僕はたまに思うんだ。
自分の中からいらないものを一つだけ消せたらって。
そうしたら、もっと生きやすくなるのかなって。
もし一つだけ消すなら何を消そうか。
感情?それはいいね。何も感じなくてすむ。何も感じなくてすむってことは、傷つかなくてすむってこと。それはとっても魅力的だ。でも、何も感じないってことは、好きな物も何も感じなくなるってこと。それは少し辛いなぁ。
じゃあ、痛覚はどうだろう。正直、痛いのなんて大体の人が嫌だろうし、なくてもいいかなって思わなくもない。でも、痛みがないと命の危険に気づけなくて危ないんだよね。何かで聞いたことがある。うーん、命の危険に気づけないのは、よくないきがするなあ。
んー、これを挙げちゃうのは、あんまり良くないのかもしれないけど、そもそもの命を消したらどうなるんだろうね。ほら、死後の世界とか、極楽浄土とか、天国とか、地獄とか。宗教によっていろんな言い方はあれど、何かしらある、みたいに言われてるだろう?逆に何も無いなんて考え方もあるけどね。本当はどっちなんだろうね。まぁ、なんでもいいや。
ねぇ、もし君が何か一つ自分の中から消すなら、何を消す?
テーマ:一つだけ
「あなたの大切なものはなんですか。」
X月XX日 くもり
今日は国語の授業で課題が出た。テーマは、「自分にとって大切なもの」。パッと思いつかなかったので、友達にそれとなく聞いた。ある人は親から貰ったネックレス、またある人は小さな頃におじいちゃんが作ってくれたパズル、など。それらを参考にしつつ、考えてはみたが今のところは思いつかない。まぁ期日までは一週間あるため、ゆっくり考えようと思う。
X月XX日 くもり
今日も今日とて変わらない1日だった。昨日からずっと自分にとって大切なものが何かを考えているが、思い浮かばない。考えすぎたからなのか頭が痛い。今日はこれくらいにしておこう。
X月XX日 くもりのち雨
天気が崩れ出して少し憂鬱だ。そういえば、夕方のニュースで世界的に新型ウイルスが流行しているらしい。海外ではロックダウンも起きているようだ。これから、どうなるんだろうか。
X月XX日 雨
今朝、急に学校から連絡があった。新型ウイルスが世界的に流行していることから、休校という措置をとることになったらしい。したがって、作文の課題の期日も少し延びた。ありがたいが、それでも早く書き上げてしまわなければ。休校期間中の他の課題にも取り組まないと。
X月XX日 晴れ
学校がないとゆっくり起きられて、ありがたい。一日家の中にいられるというのも、かなり嬉しい話だ。かと言って、それが大切なもの、という訳でもないのだが。
X月XX日 晴れ
気がつけば、休校になって二週間がたった。課題をのんびりと進めつつ、作文についても考えた。まだ分からない。自分の中で、物足りなさを感じるようになった。いや、物足りなさ、というか、どこか違和感を感じる。何故だろう。
X月XX日 くもり
休校期間になって二週間半。違和感の正体が少し見えた気がした。友人と誰かの家で遊ぼうか、という話になった時、新型ウイルスが流行しているということで、話が流れた。その時にふと思い出したが、友人たちとは部活が違うため春休みに入ってから会えていない。要はふた月半近く会えていない。それに気がついた時、急に寂しくなった。
X月XX日 雨のちくもり
昨日の日記をつけた後から、作文に取り掛かり始めた。上手く言葉にはできないけれど、昨日のことは書くべきだと思ったのだ。ただ、変な文になっていそうなので、後でもう一度読み返さなければ。
X月XX日 晴れ
今日は久しぶりの登校日だった。作文の発表の日だ。先生が作文を読みクラスの中で優秀だと判断された生徒が先生から指名を受けて発表する。私は発表する側だった。他の人が私の作文を聞いてどう思ったかは知らない。それに興味もない。けれど、今回の出来事は私の中で大きな意味を持っていると思う。
「私の大切なもの」
初め、私は自分にとって大切なもの、と言われて何も思い浮かばなかった。命はもちろん大切だけれど、いつかはみんな平等に失う。お金も大切と言えば大切だけれど、こういう作文で挙げるものとしては少し違う気がするし、何より私自身、そこまでの大金は欲しいと思わない。だから、私にとって大切なもの、が何も思い浮かばなかった。
