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7/14/2023, 8:41:59 AM

昔から何でも姉と比べられてきた。
勉強の出来、スポーツ、容姿、人間性、そのすべてを。
姉が「あなたはすごい。」と褒められても、私の場合は
「どうしてお前はこんなこともできないの。」
と、否定の言葉ばかりがぶつけられて、日に日に劣等感が膨れ上がっていつも死にたいと思っていた。
───あの子に出会うまでは。
高校2年生になり、新しいクラスに馴染もうとみんなクラスメイトに話しかけていた。かくいう私も新しく出来た友達に愛想笑いをしながら教室を見渡していた。
すると、一人で背を縮こまらせながら本を読んでいる
女の子を見つけた。その時、声が聞こえてきた。
「ねぇ、あの子も同じクラスなんだ。」
「ああ、地味子って言われてる子でしょ。話しかけても無視するし、ノリも悪いし、いつも一人でいて中学じゃいじめられてたって噂もあるよ。」
「ああいう暗い子ウチのクラスに合わないよね。」
「確かにね~」
少し嫌な気分になりながらも授業の準備をする。
相変わらず彼女はうつむいたまま準備をしていた。
そして、放課後図書室で勉強をするために向かうとそこには彼女がいた。本を読んでいる彼女になんとなく話しかけてみようと近づく。
「ねえ、貴方。」
「ひ、ひゃい!」
「ふふっ、ひゃいって。」
「あ、あの何か用ですか?」
「いや、なんとなく話しかけてみたいなと思って。」
「そ、そうですか。」
そこから私たちは少しずつお互いの事を話して一通り
自己紹介をし終えると彼女はぽつりと呟いた。
「いつも、人と話すのが怖くて顔を下げちゃうんです。そんなんだから地味子だとか言われて、いじめられて。勉強もなんにもできなくて、こんな自分は嫌なんです。だから話しかけてくれて嬉しかったです。」
こんなに震えて一人ぼっちな彼女を可哀想だと思っているのに、なぜだか満たされた気持ちになる。この気持ちの正体がわからないまま、
私は彼女に言う。
「私があなたの友達になる。だからもう敬語はやめていいよ。」
「本当に?ありがとう。」
それから私は彼女と図書室で待ち合わせをし、勉強などを教えたり話すようになった。
どうやら、彼女は勉強もスポーツもできないようで教えるのに苦労した。だけど。
「すごいね!私とは大違いに何でもできるんだね!」
その言葉を聞いた時、彼女を見ていると込み上げてくる気持ちの正体に気づいた。
それは────
「どうかした?」
「う、ううん。何でもない。」
それは優越感。何もできない彼女に先生ぶって勉強やいろんなことを教える。いつも姉と比べられてきた私が他人に尊敬の眼差しを向けられるために、多分彼女を友達に選んだ。自分自身の満たされないものを満たすために。なんて最低なんだろう。でもやめられない。だってそれでも彼女は私によって救われたのだから。親友にだってなってあげた。だから少しくらいいいでしょう?
そんな言い訳を心の中でしながら私は彼女に向き直った。


『優越感、劣等感』

7/12/2023, 11:00:45 PM

これまでずっとあなたに言いたかった。
一人ぼっちだった私に手を差し伸べてくれて、嫌な顔を
せず私のたどたどしい話にも付き合ってくれた。
だから、せめて今あなたに伝える言葉はつっかえずに
しっかり目を見て告げたいと思う。
あなたは私をただの友人としか思っていないかもしれないけど、でももうこの想いは隠せないから。
「あなたが好きです。」
この恋心をあなたに伝える。

『これまでずっと』

7/12/2023, 9:16:26 AM

今日、私は君に別れを告げる。もうずっと分かってた。君と少しずつすれ違い始めていて、好きという気持ちが薄らいでいたことに。付き合い始めたあの頃は毎日が
楽しくてずっとこうして君といられると思っていた。
だけどお互い仕事や人間関係で苛立ちをぶつけるようになっていって、喧嘩ばかりする毎日でどんどん君と過ごす時間に苦痛を感じていた。
でも、このままじゃいけないと思いながら同棲している
アパートへ帰ろうとした時私は見てしまった。
君が他の女と腕を組んで歩いている所を。
だから、決めた。もう私たちは終わりだ。彼が帰って来る前に荷物をまとめる。荷物をまとめた後、携帯を取り出してLINEを開く。彼と今まで紡いできたメッセージに
一通り目を通して文字を打つ。
「私たちはもうお互いを好きじゃない。だから全部終わりにしよう。今まで楽しかったよ、さよなら。」
涙が流れる。これで全てが終わった。私たちの家に楽しかった思い出を置いてドアを開けた。

『1件のLINE』

7/11/2023, 9:38:09 AM

目が覚めるともう朝の6時。はっとして飛び起きる。
「やばっ、寝坊した!!」
顔を洗い制服に着替えて朝ごはんのパンを口にしながら
学校へ走っていく。友達に会い一緒に登校すると笑いな
がら言われるのだ。
「また寝坊?まったく自己管理をちゃんとしなよ。」
「もう、お母さんみたいなこと言わないでよー。」
そんな会話をしながら学校に着く。そんな慌ただしく、
けれど楽しい一日が今日も始まる。


『目が覚めると』

7/8/2023, 9:10:50 AM

今日は彼と喧嘩をした。昨日は私の誕生日だったのに彼に仕事が入ってしまってパーティーができなくなったからだ。もちろん、しょうがないのは分かっていたのに
つい苛立ちをぶつけてしまいもう2日も話していない。
どうしようと考えていると、ポスターが見えた。
「七夕まつり開催」の文字で今日は七夕であることを
私は思い出した。そしてとある昔話が頭をよぎった時に
あることをしようと考えた。
もうすぐ彼が帰ってくる。緊張しつつも扉が開くのを
待っていると、ガチャリと扉を開く音が聞こえた。
私が彼に近づくと彼はとても気まずそうな顔をしながらも私が話すのを待ってくれた。
「──あのさ。」
「…何。」
「ごめん、仕事なのに八つ当たりして。ご馳走用意したからさ一緒に食べよう。」
「わかった。あと俺の方こそごめん。」
そう言った後、二人で食事をする。2日ぶりに笑顔になれたと思いながら。
ベランダに出て星空を見ていると彼が隣へ来る。
「なあ、なんで急に謝ったりしたんだ?」
「何その言い方。」
「いや、だってお前頑固だからもう1、2日は口聞かないだろ。」
確かに私は頑固だけどそんなにじゃない、と不貞腐れながらも答える。
「今日、七夕でしょ。で織姫と彦星の話を思い出してさ。」
「それで?」
「私たちは織姫と彦星と違っていつでも会えるのに喧嘩ばっかりして年に一度どころか別れて二度と会えなくなるのは嫌だと思って、謝ったの。」
昔話を信じていると馬鹿にされるのではないかと顔が真っ赤になりながら話す。
「そうだな、確かに会えなくなるのは嫌だな。」
と彼はしみじみしながら答えた。
「も、もうそんな真剣に答えなくていいから!」
顔を逸らしながら夜空を見上げる。空には天の川が見えた。織姫と彦星もこんな風に年に一度の逢瀬を楽しめていたらいいなと思った。

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