13歳!

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私がまだ10歳だった頃。
4歳の妹、真幸と二人でおつかいに行った。
お母さんは、忙しくて行けないから二人で、
すぐそこの商店街に、人参とジャガイモを買いに行った。お金を多めに渡され、お釣りはお菓子を買ってきて良いと言われた。
八百屋から駄菓子屋に行く途中。
横断歩道。赤信号。
片手には10歳の私の、片手では重たい、人参4本とジャガイモ6つが入った袋。
もう片方の手は、元気の良い、好奇心旺盛の4歳の妹。流石の妹でも4歳、大丈夫だろうと完全に油断していた。
信号が青になる。
その瞬間妹が、向かいの駄菓子屋に駆けだした。
その時、信号無視してきた、居眠り運転の若い男が乗った車が凄いスピードで突っ込んできた。
この瞬間は恐らく一生忘れられない。
私は尻もちついて、後ろに倒れ、
妹は車に思いっきりぶつかった。
車は、すぐには止まらず、
妹にぶつかった振動で起き、
ブレーキを掛けるまで止まらなかった。
私はなにが起こったのか理解できず、
ずっと尻もちを付いていた。
妹の血らしき、赤い水溜まりがじわじわ広がっている。
哀しいと言うより、怒りというより、
絶望に近かった。もうだめなのだ。
10歳の私でも、これは駄目だ。助からない。と分かっていた。分かっていたけど諦められなかった。すぐに駆け寄ってあげたかった。だけど怖くて動けない。私は画にかいたかのように、怯えていたのだ。
結局、私は何もできなかった。


このことを今でも後悔している。
あの時、手を離さなかったら。
あんなことにはなって居なくて、
今頃、妹の結婚式に呼ばれちゃったりして。
楽しく過ごせてたのかな。なんて、
今、私が握っている、この小さな命。
あの時みたいになってたまるか。
絶対あんな事にはしない。

「ママ、痛い。」
「あら、ごめんね。」

絶対、絶対、幸せにしてあげるからね。



お題/力を込めて

10/7/2023, 11:01:03 AM