緋鞠

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4/8/2024, 2:55:31 PM

ねぇ、君と出会ってからもう三年経ったね。喧嘩も沢山したね。でも、その分仲直りして、たくさんデートしたね。ずっと一緒にいるけど、ずっと君のことが好き。ねぇ、愛しい君は、これからもずっと、僕と一緒にいてくれますか?

テーマ:これからも、ずっと

4/7/2024, 4:18:04 PM

僕はとある夏に、少し不思議な人に出会った。
その人は、音楽がとても好きだと言っていた。思い返してみても、音楽を聴いているか、歌を歌っていることが多かったように思う。
その人は、いろいろなことを音楽や音楽用語で例えた。おかげで、僕も少し音楽に詳しくなった。主にクラシックに。
その人は、朝遅刻しそうになると、『熊蜂の飛行』というクラシック曲が頭の中で流れ出すらしい。僕も実際に聴かせてもらったけれど、確かにあれはかなり焦る。
その人は夏が来ると、『ツァラトゥストラはかく語りき』という曲の冒頭が思い浮かぶ、と笑っていた。これは僕も知っていた曲だったけれど、そんな風に聴いたことは無かったから面白い考え方だと思った。
その人は海を見ると、『海の歌』という曲を思い出すと、少し寂しげに言っていた。その曲はオーケストラではなく、吹奏楽の曲らしい。その人は、昔演奏したことがあると言っていた。
その人は海に沈んでいく夕日を見ると、『アルメニアン・ダンスパート2』と『マーチ プロヴァンスの風』と『天国の島』という曲を思い出すらしい。どれもまた吹奏楽の曲らしい。その人いわく、『アルメニアン・ダンス』と『天国の島』は演奏したことがあるのだそうだ。
その人は海から登る朝日を見ると、『マードックからの最後の手紙』という吹奏楽の曲を思い出すらしい。その人が言うには、その『マードックからの最後の手紙』はタイタニック号の事件を元に書かれた曲らしい。素敵な曲だから一度は演奏してみたかったと、遠くを見つめながらその人は笑った。
その人は心から音楽を愛していた。それは音楽に詳しくない僕にだってわかった。それなのにその人は、もう音楽はやらないのだと寂しそうに言った。聞くべきではないとわかっていた。でも、あまりにその人が寂しそうに言うものだから、僕は思わずどうして、と聞いてしまった。その人は遠くを見つめながら、どうしても、と言う。今考えてもその人がどうして音楽をやらなくなったのかは分からない。けれど、いつか本当のことが聞けるのならば聞いてみたいと思う。
夏の影に消えてしまったあの人に。

テーマ:沈む夕日

4/6/2024, 3:35:14 PM

初めて君と目が合った時、雷が落ちたみたいな衝撃だった。
それからは、気づけば君のことを目で追ってたし、話し声だって勝手に拾ってた。そのくせ君に話しかけようとすると、急に暑くなるし頭の中は真っ白になるしで上手く話せない。
毎日そんなことの繰り返し。だと思ってたのに。
どうしてこっちを見つめてるの?どうしてそんなに顔を赤くしているの?
あぁ、目が合った。恥ずかしいから逸らしたい。でも、紅く染った君の顔を見ていたい。

