初唯

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あいつの隣が欲しかった
でもこの気持ちに気づいた時にはもう…遅かった。


高校に入って知り合った寝癖の酷いあいつとは
仲良くなるのにそう時間は掛からなかった。
いつも一緒だった。あいつのことはよく知っていた。
出身中学、誕生日、好きなこと、苦手なこと、そして…


"好きな人"


あいつは私と同じクラスのあの子の隣を狙ってて
あいつはずっと「可愛いな、もっと話したいな」って
あいつは気づいてなかったんだろうな〜、
お前からされる恋愛相談がどれだけ辛かったか、

少なくともあの子より断然一緒にいる時間は長かった。
部活の時も一緒に居たしバイトの時も一緒だった
寝落ち通話もしたし、あいつの家にも行ったこともある、
狭いベッドで2人、寝た事だってあった、

休みの日に2人で遊びに行ったし
膝枕だって、ハグだって私としたのに…

告白して振られちゃえばいいのにとか、あの子に彼氏が
出来ちゃえばいいって、そんな事しか考えて無かった笑

高校生初めての文化祭。最後の軽音部の発表が終わって
花火が始まった。『何処にいる?』ってLINEをしたけれど
既読は付かなかった。…何してるんだろう。
花火が終わってしまう。一緒に見たかったのに…

「終わっちゃったなぁ…花火」
花火が終わって皆が帰り出した。

人混みの奥に、今まで姿が見えてなかった、
大好きな人が見えた。

嬉しくなって駆け寄って、
「花火凄かったね」って、「綺麗だったね」って、
それでも返事をしないあいつはずっと俯いたままで、
心配になって「転んだの?大丈夫?」って、

そしたら急に抱きつかれた。心臓が高鳴った。
何があったのかは知らないが思いを寄せてる人に
急に抱きつかれて驚かない訳が無い。
パニック状態で「何!?どうしたの!?」って聞いたら
急に泣き出すの、びっくりして何事か聞いたら

「"あの子に振られた"」って。

正直嬉しかった。本当に嬉しかった。
遂に"オトモダチ"から解放されるって
好きな人が居なくなれば、1番近いのは私だ。勝ち確だ。

「大丈夫だよ」って、「またいい人見つかるよ」って、
いっぱいいっぱい慰めて、いい女演じて、
あいつに寄り添って、悪いとは分かってても内心喜んでて、

ずっと側にいて、慰めて、落ち着かせて、話聞いて…
なのにね?あいつなんて言ったと思う?
「これからもっと仲良くなって絶対振り向かせる」だって

…なんで?

前は1回振られたら諦めてたじゃん、
なんで諦めないの?そんなにいい子じゃないじゃん
あんなに悪口しか言ってない女がそんなにいいの?
顔だけ良くて、どうせこの後告られたって言いふらすような女がまだ好きなの、?本気でその女のことが憎くなった、
殺したいぐらいに。


羨ましかった

あいつにそんな愛されてて

本当に羨ましかった。

私はあの子程愛されない

ただの"オトモダチ"でしかない

私を見てよ。愛してくれないあの子より、
私の方がいいでしょ?私ならいっぱい愛すよ、?

あいつに勇気を振り絞って聞いてみた。
「私の事どう思ってんの?」って
そしたらね、「お前は1番の"友達"だな!」って
凄く綺麗な、眩しい笑顔で。

あいつのことをどれだけ見ていても、想っていても、
どれだけ理解している気になっても私はあの子に敵わない。
あいつがここまでしぶといと思わなかったなぁ…

あいつからしたら私は
そこら辺の子より仲のいい"オトモダチ"ってだけなのか、

友達以上恋人未満ってやつ?笑

ずっとあいつの隣にいたかった、諦めると思ったから
あの時は、本当に、本っ当に、人生で、
1番心躍る一瞬だった。

あれから8ヶ月、まだあいつは諦めてないよ。
もう2年生になっちゃうよ。もうそろそろ諦めてよ。
早く私に気づいて?


きっと私は明日もあいつの1番の"オトモダチ"


























































いっその事、殺して閉じ込めてしまおうか。

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3/13/2024, 10:25:05 PM