めじろ

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9/29/2024, 10:53:38 AM

暇だなあ…とぽつりと呟いた。いや、暇って言うのは失礼だったかな?今はお客様が居なくて、店内はがらんどう。店員も自分1人。
深夜だからね、そりゃ人も少ないよね、と思いながらカップ麺を棚に並べていく。自分の作業音だけが響く店内。トントンと調子よく並べていき、ベリベリガムテープを剥がす。段ボール箱を折りたたんで重ねていく。縛るためのビニール紐を取りに行かなきゃ。
ふと、目が合った。店内には誰もいない。そして朝9時まではワンオペ。声は出ない。えっと、スプレーってどこにあったっけ…?待って動けない。もしあっちが機敏に店内を駆け回った場合、深夜3時に情けない声が店内いっぱいに響き渡るだろう。本当にどうしよう…

9/28/2024, 2:14:39 PM

今までありがとうございました!と叫んでみた。
返事はもちろんない。
また帰ってくるからね、待っていてね!と続けて叫ぶ。
何も返ってこない。
それでも、何も言わずにはいられなかった、と言うべきだろうか。どうしても、たとえ意地でもこれだけは伝えておきたかったんだ。声に出して言いたかったんだ。
お世話になりました!
こだまもしない。観衆はいない。あ、いや、散歩中のあの人ビクってさせちゃったかも。ごめん。
うん、満足した。目の前に広がるのはいつもの町並みの風景。ここの高台、いつ来ても町が一望できて良いな。そう思った。
踵を返して立ち去る。もう暫くは戻れないんだ。
1度だけ振り返った。眩しい橙色、赤色、周りの緑色とそれに混ざる桃色、飛び交う桃色の花びら。
気合を入れて、1歩を踏み出した。

9/27/2024, 3:53:25 PM

傘をささずに水溜まりで遊ぶ子供たちの笑い声が聞こえてくる。
ぴっちぴっちちゃぷちゃぷ…よく耳にする歌を合唱している、下校中の楽しそうな声に耳をすませていた。
だって仕方ない、こんな時に限って折り畳み傘すら持っていないのだから。しかも今は徒歩。運が悪い時はとことんついていないな、と苦笑いした。
天気予報を確認すれば良かったなと後悔しつつも、案外気分は沈んでいなかった。汚れを気にしない暴れん坊な怪獣さんたちの無邪気な声が、あまりにも楽しそうで。
このまま帰るとずぶ濡れになっちゃう。コンビニに行って傘でも買おうかな。そう考えたけど、たまにはこんな日も良いかもしれないな、と思った。
次は自分が怪獣になる番だ。荷物をしっかり持って、帰り道の方向を確かめて、3、2、1…

9/26/2024, 10:46:06 AM

買い物に行きたいので運転してほしいと頼まれ、祖母を乗せて車を発進させた。
色々な商品を手に取っては戻す様子を眺めながら店内をうろうろと歩き回る。たまに美味しそうだ、と感じたものをちらっと覗く。スイートポテト。かぼちゃプリン。モンブラン。きっとすごく甘くておいしいんだよね。
知らない間に食欲の秋は訪れていたらしい。まあ少しなら大丈夫、また明日たくさん動く予定だから、いくつか食べるくらい平気だよね。そう考えながら祖母と自分の荷物でいっぱいの買い物袋を車に詰め込んだ。夕焼けの中、エンジン音と共に家に帰ろう。
筋トレ 痩せる って検索履歴に残ったのは内緒だよ?

9/25/2024, 12:18:18 PM

遅刻してしまった、と唸りながら電車を待つ。
時刻表示の通りに着き開いた扉に乗り込み、面倒なので入口付近の空席に座る。
ふと、冷房の音が聞こえないことに気づき、窓の外をちらりと覗き込んだ。曇り空、揺れる木々、忙しそうな自動車たち。列車内を見渡すと長袖を着た人、半袖を着ている人、様々な人がスマホとにらめっこ中のようだ。
もう一度景色を眺める。いつも眺める風景、いつもと変わらない風景。木々だ、今何かの鳥がいたな、この辺りは住宅街だ、トンネルに入ったな。
トンネルを抜けた先、ガラス越しに広がる海は、なんだか輝いているような気がした。
今日は朝から失敗したけど、切り替えて頑張らなきゃダメだよね。うん、頑張ろう。

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