「神様へ」
雨で冷たくなった身体を
どのようにして温めたらよいのか
ずぶ濡れになった心から流れる涙を
どのようにして乾かしたらよいのか
僕が、僕を愛することができたなら
少しは、この街でも光をみつけられる?
僕が、誰かを愛することができたなら
少しは、僕を許すことができますか?
僕が、僕を許すことができたなら
また、僕は誰かを愛することができたなら
先の見えない真っ暗なこの街でも
僕は、誰かと手を取り合って光を
さがし求めることができますか?
もし、神様が存在するのならば
もし、神様へ祈りを捧げられるのならば
僕は、僕を許すことができますか
「快晴」
いつからだろうか
快く澄みきった心を失って
陰を好むようになったのは
相手を想う優しさは利用され
個性は従順に揃えられる世界
いつしか心に積もった雪は凍って
曇った磨りガラスを通して人を見る
空は、美しくもない快晴のようだ
必ず戻ると手を振って旅立ったあの人は
現在、どこで何をしているのだろう
時は、あなたも変えてしまうが
時は、わたしも変えてしまうから
今更、清く澄みきった快晴でも
戻れる世界なんてどこにもないんだ
「遠くの空へ」
いつも、遠くの空へそれはある
憧れて、希望を抱いて、そして届かない
手が届かないから欲しくなる
近くにないから欲しくなる
いつも、遠くの空へ手をのばして
憧れて、希望を抱いて、足元をみない
危ないよ、つまずくよ、それでも
遠くの空を見上げては歩いた
あの空と海が溶けあう水平線も
モコモコと湧き上がる入道雲も
朝日や夕陽、月さえも遠い空にある
そんなことを思いながら
河原に寝そべって、遠い空に黄昏る
「言葉にできない」
ここのところ毎日仕事が忙しい
残業が続いて、たまの休日くらいしか
彼女に会うことができない日々が続く
こんな日々が続くなら、いっそ転職を
考えようかな…本気で考えるよ。
しばらくぶりに彼女と会う約束をした
あそこのケーキ屋のケーキ好きだったっけ
買って、一緒に食べようかな
彼女の大好きなイチゴのショートを2つ
手に持って、彼女の部屋へ迎った。
彼女は、いつになく不機嫌で、何があった
のか、全く話してくれなかった
大好きなケーキも、今はいらないと言って
食べようともしないで、ずっと黙ったまま
しばらくすると、遂に泣きはじめて
細い声で、「もぅ、別れましょう…」
僕は、事態が飲み込めず、頭が真っ白だ
ただ、部屋の隅で膝を抱えて泣く彼女の
表情は、すごく淋しくて、震えてて
僕は、言葉にできないけれど情けなくて
言葉にできないけれど不甲斐なくて
彼女を抱きしめて僕も泣いたんだ。
「ごめん」たった一言を口にして
「春爛漫」←お題を書くことにしました。
まだ寒さが残るころ
せっかちな梅が花を咲かせる
それは予期せぬ別れの予兆のように
南から心地よい風が吹き強さを増す
山がポツポツと息吹を吹きはじめ
桜がいっきに咲き乱れはじめる
それは別れの合図のように
様々な花が様々な色をつけて
いよいよ春爛漫を迎えるころ
別れを忘れさせるかのように
慌ただしく新たな出会いを迎える
そしてやがて、みどりが濃くなり
賑やかであつい空が訪れるのでしょう