でも、今回新型ウイルスが世界的に流行し世界中でロックダウンが起きて、学校も休校になった。それにより、外に出られない、以前なら、毎日会えていた友達に会えない。遊びに行こうと言って予定を合わせさえすれば遊びに行けていた。それすらも、叶わなくなった。
そんな新しい毎日になって、私はようやく気がついた。今まで当たり前だと思っていた日常が本当は当たり前ではなく、特別なものだったのだと。そして、私にとって大切なものだったと。私にとってこれは忘れていた事実でした。
だから私にとって大切なものは、日常を過ごせること、です。
テーマ:大切なもの
作者のつぶやき:
今回は日記風にしてみました。難しい……。日記部分をもっと長くかけるようになりたいですね。まぁでも、そこそこ書きたいことは書けたので、自分としては満足です。
あぁ今から最高の嘘をつかなきゃ。
本当は嘘なんてつきたくない。
でも、大切な人を傷つけたくないから。
だから、精一杯の笑顔で言わなきゃ。
「末永くお幸せに。」
嘘。本当は好き。今でもずっと。
さようなら、私の好きだった人。
テーマ:エイプリルフール
ある日、一人の少女を拾った。
最初は拾うつもりなんてなかった。何せ、自分のしている仕事は、表で言えるような真っ当な仕事じゃあない。そんな自分が少女を真っ当に育てられるとは到底思えなかったし、少女ではなかったとしても危険すぎる。そう思って、通り過ぎようとした。けれどできなかった。
その少女の目が、あまりにも何も映していなかったから。あまりにも昔の自分に似ていたから。そう思ったら、気がついたらうちに連れて帰っていた。
それからの日々は、それなりに穏やかだった。拾った少女が、自分の仕事に興味を持って手伝い始めてしまったのだけはかなりの誤算だったが。しかし、少女は覚えがよくしっかり者だったため、仕事をよくこなした。
しかし、穏やかな日々も長くは続かなかった。
その日は、少女に街まで買い物に行ってもらっていた。その間のことだった。襲いに来たのは自分が過去に潰した組織の残党だった。自分もそんじょそこらの連中に負けるほどやわではない。しかし、一人で相手をするには多すぎた。いや、少し油断をしすぎてしまったのだろう。不意をつかれて致命傷を負った。最後の力を振り絞って、最後の残党を倒した。しかし、もう少女が帰ってくるのを待てるほどの力は残っていない。きっと彼女は悲しむだろう。苦しむだろう。大切な人を喪う覚悟なんてできていないだろうから。きっと心優しい彼女は復讐を望むだろう。あぁ、彼女がそばにいないのが少し淋しいが、たくさんの人を殺してきた自分にはこんな最期が似合いなのだろう。
もし、もしも神様がいるのなら。今だけは、最期の願いだけは聞き届けてください。
自分のことは救わなくていいから。せめて、心優しい彼女が復讐に囚われることなく幸せであれますように。願わくば、光溢れる優しく美しい世界を生きていけますように。
テーマ:幸せに
作者のつぶやき:
最後まで読んでいただいた方、途中まででも読んでいただいた方、本当にありがとうございます。
久しぶりに少し長めの文章となりました。
「2024年3月11日のテーマ:平穏な日常」の作品の続きというか、少女を拾った側の人の話が思い浮かんだので、文章に起こしてみました。気になった方はそちらも読んでいただけたら幸いです。
他の人と変わらない何気ない日常。
ただ仲のいいやつと喋ったり、なんか話し合ったり。いつもの毎日。
でも、ほかの人たちとは少し違う。
だって、僕たちはマフィアだから。
裏の社会で知らない人はいない。NN。never noticeの略だ。そして僕たちはその幹部。だから知ってる。この街にいる人たちはみんな何気なく生きてるふりして、本当は裏の顔があるってこと。
仲間とよく行くカフェのマスターも、バーのマスターも、飲んだくれのおっさんも。みんなみんな、裏の顔がある。
これはそんな街の話だ。
テーマ:何気ないふり