私はみんな大っ嫌い。ママもパパも友達も先生も。みんなみんな大っ嫌い。気づけば私はナイフを持っていた。 あのね、大っ嫌いなものはみんなわたしのお人形になっちゃえばいいの。そしたら私は幸せでいられるもん。ずっと、ずーっと永遠にね。
少女は血まみれの顔で笑った。年相応のあどけなさをもって。
これでよかったんだ。だってこれこそが私の理想郷だから。
少女の目から涙が一粒、零れ落ちた。
zene
ねえ、あの時のこと、覚えてる?
2人で笑いあったあの時。今となっては懐かしいな。
けれどあのころの私たちはもう居ない。
それぞれ別の道を歩んだから。
でも、後悔はしてない。だって今まで一緒に歩んできたその事実こそが私にとって何よりもたからものだから。
離れてしまうのは確かに寂しいけど、私はおんなじくらい嬉しいよ。もう、あの頃の思い出はすっかり色あせてしまったけど、いつかまた2人で「懐かしいね」って笑える日が来ますように。
zene
これは君とのもうひとつのストーリー。
私たちは何度でも生まれ変わる。
これは魂のお話。
私は生まれつき病弱でみんなと同じような生活ができなかった。そんなとき、君だけが私のそばにいてくれた。あなたは私に何度も好きだよって伝えてくれた。
けれど、私が君の気持ちに応えることは出来なかった。
数日後私は死んでしまった。急に容態が悪化したのだ。最後の私の姿はとても醜い姿をしていた。
それでも、たった1人、君だけが最後まで一緒にいてくれた。すごく嬉しかった。でも複雑だった。
なんでって、、、、だって私の後君も後を追ってきたじゃん。もう、忘れちゃったの?(笑)
2人で手を取り合う。次はどんな人生になるかな。
ふふふ。とっても楽しみだね。
さあここから君とのもうひとつの物語が始まる。
zene
暗がりの中でぽっと灯る朧気な光。それは君の手の温かさ。
私は何度その光に助けられたことだろう。
私が闇だとするならば君は光。決して交わることの無いけれど、君は何度でも手を差し伸べてくれた。
暗がりの中にふわっとあたたかい光がやどる。
そして私の心も軽くなる。
まるで暗がりの中のたったひとつだけの星みたいに。
zene
紅茶は好きだ。なんてったってあの独特の渋みや鼻に抜けるような香りがクセになる。
男は紅茶を啜りながら、ふと思う。世間は愚かだと。
誰かがつぶやいた名言に感化されて、勝手に自分の幻想を描く。人間とは実に愚かだと思う。自分の傲慢さで世界を変えようとするのだ。つくづくこの世の理がいやになる。
だが、しかし紅茶の香りはそんな傲慢な世界すらも包み込んでくれる。たとえ怒っていても茶葉が開くのを見つめれば自ずと心が安らぐ。男は紅茶を一口、口に運んだ。世界への侮蔑を込めて。
zene