初唯

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3/17/2024, 4:45:27 PM

※この話に出てくる人物の名前は主が想像の元付けました。
フィクションです。


『なかないよ』


大丈夫、僕は強いから!
僕はお兄ちゃんなんだよ!



ぼくは「いさわ しょう太」!小学2年生!
今ね?ママのおなかの中には赤ちゃんがいるんだって!
だからね!もうすぐぼくは"お兄ちゃん"になるんだ!

[翔太。こっちにおいで。]
あ、ママがよんでる!

「うん!」
[翔太、ママはもうすぐ赤ちゃんをお迎えに行くの。
だからね、パパと2人でお留守番しててほしいんだ。]

…ママと会えないってこと?そんなのやだよ!
「いや!ママといっしょがいい!」

[…翔太はもう"お兄ちゃん"なんだから、我慢出来るよね?]
お兄ちゃん…そうだぼくはお兄ちゃんになるんだ!

「、できるよ!ぼくもうお兄ちゃんになるんだもん!」
[偉いね!翔太。大好きだよ!]
「ぼくもママのことだーいすき!!!!」
ぎゅー!ぼくはママのことだーいすきなんだ!

〔……パパはぁ…?翔太ぁ…パパも〜!〕
[ふふっ、パパのこともだーいすきだよ!]

この日はかぞく3人でぎゅーをしました。
そのあとママをびょういんにおくりました。
またぼくはなきそうになったけど、
お兄ちゃんになるからがまんしてなきませんでした!
はやく赤ちゃんがくるといいな〜


それからしばらくして赤ちゃんがお家にやってきた。
ぼくにはいもうとができたらしい。
お家にやってきた"いもうと"はとても小さくて
すこし力を入れたらこわれてしまいそうだった。

お家に"いもうと"がきてすぐ、とおくにいるおじいちゃんと
おばあちゃんがきた。「あそぼ」っていったけれど、
おじいちゃんとおばあちゃんは"いもうと"を見てて
あそんではくれなかった。


"いもうと"に名前はまだないらしい。
これからつけるんだって。ぼくもてつだおうとおもって
クレヨンをもっていったけど[向こうで遊んでてね]って
ぼくはおてつだいできなかった。

ママとパパは"いもうと"の名前をずぅっと考えていて
あれだこれだとなやんでいた。
1人であそぶのはたいくつで何度も「遊ぼ」と言ったけれど
[向こうで遊んでてね]〔パパとママは大事な事してるから〕
ってパパもママも遊んではくれなかった。

おくで"いもうと"が泣いていた。
ぼくはお兄ちゃんだからね。なぐさめてあげないと。

[何してるの!]
きゅうに大きい声がきこえた。ぼくはびっくりして
声のする方を見た。ママだった。
「あのね、"いもうと"がないて、っ」

ただぼくは、いもうとをあやそうとしただけなのに…
[なんで泣かせてるの!あぁ〜もう!ごめんね《春葵》]
「はる…な?」
[……この子の名前は今日から"春葵"よ。ねぇ〜"春葵"〜。]

"春葵"が来てからぼくのパパとママはおかしくなった。

あそんでくれなくなったし、お話もしてくれなくなった。
"春葵"ばかり構うようになった。
ぼくはだんだん"春葵"がきらいになった。この異物が。
それでも僕は我慢して、自分なりに可愛がっていた。

が、ある日の事だった。ぼくの絵がやぶかれていた。
一瞬の事だった。小学校から帰ってきて手を洗い、戻ったら
ぼくがかいた絵がビリビリだったのだ。
「ぼくの…絵…」

せっかく家族みんなの絵をかいたのに…
何かぼくの中で糸がきれた。
ぼくは"春葵"にどなった。

「何してんだよ!!なんでやぶったんだよ!!!!」
"春葵"が泣いて、すぐにママが来た。
[何してるの!]
「ママ!"春葵"が…」
[翔太!!!!]
…え?ぼく?

「ちがうよ、ママ、"春葵"が…」
[言い訳しない!"春葵"はまだ赤ちゃんなのよ!?
翔太はもうお兄ちゃんでしょ!"春葵"を泣かせないで!!]

