こつこつ。遠のいてゆく足音。
ああ、また行ってしまうんだ。気づけば私の周りには誰1人として、残っていなかった。
私は今日も孤独な世界を生きて行く。道標なんてない。あてもない、考えるだけで気が遠くなるような旅路をゆっくりと歩いていく。
ーどうせ誰も見つけになんか来やしない。
私は心の中でどこか諦めている節があったのだろう。だからこそ、貴方の登場にはとても驚いた。
真っ黒な世界でたった一つ灯った小さな灯り。
私は気づけばその灯りに手を伸ばしていた。お願い、私を見つけて。この暗い世界から連れ出して。
そして
行かないで。
それは私の心からの叫びだった。
zene
ガラスはいつ見ても透き通っている。
そしてあの娘も透き通ったような白い肌に、真っ白なワンピースを身に纏っている。
それはまるで天使のようで。到底僕が近づけるはずなんてなくて。
でも、わかっているくせに
僕はその娘に恋をしてしまった。気づけば僕は、その娘の手を握って走っていた。
ガラスのような透き通った透明な世界を、たった2人きり、走り抜けていく。
こんな透明な空間に色をつけれるのは僕らだけだ。
さぁ、今日はどんな色を塗ろうかな。
zene
何も無い場所で、たった1人、君だけの声が響いてる。
それはどこか嬉しそうで、されど、儚げで。
まるで私の心に語りかけているみたい。
その声は言った。
ー君はここには来ちゃいけないー
どうしてだろうと思った。理解出来なかった。
そこでふと、思い出す。
...そうか、ここは三途の川なんだ。もう少しで黄泉の国に行くところだった。
私の目から何故か涙が溢れてきた。
もう少し私は生きてみようと思う。
zene
クリスマスー。それは恋人たちが集う聖なる夜。しかし、クリスマスは恋人たちが集う日だけではないのだ。美味しいものを食べたり、音楽を聴いたりする過ごし方もあるだろう。そして何より忘れては行けないのはそう、プレゼントだ。25日の朝枕元にプレゼントが置いてあるのを確認して喜ぶ子供達。1年頑張った自分へのご褒美に自らの欲しいものを買って満足げな表情をする大人たち。様々な過ごし方があると思う。だからあなたの思うように過ごすといい。さあ心ゆくまで今日という日を楽しもう!
zene
ぽっと朧気な灯火が灯る。人々はえりに首をうずくめて、足早に通り過ぎて行く。そんな中、1人だけ時が止まったかのようにぽつりと立ちすくむ少女がいた。たった1人、不自然なまでに突っ立っているその様子はそこだけまるで異次元のようだ。しかしそんな少女には誰も見向きもしない。否、見えないのだ。誰も少女を見ることは出来ない。
淡雪がしんしんと降ってくる。今年も冬がやってきた。「来ーたよ♪」少女は嬉しそうに雪を降らす。少女の正体はなんと冬の精霊だったのだ。
少女がくるくるとステップをふむとたちまち灯火が道にやどる。それは初雪を告げる暖かな、眩しい冬の光だった。
zene