緋鞠

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4/13/2024, 3:03:23 PM

爽やかな風と広がる青空。吹き抜けるそよ風が運ぶのは雲と草の香り。その中で私はいつも絵を描いている。隣には相棒のジョン。毎日私と一緒に羊の世話をしているとってもいい子。今日もいつものように目の前に広がる景色を描いていく。私だけの秘密の楽しみ。

テーマ:快晴

4/12/2024, 11:39:13 AM

茹だるような夏の暑い日、僕はあるひと夏の冒険を思い出す。
僕は幼い頃、両親と妹と一緒に祖父母の家に毎年遊びに行っていた。夏休みとあって、それなりに暑かった。だから、幼かった僕と妹は毎日のように祖父母の家から、海に遊びに行っていた。それと、僕は父と一緒に朝早くに林へ出かけては、カブトムシやクワガタを取って遊んでいた。
その日は、いつもより暑くて蝉のうるさい日だった。
いつもなら誰かが家に残っているのだが、たまたまその日は僕と妹しか家にいない日だった。その頃は広い祖父母の家が新鮮で仕方がなかった。僕にとっても、妹にとっても。いつもなら、両親に怒られるから祖父母の家を探検なんてできないけど、その日だけはチャンスだった。その日をのがせば、いつ探索ができるかなんてわかりゃしない。そう思った僕は、妹を誘って祖父母の家を探索しだした。ここで良い誤算だったのは、妹もこの探索に乗り気だったことだ。
探索を続けていくうちに、おかしいことが起こった。
どんなに廊下を歩いても、行き止まりに行き着かないのだ。祖父母の家は平屋建ての家だった。確かに子供にとってはかなり広い家だったが、それでも行き止まりに行き着かないのはおかしいと幼いながらに思った。そして、その時気づいたのだが、一緒に探索していたはずの妹がいなかった。それに気づいた瞬間蝉の声が一層うるさくなって、意識が遠のいていった。次に目を覚ました時には、夕方で広間の真ん中で寝てしまっていたようだ。妹は広間の隅で遊んでいた。僕が声をかけると起きたことに気づいたようでおはようなんて呑気に言ってきた。おかしい。僕は妹と祖父母の家を探索していたはずで、その間に妹とはぐれて、なんて混乱していると、考えていたことが声に出ていたのか、
「探索なんてしてないよ?お兄ちゃんずっとそこで寝てたじゃん。変なの。」
と言われてしまった。
それなら、あのやけにリアルな経験はなんだったんだろうか。あれから何年も経った今でも、僕はこの出来事の真相を知らない。

お題:遠くの空へ

4/12/2024, 12:30:42 AM

飲み会に行っていた彼が帰ってきてからずっと私のことを抱っこしてる。他にやりたいことがある訳でもないからいいけど、少し気になる。
「ねぇ、どうしたの?」
「……なんでもない。」
顔も見せてくれないから、体調も分からないけど平気なのかな。
「……すき。だいすき。ことばじゃつたえきれないくらいすき。」
「……っ、どうしたの?急に。」
「きゅうじゃない。いつもおもってる。いつもいえないけど。」
「……そっか。私も大好き。」
「うれし。」
「ほら、そろそろ寝よう?」
今日もお疲れ様。いつも言えないけど、ずっと大好きだよ。

テーマ:言葉にできない

4/10/2024, 3:38:09 PM

桜並木の土手を歩いていると、色々な人とすれ違う。桜を見ることなく忙しなく通り過ぎる人、写真を撮る人、昼間からお酒を片手に花見をするをする人、散りゆく桜の花びらを捕まえて遊ぶ人。
そんな土手で私はここ数年、不思議な出来事を毎年目にしていた。
ホラー的な体験ではないのだけれど、春先のある日になると顔立ちの整った体格のいい男性が白昼夢のように現れては消えるのだ。これがまた不思議な話で、現れる時は桜が竜巻のように巻き上げられてその中から現れて、消える時も同じように桜の竜巻に吸い込まれるように消えていく。その上、現れる男性の年齢も姿もバラバラなのだ。下は小学校低学年くらいの見た目の子もいれば、上はイケおじと言っても過言ではないような男の人が現れることもある。友人にぼかしながら話したところ、桜の精でも見たんじゃないか、なんて笑われたけれど、自分はそうは思わない。きっとあの人たちが神様なのだとしたら、もっと違うものの神様だ。
だって、あんなにも冷たい綺麗さだったのだから。

テーマ:春爛漫

4/9/2024, 3:29:00 PM

誰よりもお前のことを見てきたから知ってる。お前があいつの事を好きだってこと。なんでって、ずっとお前の事見てたから。お前はバカだよ。叶わないってわかってるのに、ずっと恋してる。でも、俺の方がずっと馬鹿だ。だって、俺だって叶わないってわかってるのに、ずっとお前に恋してる。

テーマ:誰よりも、ずっと

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