今までありがとうございました!と叫んでみた。
返事はもちろんない。
また帰ってくるからね、待っていてね!と続けて叫ぶ。
何も返ってこない。
それでも、何も言わずにはいられなかった、と言うべきだろうか。どうしても、たとえ意地でもこれだけは伝えておきたかったんだ。声に出して言いたかったんだ。
お世話になりました!
こだまもしない。観衆はいない。あ、いや、散歩中のあの人ビクってさせちゃったかも。ごめん。
うん、満足した。目の前に広がるのはいつもの町並みの風景。ここの高台、いつ来ても町が一望できて良いな。そう思った。
踵を返して立ち去る。もう暫くは戻れないんだ。
1度だけ振り返った。眩しい橙色、赤色、周りの緑色とそれに混ざる桃色、飛び交う桃色の花びら。
気合を入れて、1歩を踏み出した。
9/28/2024, 2:14:39 PM