めじろ

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10/4/2024, 12:53:39 PM

シンデレラが靴やドレスを煌めかせて踊っていそうな、優雅な舞踏会で踊る円舞曲。ミュージカルでダンスシーンを眺めると本当にその光景は素敵で、はあ…とつい口を閉じるのも忘れて魅入られる。音楽と靴の音が響く。一夜の夢のようだ。映像であることを忘れてしまうくらい目に焼き付いた。なんだかうずうずしてしまう。自分でも出来ないかな?よし、やってみよう。チャレンジ精神は大事だよね。ペアが居ないのが惜しいなあ…
テレビを切って立ち上がった。足や手を動かしているが、美しく踊るどころか、絡まってしまいそうになっているようだ。ぺちぺちと鳴る裸足のステップ。ぎこちなく回る。あっ、足を滑らせた。なにやってんの?思わず声をかけた。姉は腰を擦りながらキョトンとした。その顔はすぐに満面の笑みに変化した。ちょうどいいから、そのお菓子とジュースそこに置いて!そう言って立ち上がった。次の一言は簡単に予想できた。
あー…また姉の気まぐれに付き合わされるのか、とため息をついた。

10/4/2024, 6:12:17 AM

画面をスクロールして、インターネットの動画を眺める。1人静かな部屋に笑い声、泣き声がこだまする。
目に付いた動画を片っ端から再生、誰かと犬が戯れている。次、再生、赤ちゃんがハイハイをしている。次。自分の身近では感じられない、誰かの日常を眺めるのが好きだ。全く縁がなくても、ランダムに流れるリール動画。なんだか不思議な気分だな。
沢山見たからか、少し目が疲れたようだ。今日はこの辺で終わろう。電源を落として、ベッドに横になる。電気を消す。外からは夜特有の電車や人の喧騒音が聞こえる。自分もきっと、誰かにとっては非日常なんだろう。ふと、そんなことを考えながら目を閉じた。

10/2/2024, 2:17:20 PM

遠い昔の記憶。あんまり面白くない学校に行って、唯一の楽しみな趣味の話を友人として、感情を共有して。
クラスが同じだった頃、毎日集まって話していた。気がつくと、とても遠い所に行ってしまった。もう話すことは無いかもな。グループを開いてすぐに表示される、数年前のやり取りを眺める。
メッセージを送る手段はいくらでもあるが、なんだか声をかけられない。思い出はキラキラと輝いているけれど、今はどうだろう。皆変わっていく。土地も、人間も。昔の光景は全部。地元に帰ってきたら連絡するね、と送られたメッセージから下には、何も文章がない。
思い出は思い出のままでもいいかもな、と最近は思っている。けれど、もしも、と思うことはなくもない。身長も肩書きもすっかり変わった、制服じゃない6人で、もう一度どうでもいい話で笑い合う。きっと机上の空論とは、こんなことをいうのだろう。ほろ苦い唾を飲み込んで、アルバムを閉じた。

10/1/2024, 3:06:42 PM

夕方のチャイムが鳴り響く。そろそろ帰らなければ、本を閉じて本棚に戻し、図書館を出た。赤く染まる西日を横目で見ながら帰路につく。
鳴り響く烏の声や急いで自転車を漕ぐ子供たち。もうこんな時間になったんだ、と独り言を喋ってしまった。誰にも聞かれていないよね。顔が熱くなった。
そんな事よりも色々な本を読むことができたな、とか。あの本の続きはいつ発売だっけ?とか。お昼のランチ美味しかった、とか。今日の他愛ない出来事を思い出しながら歩く。そういえば今の時間もかっこいい別の表現があった気がするなとか色々と考えながら、鞄を背負い直す。やっぱり知識ってあるほど面白いな。明日はまた別の本を読もうと、守れるかも分からない約束を自分とする。もう日が沈む。先程よりも雲が少なく、赤い光がなんだか眩しかった。

9/30/2024, 1:31:45 PM

最近ミスが続いてしまっている。憂鬱だ、と感じながら自宅の鍵を開けた。電気を付け、鞄をその辺に置き、ソファに身を投げ、溜息ひとつ。気のせいかもしれないけど、釘を刺されることが増えた気がする。疲れているのかな。
頭をおさえながら鞄を引っ張る。先程買った袋を開き、パンをひとかじり、缶コーヒーを流し込んだ。こんな時でも美味しいんだな。働かない脳でそんなことを考えた。
週の最初から間違えて最悪、もういいや、食べたら寝ちゃおう。またミスをしないようにしなきゃだけど、考える気力は残っていない。今日はなんとかなったし、まあ大丈夫だろう。横になり、アラームを1時間早くセットする。ミスはしたけどきちんと乗り切ったんだから、次に目覚めた時もきっとなんとかなるよね。自分は案外上手くやれるよ。ダメだったらその時だ。

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