込み、知子さんを殺した。違いますか?」

「………その通りだ。降参だ。俺を逮捕してくれ。
知子を殺すなんて、気が狂ってる。」

「貴方の家に今から向かいます。
其処で大人しく待って居て下さい。」

電話を切り、すぐ資料に載っている住所を市警に伝える。そして会話を聞いていた鈴木君と頷いて、犯人の家へ向かった。

其れから1時間後、無事犯人も抵抗無しで捕らえ、
私達は解放された。
私は背伸びをしながらあくびして、やっと帰れるー
と思っていた。その隣では、鈴木君が私を尊敬のまなざしで見ていて、「あんな少しの情報で犯人の動機も当てちゃうなんて凄い!」
だとか言っている。
だか、軍警も手に負えないとか言うから、期待したのに案外簡単だったなー。と心の中で見栄を張りながらオレンジ色の空の下を歩いて行く中橋と鈴木であった。

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        (キリトリ線)

ちょっと最後オチが思いつかなかったんですけど
ここまで見て頂きありがとうございます!
今日始めて推理小説書きました。
なんも準備もせず、考えもせず書いていったらこうなりました。
あと、まだ少ししか投稿していないに沢山のハート?ありがとうございます

10/7/2023, 11:01:03 AM

私がまだ10歳だった頃。
4歳の妹、真幸と二人でおつかいに行った。
お母さんは、忙しくて行けないから二人で、
すぐそこの商店街に、人参とジャガイモを買いに行った。お金を多めに渡され、お釣りはお菓子を買ってきて良いと言われた。
八百屋から駄菓子屋に行く途中。
横断歩道。赤信号。
片手には10歳の私の、片手では重たい、人参4本とジャガイモ6つが入った袋。
もう片方の手は、元気の良い、好奇心旺盛の4歳の妹。流石の妹でも4歳、大丈夫だろうと完全に油断していた。
信号が青になる。
その瞬間妹が、向かいの駄菓子屋に駆けだした。
その時、信号無視してきた、居眠り運転の若い男が乗った車が凄いスピードで突っ込んできた。
この瞬間は恐らく一生忘れられない。
私は尻もちついて、後ろに倒れ、
妹は車に思いっきりぶつかった。
車は、すぐには止まらず、
妹にぶつかった振動で起き、
ブレーキを掛けるまで止まらなかった。
私はなにが起こったのか理解できず、
ずっと尻もちを付いていた。
妹の血らしき、赤い水溜まりがじわじわ広がっている。
哀しいと言うより、怒りというより、
絶望に近かった。もうだめなのだ。
10歳の私でも、これは駄目だ。助からない。と分かっていた。分かっていたけど諦められなかった。すぐに駆け寄ってあげたかった。だけど怖くて動けない。私は画にかいたかのように、怯えていたのだ。
結局、私は何もできなかった。


このことを今でも後悔している。
あの時、手を離さなかったら。
あんなことにはなって居なくて、
今頃、妹の結婚式に呼ばれちゃったりして。
楽しく過ごせてたのかな。なんて、
今、私が握っている、この小さな命。
あの時みたいになってたまるか。
絶対あんな事にはしない。

「ママ、痛い。」
「あら、ごめんね。」

絶対、絶対、幸せにしてあげるからね。



お題/力を込めて

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