〔ただいまー〕
ちょうどパパが帰ってきた。
[パパ!翔太が…]

そこからはずうっと怒られてた。パパにも、ママにも、
「…ッ、パパもママも嫌いだ!大嫌い!!」
自然と口から出た言葉であり、本心だった。

[なんて事言うの!]
〔親に向かってなんだその言い方は!〕
「だって、パパだってママだって"春葵"が来てから"春葵"の事ばっかり!ぼくの事なんてきにしてくれないし!
全然遊んでくれななくなった!皆して"春葵"春葵"って…
こんな事なら……"春葵"なんて、要らなっ、!パンッッ!」

その日、初めて僕は親に叩かれた。
もう何も聞こえなかった。視覚から得られる情報は、
ただただ、何かを言っている父と泣き崩れる母だけだった。
段々と視界が滲んでいく、もう、何も分からないや、


その後僕は、外に出された。
その日は夜はまだ肌寒い春の日だった。


その日から僕は"いいお兄ちゃん"を演じた。
春葵に何を壊されようと、何を奪われようと。
ずっと笑顔で。全てを許して。

この"人達"はどんな理不尽があっても春葵を優先し、
甘やかすんだ。春葵しか眼中に無いらしい。

僕はお兄ちゃんだから、ね。
僕、ちゃんとがまん、できるよ。
ぼく…ぼくは…

3/14/2024, 12:00:49 PM

もうここには数年通っている。
すっかり仲良くなった看護師さん達に挨拶をし、
僕は7階に向かった。あの子に会うために。

君の居る部屋に入ると君は窓の外を眺めていた。
不意に綺麗な横顔だな、と思ってしまった。照れくさい。
春の暖かい風と共に桜の花びらが1枚。
君は心做しか少し笑顔でとても安らかな瞳をしていた。


桜だ。桜がいいな。公園いっぱいに咲いた桜を見に行こう。
桜に囲まれた君を切り取ってアルバムに挟みたい。

もう少し、もう少しだけ頑張ろうね。
今日が最後だから。この手術が終われば退院なんだ。
僕が買ってきたストレチアを花瓶に挿した。

君と色々な物を見たい。色々な所に行きたい。
「手術が終わったら桜を見に行こうか、桜、好きだもんね」
そういうと君は目を輝かせて嬉しそうに笑った。


___時間だ。麻酔をされ、すやすやと眠っている君が
運ばれていく。こんな時でも思ってしまう、

やっぱり、君の横顔は綺麗だ。

お医者様によると簡単な手術だそうで、
2時間も無く終わるらしい。早く君と桜を見に行きたいな。


****


もう4時間は経ったぞ?おかしい。
2時間も掛からないって言っていたのに…
看護師さんに何度も確認を取ったが、簡単な手術だし、
手術中に部屋の中に入るのは難しいから、
終わるのを待ってほしい。と、


****


明らかにおかしい、もう6時間も経ってる。
本当に、本当に大丈夫なのか、あの子は、あの子は…!

その時、手術中のランプが消えた、あの子が帰ってくる、!
扉が開くのを待った。先生が出てきた。お話を、聞いた。


****

君は帰ってこなかった。
先生によると君は手術中に容態が急変したらしい。

簡単な手術って、言われてたのに、
なんで、君だけがこんな不幸になるんだろうか。


……君と桜、見たかったなぁ…
書類整理が終わり、看護師さんやお医者様にお礼を言い、
あの子の身の回りのものを整理している時にはもう、
あの時持ってきたストレチアは枯れていた。




「…ははっ、お似合いだな…」




僕はお葬式には行けなかった。認めたくなかった。
僕はこれから、どうしよう。

1週間、僕はもう何もやる気がなかった。
認めたくない、本当に、認めたくなかったけど、
段々と、認めてきてしまった、、行こう。

君のお母さんに頼んで、線香を焚かせてもらった。
あぁ、やっぱり君は、綺麗な横顔をしているね。
君の事、本当に好きだよ、大好き、愛してる。



****

もう君が居なくなって一年経つね。
今日は色々持ってきたんだよ。君が好きな本と、
君が食べたいって言ってた飴もね!

