紅茶は好きだ。なんてったってあの独特の渋みや鼻に抜けるような香りがクセになる。
男は紅茶を啜りながら、ふと思う。世間は愚かだと。
誰かがつぶやいた名言に感化されて、勝手に自分の幻想を描く。人間とは実に愚かだと思う。自分の傲慢さで世界を変えようとするのだ。つくづくこの世の理がいやになる。
だが、しかし紅茶の香りはそんな傲慢な世界すらも包み込んでくれる。たとえ怒っていても茶葉が開くのを見つめれば自ずと心が安らぐ。男は紅茶を一口、口に運んだ。世界への侮蔑を込めて。
zene
10/27/2024, 11:49:06 AM