zene

Open App
3/13/2025, 1:29:29 PM

ガラスはいつ見ても透き通っている。
そしてあの娘も透き通ったような白い肌に、真っ白なワンピースを身に纏っている。
それはまるで天使のようで。到底僕が近づけるはずなんてなくて。
でも、わかっているくせに
僕はその娘に恋をしてしまった。気づけば僕は、その娘の手を握って走っていた。
ガラスのような透き通った透明な世界を、たった2人きり、走り抜けていく。
こんな透明な空間に色をつけれるのは僕らだけだ。
さぁ、今日はどんな色を塗ろうかな。

zene

2/16/2025, 3:43:01 AM

何も無い場所で、たった1人、君だけの声が響いてる。
それはどこか嬉しそうで、されど、儚げで。
まるで私の心に語りかけているみたい。
その声は言った。
ー君はここには来ちゃいけないー

どうしてだろうと思った。理解出来なかった。
そこでふと、思い出す。

...そうか、ここは三途の川なんだ。もう少しで黄泉の国に行くところだった。
私の目から何故か涙が溢れてきた。

もう少し私は生きてみようと思う。

zene

12/25/2024, 12:06:40 PM

クリスマスー。それは恋人たちが集う聖なる夜。しかし、クリスマスは恋人たちが集う日だけではないのだ。美味しいものを食べたり、音楽を聴いたりする過ごし方もあるだろう。そして何より忘れては行けないのはそう、プレゼントだ。25日の朝枕元にプレゼントが置いてあるのを確認して喜ぶ子供達。1年頑張った自分へのご褒美に自らの欲しいものを買って満足げな表情をする大人たち。様々な過ごし方があると思う。だからあなたの思うように過ごすといい。さあ心ゆくまで今日という日を楽しもう!

                       zene

11/29/2024, 12:50:54 PM

ぽっと朧気な灯火が灯る。人々はえりに首をうずくめて、足早に通り過ぎて行く。そんな中、1人だけ時が止まったかのようにぽつりと立ちすくむ少女がいた。たった1人、不自然なまでに突っ立っているその様子はそこだけまるで異次元のようだ。しかしそんな少女には誰も見向きもしない。否、見えないのだ。誰も少女を見ることは出来ない。
淡雪がしんしんと降ってくる。今年も冬がやってきた。「来ーたよ♪」少女は嬉しそうに雪を降らす。少女の正体はなんと冬の精霊だったのだ。
少女がくるくるとステップをふむとたちまち灯火が道にやどる。それは初雪を告げる暖かな、眩しい冬の光だった。

zene

11/17/2024, 12:19:15 PM

冬になったらきっと私は消えてしまう。だからその時まで頑張って粘ってきたけど、もう限界なのかもしれない。
冬が来るのが怖くて怖くて仕方ない。けれどこれは私に与えられた宿命なのだ。私は
この宿命に立ち向かわなければならない。私は奥歯をぎゅっと噛み締めた。もう覚悟は出来ている。きっと大丈夫だ。春が来ればまた私の時期がやってくるのだ。そう思うといくらか心が軽くなった。
私が満開の時は人々はたくさん見にきてくれた。しかし、冬になると人々は目もくれない。私はそれが怖かった。そう、私は人々に忘れられてしまうのが何よりも嫌だった。
あんなに満開だった花びらも今ではすっかり朽ち果ててしまっている。
空では綺麗な花びらの代わりに雪がしとしとと静かに降っている。

zene

Next