「この1年、僕は沢山考えたよ。
でもね、やっぱり僕は君が好きだ。」



そう言って僕は君に赤いカーネーションと指輪を渡した。



「結婚してください!」









3/13/2024, 10:25:05 PM

****

あいつの隣が欲しかった
でもこの気持ちに気づいた時にはもう…遅かった。


高校に入って知り合った寝癖の酷いあいつとは
仲良くなるのにそう時間は掛からなかった。
いつも一緒だった。あいつのことはよく知っていた。
出身中学、誕生日、好きなこと、苦手なこと、そして…


"好きな人"


あいつは私と同じクラスのあの子の隣を狙ってて
あいつはずっと「可愛いな、もっと話したいな」って
あいつは気づいてなかったんだろうな〜、
お前からされる恋愛相談がどれだけ辛かったか、

少なくともあの子より断然一緒にいる時間は長かった。
部活の時も一緒に居たしバイトの時も一緒だった
寝落ち通話もしたし、あいつの家にも行ったこともある、
狭いベッドで2人、寝た事だってあった、

休みの日に2人で遊びに行ったし
膝枕だって、ハグだって私としたのに…

告白して振られちゃえばいいのにとか、あの子に彼氏が
出来ちゃえばいいって、そんな事しか考えて無かった笑

高校生初めての文化祭。最後の軽音部の発表が終わって
花火が始まった。『何処にいる?』ってLINEをしたけれど
既読は付かなかった。…何してるんだろう。
花火が終わってしまう。一緒に見たかったのに…

「終わっちゃったなぁ…花火」
花火が終わって皆が帰り出した。

人混みの奥に、今まで姿が見えてなかった、
大好きな人が見えた。

嬉しくなって駆け寄って、
「花火凄かったね」って、「綺麗だったね」って、
それでも返事をしないあいつはずっと俯いたままで、
心配になって「転んだの?大丈夫?」って、

そしたら急に抱きつかれた。心臓が高鳴った。
何があったのかは知らないが思いを寄せてる人に
急に抱きつかれて驚かない訳が無い。
パニック状態で「何!?どうしたの!?」って聞いたら
急に泣き出すの、びっくりして何事か聞いたら

「"あの子に振られた"」って。

正直嬉しかった。本当に嬉しかった。
遂に"オトモダチ"から解放されるって
好きな人が居なくなれば、1番近いのは私だ。勝ち確だ。

「大丈夫だよ」って、「またいい人見つかるよ」って、
いっぱいいっぱい慰めて、いい女演じて、
あいつに寄り添って、悪いとは分かってても内心喜んでて、

ずっと側にいて、慰めて、落ち着かせて、話聞いて…
なのにね?あいつなんて言ったと思う?
「これからもっと仲良くなって絶対振り向かせる」だって

…なんで?

前は1回振られたら諦めてたじゃん、
なんで諦めないの?そんなにいい子じゃないじゃん
あんなに悪口しか言ってない女がそんなにいいの?
顔だけ良くて、どうせこの後告られたって言いふらすような女がまだ好きなの、?本気でその女のことが憎くなった、
殺したいぐらいに。


羨ましかった

あいつにそんな愛されてて

本当に羨ましかった。

私はあの子程愛されない

ただの"オトモダチ"でしかない

私を見てよ。愛してくれないあの子より、
私の方がいいでしょ?私ならいっぱい愛すよ、?

あいつに勇気を振り絞って聞いてみた。
「私の事どう思ってんの?」って
そしたらね、「お前は1番の"友達"だな!」って
凄く綺麗な、眩しい笑顔で。

あいつのことをどれだけ見ていても、想っていても、
どれだけ理解している気になっても私はあの子に敵わない。
あいつがここまでしぶといと思わなかったなぁ…

あいつからしたら私は
そこら辺の子より仲のいい"オトモダチ"ってだけなのか、

友達以上恋人未満ってやつ?笑

ずっとあいつの隣にいたかった、諦めると思ったから
あの時は、本当に、本っ当に、人生で、
1番心躍る一瞬だった。

あれから8ヶ月、まだあいつは諦めてないよ。
もう2年生になっちゃうよ。もうそろそろ諦めてよ。
早く私に気づいて?


きっと私は明日もあいつの1番の"オトモダチ"


























































いっその事、殺して閉じ込めてしまおうか。

****