喜楽ここあ

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12/4/2024, 1:09:18 AM

「さよならは言わないで(創作)」

桜が大好きなあなた。
今年もいろんな所で、桜を見に行ったよね。

私が夏が苦手な事を知っていたからなのか、あまり出かけたがらず、家でボードゲームをした方が多かったかな。

秋は紅葉も見に行った。行けない時は、視線を軽くあげて、赤や黄色に変わっていく街路樹を見て楽しんだよね。落ち葉をふむ度に聞こえてるく音も、とてみ綺麗だった。それだけで心が豊かになった気分だった。

冬はコタツに入ってみかんを食べたり、ぎゅっとくっついてお互いの体温を共有するようにお散歩もしたよね。

「来年の桜は見れるかな…見たいな」

そう言ってあなたは、3月に旅立ってしまった。遠い遠い世界へ。桜のつぼみも、あなたを待っていたのに、先に逝ってしまった。


あなたのいない世界は、ただただ灰色で、この先、私の世界に色彩が現れることがあるのでしょうか。

それまでは、あなたと向き合って生きていこうと思います。抗うことなく、あなたがいない現実を受け止めながら、

私、もう、大丈夫!!

って言える日まで。

12/1/2024, 11:47:11 PM

「距離(創作)」

「今週の日曜日、草野球の練習試合なんだけど応援に来てくれない?」

「え?いいの?行きたい!」

その日を今か今かと待ちわびて、差し入れの弁当を作って、いそいそと試合が行われるグランドに向かった。

到着した時は、1回の表。
少し離れたフェンスから、バッターボックスに立つ彼に小さく手を振った。彼はすぐに気がついてくれて、こくりと小さく頷いて、試合に集中する。

カキーンとボールの中心を捉えた音が鳴り響いた。

「やった!」

思わず大きな声を出してしまって、口に手をやって肩を窄めた。

「パパー!ホームラーン!!」
「すごいね、パパ!」

甲高い子どもの声と、女性の声がした方を振り向くと、彼に向かって2人が笑顔で手を振っていた。

私と2人の距離は、そう離れていない…

その声に気が付かないはずもなく、彼も振り向いて2人に手を振り返したあと、私とバッチリ目が合ってしまった。


どういうこと?

私と2人の距離は、そう離れていない…

11/30/2024, 2:23:24 PM

「泣かないで(創作)」

なんでこうなってしまったんだろう。
…突然私の気持ちが冷めてしまった。

どうやって話を切り出そうか…そんなことを思いながら、ひとりカフェで彼を待った。

しばらくして、嫌な予感がしていたのか、少し浮かない表情を浮かべながら彼は私の前に座った。

「今から話すことって、嫌な話?」

「まあ…そうかな」

彼は、唇を軽く噛んで俯いた。
しばらく足元を見ている彼の目から涙が、ポツリ、ポツリとこぼれ落ちた。


「別れ話しようとしてるんでしょ?!俺は別れたくない。何がいけなかったの?」

「そうじゃ無くて…5分おきにLINE入れるのやめてくれないかな?最初は嬉しかったんだけど…対応出来ないし」


彼は私のことが大好きで、頻繁に連絡を取りたがる。特に束縛をする訳では無かったが、5分おきのLINEはしょうじき、しんどくなっていた。

友達に言わせれば、よく1年も頑張ったと。私の気持ちが冷めたのではなく、当たり前の感情だと言ってくれた。


「別れ話じゃないんだね? 」

ほっとした顔で彼が微笑んだ。

「5分おきは辞めるよ!10分おきにする」

「だから、そういう事じゃなくて…」


はぁと大きくため息をついた。
別れを切り出すのも時間の問題だった。

11/28/2024, 1:48:43 PM

「終わらせないで」

食べ物を買い込んで、国内、、海外とわずドラマを一気に動画サイトで見るというのが、私の休みの楽しみだ。

日本のドラマは11話で終わることが多くて、どうしても物足りない部分が出てくる。ただ、描ききれないところは、自分で考えたり、スピンオフなども配信があったりして楽しませてくれる。

ドラマは自分の知らない世界に導いてくれるし、ときめかせてくれるし、サスペンスの考察も楽しい。


最終回が近くなると、いつも思うことは同じだ。

終わらせないで!!!
作者様、製作者様!!どうか、長く続けてください!!

という事だった。

なのに私は懲りないのだ。
最終回を迎え、寂しくてロスになりながらも、また私は新しいドラマを開封していく。

私は、懲りないのだ。

11/28/2024, 1:02:02 AM

「愛情(創作)」


幼い頃、連れ子同士の再婚で新しい家族ができた。私は母の子だからなのか、父親からの愛情を感じることなく過ごしてきた。

多分それは、私が拒否していたからだろう。父親は必死に父になろうとしていたのかもしれない。今なら少しは、分かるような…分からないような曖昧な気持ちだ。
尚更、幼い私にはそれを感じる力もなかった。

やっぱり心から満たされなかった。
どうしても。

私が好きになるのは、年上の人ばかり。私を愛してくれ、包み込んでくれ、とても安心感があったからだ。同年代の人では物足りなかった。

「愛してるよ」

この言葉を聞いてしまうと、気持ちがさめてしまい、別れ話に発展してしまう…

もうこれは、トラウマなのかもしれない…言葉ではなく、態度や気持ちで自然に感じさせて欲しいと願ってしまう。

いくらでも相手を試すチャンスはあったけど、自分から行動するのも何か違う気がして…心が不貞腐れていたのかなと、ふと思う時もあった。

ある時わかったことは、幼かったから愛情を感じる力が無かったからではなく、自然に感じさせて欲しかったという思いが未だに根強く残っているという事だった。

帰る場所はここにあるという、無条件の愛に包まれたかった。心満たされるように。

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