テーマ:君の目を見つめると

4/5/2024, 2:48:37 PM

空気の澄んだ寒い春先の夜、空を見上げる。いつもよりも綺麗な星空が広がっていた。そんな日にはよく昔のことを思い出す。
僕は小さい頃、孤児院にいた。いつから孤児院にいたのかは分からないけれど、少なくとも親の顔は覚えていない。そんな子供時代を過ごした孤児院で、特に仲の良かった奴がいた。
そいつとは同い年だったこともあって、気がついた頃には一緒にいた。そいつとは性格こそ真逆だったけれど、何故か居心地が良くてお互いにお互いの隣が一番落ち着く場所だった。だから、そいつとはいろんな話をした。今日の夕飯はなんだろうとか、今日はこいつとあいつが喧嘩したとか日常のなんてことない話から、将来の話とか、宇宙の話とか、真面目な話も、たくさん。
孤児院で暮らしていくうちに、気づけばそいつとの日課はいくつかできていた。例えば、嫌だと思ったことはその場で言う、後に引きずらない。あとは、お互い苦手な食べ物が出たら、こっそり交換。バレたら連帯責任、とか。その中に、毎晩就寝時間を過ぎた頃、こっそり屋根に昇って雑談をするっていうのも、入っていた。うちの孤児院はそこそこ子供が多くて、一階が共有スペースと院長先生の部屋、二階が子供たちの部屋、という割り振りだった。部屋も基本的に六人で一部屋で、多い部屋では十人くらいいる部屋もあった。そんなんだったから、部屋で夜中に雑談する訳にも行かなかったし、ましてや廊下でなんてことやったら院長先生から大目玉を食らうことは間違いなしだった。そこで、思いついたのが屋根の上だった。だから、毎晩就寝時間を過ぎた頃、院長先生がいなくなったことを確認して、こっそりと屋根に上った。もちろんバレたらお叱りは免れない。そんなスリルもあって、楽しかった。
けれど、中学三年生に上がる頃、あいつは死んだ。飲酒運転の車に突っ込まれて即死だったらしい。僕はもう既に、養子として引き取られていた後で、その話も孤児院からの電話で知った話だ。僕は初めそんな話を信じられなかった。僕は運良く引き取ってもらえた。これから毎日会うことは出来ないけれど、せめて文通はしようって、できるだけ毎日手紙を出そうって話して、本当に毎日文通をしていた。その日も、手紙が届いていて、何が書いてあるんだろうかとか、どんなことを手紙に書こうかとか、そんなことを考えていた矢先の話だった。暫くは、ショックから何も手につかなかった。でも、そんな時なんでなのかは分からないけど、ある日話したことを思い出した。何の話の流れかはもう覚えていない。ただ、そいつは僕に珍しくお願いをしてきた。そいつは俺が死んだら、俺の分までお前がいろんな景色を見て、最後の最後に俺に話に来いって。その時僕はなんて返したんだったか。でも、何故かそんな話を思い出した。それからは、何とか前を向くようにした。そして、日記を付けたり、旅行先で撮った写真やチケットなどをノートに纏めるようになった。旅先で見たもの、聞いたこと、知ったこと、できるだけ全部を纏めるようにした。いつかあいつのところに行った時、一つでも多く伝えられるように。そんな習慣は今でも続いている。ノートも日記帳ももう二桁だ。ノートに至っては、三桁目を超えている。それでもきっとあいつは少ないって怒るから、まだあいつの所にはいけない。
だからさ、もう少し待っててよ。まだお前との約束果たしてる途中だからさ。星の綺麗な夜はお前のことを思い出すからさ。

テーマ:星空の下で

作者のつぶやき:
初めてひとつの物語として最後まで書き切りました〜!
ただ、自分でも分かりにくいなとは思っているので、雰囲気だけで呼んでいただければと思います。

4/4/2024, 1:52:33 PM

もうすぐ始まる新しい環境での生活。期待もあるけれど、不安もある。むしろ、不安の方が強いくらいだ。正直、自分でも自信がある訳では無いから。
でも、それでいい。自分は自分のままで。少しづつでも進めていれば、それでいい。一歩に満たなくても、半歩でも、半歩に満たなくても。それでも、本当に少しでもいい。それでも、前に進めているのなら、それで、いい。
そうやって、少しづつでも進んだその先でいつか振り返った時、きっと見えている景色が今とは違っているから。
何が自分の手の中に残るかなんて分からない。もしかしたら、何も残らないかもしれないけれど、それでもいい。手の中に何も残っていなくても、きっと心の中には何かが残るから。
そうやって、自分を少しづつ肯定して、生きていく。

それでいい。そのまま自分の思うがままに進んでいけばいい。

テーマ:それでいい

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